10 / 32
スポーツドリンク
スポーツドリンク7
しおりを挟む
あの状態ではしばらくは身動き出来まい。そう判断した悪魔くんは素早く仁志の家に戻った。
仁志の家では妻の昌代が電話で助けを呼ぼうとしていた。しかし、いくら番号を押しても繋がらない。よく見ると電話線が切られていた。
昌代のスマートフォンは悪魔くんにカバンごと奪われている。
ソファの上に仁志のスマホが転がっているのを見つけた昌代は急いで拾う。
しかし、暗証番号が分からない。
指紋認証機能を使って解除しようと思いつき仁志のそばに駆け寄る。仁志は血まみれの状態で転がっていた。
包丁で割かれた腹から心臓が鼓動しているのが見えた。
早く助けを呼べばまだ助かるかもしれない。
「あなた!大丈夫?すぐに助けを呼ぶからね」
昌代は指紋認証をするため、仁志の人差し指をスマホのボタンに押し当てた。しかし、血が付いていて上手く認証されない。
指を自分の体にこすりつけて血をふき取った。そして、再び認証させようとした時、ガチャリと音がして玄関のドアが開いた。
悪魔くんは昌代がスマホを持っているのを見ると素早くスマホを足で蹴りあげた。
「おっとっと。あぶねえ。あぶねえ。だんなのスマホがあったか。あんたがアホで助かったよ。指紋認証しなくても緊急連絡は出来るというのに。はははは」
悪魔くんの気持ち悪い高笑いが耳につく。
そうか、その手があったのか。昌代は認証がいらなかった事を知り悔しがった。
仁志の血が体中に付いた昌代は悪魔くんに尻を蹴飛ばされ再び転がされた。
「血がついて汚くなったが犯してやる。殺されたくなければそのままじっとしていろ」
と言いながら悪魔くんがズボンを下ろし始めた。
その時、仁志は意識を取り戻した。カッと目を見開き、最後の力を振り絞ってうつ伏せになりほふく前進をはじめた。ドボドボと腹に溜まった血と黄色い液体が床に流れ落ちる。
リビングには裸の昌代の前でズボンを脱ぎパンツを下ろしている悪魔くんがいた。
それを見て仁志はふつふつと怒りが込み上げてきた。
悪魔くんに気づかれないように背後から近づく。
内臓がむき出しのお腹が床にこすれて痛い。
思わずうめき声が漏れそうになるが、必死でこらえる。
意識をもう一度失いかけた時、仁志は悪魔くんの足を両腕を伸ばして掴んだ。
両足を仁志に掴まれた悪魔くんは身動きが取れなくなった。
足首に仁志の指がめり込む。
物凄い握力だ。
普段から重機を扱っている腕力が発揮される。
「クソッタレ。はなせ!はなせ!」
悪魔くんは叫びながら仁志の指を包丁で何度も刺す。
しかし、仁志の絡まった指は足首に深くくい込んだまま離れない。
仁志は気絶したまま悪魔くんの足を握りしめていた。
昌代は起き上がると息子の金属バットを持ってきて悪魔くんの頭をフルスイングした。
カーンと言う音とともに悪魔くんは意識を失った。
しばらくするとウウーーウーとパトカーの音がなり警察が駆けつけた。悪魔くんはパンツをずり下ろした状態で気絶したまま逮捕された。
その後、仁志は救急車で運ばれて一命を取り留めた。胃袋が裂かれたことが幸いして、黄色いドリンク内の毒物ボツリヌス菌が取り除かれて助かったらしい。致死量のボツリヌス菌が体内に取り込まれていたので、あのまま胃袋を裂かずに倒れていたら死んでいたかもしれなかったそうだ。
ペットボトルは長男の宏志が隣の老夫婦から3週間前にもらって玄関に放置していたものだった。
宏志は捨てるつもりでテーブルの上に放置してしまっていたものだった。
隣の家塀から5メートルの大ジャンプをした宏志は足を捻挫して歩けなくなっていた。怖くて声を出せずにうずくまっていたが、パトカーのサイレンを聞いて大声で助けを読んだ。全治3週間の怪我ですんだ。
悪魔くんは昌代に殴られたことで若干記憶障害を発した。そして再び留置場に送り込まれた。
スポーツドリンク
終わり
仁志の家では妻の昌代が電話で助けを呼ぼうとしていた。しかし、いくら番号を押しても繋がらない。よく見ると電話線が切られていた。
