エロい嵐の予感 ~エッチな恋~

MJ

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初体験

初体験-手乗り

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その黄緑の生き物は、セキセイインコだった。

ぴょんぴょんと両足で跳ねて部屋に入ってくると、首をかしげながらあたりの様子を伺った。

それからバサバサバサと羽を羽ばたかせるとナオちゃんの手の上に乗った。
「びじゆるびじゅやしゃ」と何か言いたそうにくちばしの中でベロを動かしながら音を発した。

ナオちゃんは指の上に乗ったピースに口を近づけて何かを語りかけた。
彼は首を振って分かったというような仕草をして、ナオちゃんの唇をクチバシで触った。

正直言って、その仕草に対して僕はピースにさえも嫉妬していた。

「手乗り?」
ナオちゃんは僕に目を向けると
「指を出して」と言った。彼女は幾分得意気な顔をしている。

僕はピースが乗れるように人差し指をさし出した。ピースは警戒しながらも僕の指に乗ってきた。予想していた以上の重みがずしりと指に伝わり、がしりと掴まれて少し爪が当たって痛かった。足の裏から体温が伝わってくる。

これが手乗りセキセイインコか。

僕はどうしていいのか分からず固まって、ピースの御機嫌を伺った。ピースは僕の事を怖がる訳でもなく足で首の辺りをカサカサカサとかいた。羽の間が広がり、目を大きく見開いている。
「ピース」と声をかけてみた。
彼は首を傾け僕の声を聞くような仕草をして
「ジュルジュルピチビーチこんにちは」と言った。
前半の部分は何を言っているのか分からなかったが、後半明らかに「こんにちは」と言った。

「セキセイインコって喋れるの?」
「うん。頑張って教えたら喋れるようになるんだよ」

「そうなんだ。九官鳥とかもっと大きい鳥じゃないと喋れないと思ってた」

僕はその時、自然と思いついたことを言った。

「好きだよ」
面と向かっては絶対言えない言葉。ピースに教えるフリをして言った。

「好きだよ」
ナオちゃんはどんな顔をして聞いているのだろう。

伝わってないかもしれないので付け足した。

「好きだよ。ナオ」

「ちょっとー」

「好きだよ。ナオ」

「ほんとに覚えるんだから」
ナオちゃんは照れている。
ピースは耳を傾けて真剣に聞いている。

「おっぱい揉ませろ」

「やめろー」

「おっぱい揉ませろ」

「変なこと覚えさすな」

ピースはナオちゃんに奪われた。

僕とナオちゃんがふざけて笑い転げている間、ピースは取り残されてキョトンとしていた。

僕はこの日、彼女の大事な家族を2人紹介してもらった。お母さんとピースだ。それは普通の小さな事のようでとても大きなことだった。


彼女にとっての日常は僕にとっての日常ではない。

それが僕に受け入れられるかどうかは分からないはずだ。

ところがそういった事を全て受け入れる事を知っていたかのように、彼女は平然と僕の前に色々なものを突き出した。

それは或いは一種の賭けだったのかもしれないし、沢山話しているうちに僕を知ることで受け入れられる確信を持っていたのかもしれない。

いや、ただ単に彼女は長距離走を走るように前を見てひたすら走っているだけのかもしれない。僕が彼女を好きになれなければ僕は置いてきぼりを食らうだけだったのかも。

とにかく僕は彼女の事を知れば知るほど益々好きになっていった。

今では、彼女の部屋に朝日が入りこみ、目覚めた彼女が支度をして自転車で学校に通う姿が想像できる。

夕日が差し込む頃に彼女が帰宅して、内職のお母さんが迎える。そこにはピースと黄色のフナがもいる。大工のお父さんはその後帰宅してビールを飲む。お兄さんは国立大学に通っていて一人暮らしをはじめたそうだ。

彼女の日常はとても素敵だ。

そこにいきなり僕のような登場人物が現れた。

僕は彼女の事が好きになり、キスをして、おっぱいを揉みたいと言う。
そう考えると、自分がとてもいやらしい存在に思えて嫌になった。だけどどうしても抑えることができない。

僕の性的なメッセージを彼女はどう受け止めているのだろう。今はまだ冗談のように言っているが、内心本気だ。彼女が嫌でなければもっともっと先へ進みたい。

願わくば今度の夏の間に。

僕はナオの事が好きだ。
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