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崖上のトレーニング

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中国の奥深い山の中にあるような硬い岩がゴロゴロしている場所で私は陸上のトレーニングをしていた。そこには私以外にもトレーニングをしている人達が三人いて、一人はどんな種目でもこなせる万能なベテラン選手で、一人は若くて伸び盛りの活発な選手であった。そして、もう一人は独り言をブツブツと言いながら練習に励む選手だった。
それらの三人の選手はとても優れた選手たちで跳躍力がすごく、まるでトランポリンの上を飛び跳ねているかの如く硬い岩場の上を飛び跳ねて色々な競技の練習を行っている。それぞれが三段跳や棒高跳びなどを次々にこなしている。ただこなしているだけではなくて、その練習はとても危険な場所で行われている。踏み外せば下に転落してしまう深い側溝のような上を飛んでいる。そのような危険な状態が極限まで選手の能力を引き出すのかもしれない。
選手たちが着地する場所はとても硬い岩場なのに、足の跡がとても深くついている。恐らくここで長年練習を積み重ねてきたんだろうなと想像できる。膝を痛めている私はそんな所に着地しただけで痛いだろうと思った。私はとてもかなわないと思って無理をせず自分に可能なトレーニングのみを行っていた。
そうしていると、独り言を言いながらトレーニングをする選手の事が気になった。何かしら自分の改善点などを口に出しながらトレーニングをしてるんだろうけれども、それを口に出しながらやる必要があるのかはなはだ疑問に感じていた。その選手が独り言を言いながら棒高跳びの棒に掴まってクルクルと回転をしながら体勢を何度も変えた。
「あ、危ない」とベテラン選手が叫んで崖の方に走っていった。私も気になったので崖の方に走っていった。棒高跳びをしていた選手は独り言を言いながら崖の下に倒れていった。その選手は倒れた後に起き上がってもう一度チャレンジしようと思っていたに違いない。しかしながら棒にしがみついて無防備な状態で倒れていった選手の頭の付近に硬い岩があった。その選手はその岩の角に強く後頭部を打ち付けてしまった。茶色い岩の角は赤く染まっていた。血がそんなに出ていない間はまだ大丈夫かと思っていたが、みるみる血の量が増えていき、すぐにでも出血を抑えないと助からないだろうと思った。しかし、私とベテラン選手は反対側の崖の上にいるので直ぐには駆けつけることが出来なかった。
事故のあった側の崖の上にいた若い選手は、洞窟のような所を急いで下って倒れている選手のところに駆け寄った。若い選手は何故か片手で頭を打った選手の体の中心を持ち上げてコマのようにクルクルとゆっくり回し始めた。私はそんな力自慢はいらないから安静にして助かるかどうか確認してやってくれと思ったが、あれだけ頭から血を流して体中の力が抜けて手足がだらんと垂れ下がっているのだから助かるわけもないかと考え直した。
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