昌代のスマートフォンは悪魔くんにカバンごと奪われている。
ソファの上に仁志のスマホが転がっているのを見つけた昌代は急いで拾う。
しかし、暗証番号が分からない。
指紋認証機能を使って解除しようと思いつき仁志のそばに駆け寄る。仁志は血まみれの状態で転がっていた。
包丁で割かれた腹から心臓が鼓動しているのが見えた。
早く助けを呼べばまだ助かるかもしれない。
「あなた!大丈夫?すぐに助けを呼ぶからね」
昌代は指紋認証をするため、仁志の人差し指をスマホのボタンに押し当てた。しかし、血が付いていて上手く認証されない。
指を自分の体にこすりつけて血をふき取った。そして、再び認証させようとした時、ガチャリと音がして玄関のドアが開いた。
悪魔くんは昌代がスマホを持っているのを見ると素早くスマホを足で蹴りあげた。
「おっとっと。あぶねえ。あぶねえ。だんなのスマホがあったか。あんたがアホで助かったよ。指紋認証しなくても緊急連絡は出来るというのに。はははは」
悪魔くんの気持ち悪い高笑いが耳につく。
そうか、その手があったのか。昌代は認証がいらなかった事を知り悔しがった。
仁志の血が体中に付いた昌代は悪魔くんに尻を蹴飛ばされ再び転がされた。
「血がついて汚くなったが犯してやる。殺されたくなければそのままじっとしていろ」
と言いながら悪魔くんがズボンを下ろし始めた。
その時、仁志は意識を取り戻した。カッと目を見開き、最後の力を振り絞ってうつ伏せになりほふく前進をはじめた。ドボドボと腹に溜まった血と黄色い液体が床に流れ落ちる。
リビングには裸の昌代の前でズボンを脱ぎパンツを下ろしている悪魔くんがいた。
それを見て仁志はふつふつと怒りが込み上げてきた。
悪魔くんに気づかれないように背後から近づく。
内臓がむき出しのお腹が床にこすれて痛い。
思わずうめき声が漏れそうになるが、必死でこらえる。
意識をもう一度失いかけた時、仁志は悪魔くんの足を両腕を伸ばして掴んだ。
両足を仁志に掴まれた悪魔くんは身動きが取れなくなった。
足首に仁志の指がめり込む。
物凄い握力だ。
普段から重機を扱っている腕力が発揮される。
「クソッタレ。はなせ!はなせ!」
悪魔くんは叫びながら仁志の指を包丁で何度も刺す。
しかし、仁志の絡まった指は足首に深くくい込んだまま離れない。
仁志は気絶したまま悪魔くんの足を握りしめていた。
昌代は起き上がると息子の金属バットを持ってきて悪魔くんの頭をフルスイングした。
カーンと言う音とともに悪魔くんは意識を失った。
しばらくするとウウーーウーとパトカーの音がなり警察が駆けつけた。悪魔くんはパンツをずり下ろした状態で気絶したまま逮捕された。
その後、仁志は救急車で運ばれて一命を取り留めた。胃袋が裂かれたことが幸いして、黄色いドリンク内の毒物ボツリヌス菌が取り除かれて助かったらしい。致死量のボツリヌス菌が体内に取り込まれていたので、あのまま胃袋を裂かずに倒れていたら死んでいたかもしれなかったそうだ。
ペットボトルは長男の宏志が隣の老夫婦から3週間前にもらって玄関に放置していたものだった。
宏志は捨てるつもりでテーブルの上に放置してしまっていたものだった。
隣の家塀から5メートルの大ジャンプをした宏志は足を捻挫して歩けなくなっていた。怖くて声を出せずにうずくまっていたが、パトカーのサイレンを聞いて大声で助けを読んだ。全治3週間の怪我ですんだ。
悪魔くんは昌代に殴られたことで若干記憶障害を発した。そして再び留置場に送り込まれた。
スポーツドリンク
終わり
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説


怨念がおんねん〜祓い屋アベの記録〜
君影 ルナ
ホラー
・事例 壱
『自分』は真冬に似合わない服装で、見知らぬ集落に向かって歩いているらしい。
何故『自分』はあの集落に向かっている?
何故『自分』のことが分からない?
何故……
・事例 弍
??
──────────
・ホラー編と解決編とに分かれております。
・純粋にホラーを楽しみたい方は漢数字の話だけを、解決編も楽しみたい方は数字を気にせず読んでいただけたらと思います。
・フィクションです。
ill〜怪異特務課事件簿〜
錦木
ホラー
現実の常識が通用しない『怪異』絡みの事件を扱う「怪異特務課」。
ミステリアスで冷徹な捜査官・名護、真面目である事情により怪異と深くつながる体質となってしまった捜査官・戸草。
とある秘密を共有する二人は協力して怪奇事件の捜査を行う。

特別。
月芝
ホラー
正義のヒーローに変身して悪と戦う。
一流のスポーツ選手となって活躍する。
ゲームのような異世界で勇者となって魔王と闘う。
すごい発明をして大金持ちになる。
歴史に名を刻むほどの偉人となる。
現実という物語の中で、主人公になる。
自分はみんなとはちがう。
この世に生まれたからには、何かを成し遂げたい。
自分が生きた証が欲しい。
特別な存在になりたい。
特別な存在でありたい。
特別な存在だったらいいな。
そんな願望、誰だって少しは持っているだろう?
でも、もしも本当に自分が世界にとっての「特別」だとしたら……
自宅の地下であるモノを見つけてしまったことを境にして、日常が変貌していく。まるでオセロのように白が黒に、黒が白へと裏返る。
次々と明らかになっていく真実。
特別なボクの心はいつまで耐えられるのだろうか……
伝奇ホラー作品。

鎌倉呪具師の回収録~使霊の箱~
平本りこ
ホラー
――恐ろしきは怨霊か、それとも。
土蔵珠子はある日突然、婚約者と勤め先、住んでいた家を同時に失った。
六年前、母に先立たれた珠子にとって、二度目の大きな裏切りだった。
けれど、悲嘆にくれてばかりもいられない。珠子には頼れる親戚もいないのだ。
住む場所だけはどうにかしなければと思うが、職も保証人もないので物件探しは難航し、なんとか借りることのできたのは、鎌倉にあるおんぼろアパートだ。
いわくつき物件のご多分に漏れず、入居初日の晩、稲光が差し込む窓越しに、珠子は恐ろしいものを見てしまう。
それは、古風な小袖を纏い焼けただれた女性の姿であった。
時を同じくして、呪具師一族の末裔である大江間諭が珠子の部屋の隣に越して来る。
呪具とは、鎌倉時代から続く大江間という一族が神秘の力を織り合わせて作り出した、超常現象を引き起こす道具のことである。
諭は日本中に散らばってしまった危険な呪具を回収するため、怨霊の気配が漂うおんぼろアパートにやってきたのだった。
ひょんなことから、霊を成仏させるために強力することになった珠子と諭。やがて、珠子には、残留思念を読む異能があることがわかる。けれどそれは生まれつきのものではなく、どうやら珠子は後天的に、生身の「呪具」になってしまったようなのだ。
さらに、諭が追っている呪具には珠子の母親の死と関連があることがわかってきて……。
※毎日17:40更新
最終章は3月29日に4エピソード同時更新です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる