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スポーツドリンク
スポーツドリンク2
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ペットボトルの側面にはマジックで『 すてる』と大きく書かれていた。
先程ジョッキに注ぐ時には逆面を見ていたので気づかなかった。
やはりこの黄色い液体は腐っているのか。
そう言えば先程、蓋を開けた時にプシュッと音がしたのは炭酸入りだからではなく、腐って何らかのガスが溜まっていたからなのだろうか。
仁志はペットボトルの底を確認してさらに愕然とした。
何だか小さな目玉のような濁った透明な玉が沢山沈んでいる。
無数の目玉のようなものがペットボトルの底にびっちりと並んでこちらを見ている。
しかも少し動いているように感じられる。
完全に腐っている。
この中には何が繁殖しているか分からない。
こんなものを飲んでしまったのか。
見ているとまた気持ち悪くなり、吐き気をもよおした。
トイレに駆け込み胃の中から込み上げてくるものを吐き出す。
オロッオロオロオロロロッーーーーーーー!
胃の中のものがあらかた吐き出された。
しかしまだ気持ち悪い。
仁志はトイレから出て台所に駆け込むとコップに水を入れて口から胃の中に水を流し込む。胃がパンパンになるまで水を入れてトイレで吐き出す。
オロッオロオロオロロロッーーーーーーー!
そうやって胃の中の黄色いドリンクを全て洗い流そうと試みた。
オロッオロオロオロロロッーーーーーーー!
仁志は今まで生きてきた中でこれほど吐いたことは無かった。
オロッオロオロオロロロッーーーーーーー!
何度吐いた時だろう、白い粘膜の塊のようなものが口から出てきた。
こんなもの食べた記憶がない。
黄色いドリンクを体全体が拒絶反応を示して外に吐き出そうとしているように感じられた。
オロッオロオロオロロロッーーーーーーー!
次に吐いた時は便器の中が血で赤く染った。
マジかよ。
相当やばいかも。
さらに胃の中から込み上げてくるものがあったので吐き出してみると、べっとりとした血糊だった。
次に仁志の身体を襲ったのは視覚障害だった。目がぼやけて焦点が合わない。
トイレの便器が二重にも三重にも見える。
ペットボトルの中で繁殖した細菌によって生成された毒が神経に作用しているのだろう。
仁志は便器の前に座り込んで目頭を押さえた。
さらにひどい症状が現れ始めた。
筋肉に力が入らない。
力自慢の仁志にとって筋肉に力が入らないというのは地獄であった。
先程まで活発に身体のために機能していた筋肉がただの重たい肉の塊となるのだ。
もはやまともに歩くことも立つことも出来ない。辛うじて動かすことの出来る筋肉だけでトイレの中を這いつくばる。
さらに腹痛が仁志を襲ってきた。
猛烈な痛みが腹部を駆け巡るが、のたうち回ることすら出来ない。
肛門の括約筋に力も入らない。排泄物が流れ出てパンツとズボンを汚した。
ひどい臭いが立ち込めるがどうすることも出来ない。
このまま死んでしまうのだろうか。
意識が朦朧としてきた時に玄関でピンポーンとチャイムがなった。
妻の昌代が帰って来たのかもしれない。
何とか救急車を呼んでもらえばまだ助かるかもしれない。
もう一度ピンポーンとなる。
なぜ昌代は鍵を開けて入ってこないのだろう。
もしかして昌代ではないのかもしれない。
どちらにしても助かるためには一刻も早く救急車を呼んでもらうことだ。
そのためには玄関の鍵を開けるしかない。
仁志は動かせる僅かな筋肉の力を振り絞って這いつくばって玄関に向かった。
力自慢の仁志にとって筋肉が自由に動かないのは何よりも屈辱的に感じた。
先程撒き散らした吐瀉物の上を這いつくばって進むり
口の中は血の味がする。
気持ち悪い。
ゆっくりとしか進むことが出来ない。
僅かな段差もくろうする。
人がいなくなってしまうのではないかと焦る。
筋肉が思うように動かないのはじれったい。
10分程かけて何とか玄関にたどり着いた。
良かった。
まだ玄関の外には人の気配がする。
鍵さえ開ければ救急車を呼んでもらって助かるかもしれない。
仁志は何とか鍵に手を伸ばして回す事に成功した。
誰だか分からないが情けない姿を晒してしまうかもしれない。
しかし、覚悟を決めるしかない。
ガチャリと玄関の扉を開ける。
そこに立っていたのはやはり昌代では無かった。
誰だろう。
目を凝らしてみた。
先程ジョッキに注ぐ時には逆面を見ていたので気づかなかった。
やはりこの黄色い液体は腐っているのか。
そう言えば先程、蓋を開けた時にプシュッと音がしたのは炭酸入りだからではなく、腐って何らかのガスが溜まっていたからなのだろうか。
仁志はペットボトルの底を確認してさらに愕然とした。
何だか小さな目玉のような濁った透明な玉が沢山沈んでいる。
無数の目玉のようなものがペットボトルの底にびっちりと並んでこちらを見ている。
しかも少し動いているように感じられる。
完全に腐っている。
この中には何が繁殖しているか分からない。
こんなものを飲んでしまったのか。
見ているとまた気持ち悪くなり、吐き気をもよおした。
トイレに駆け込み胃の中から込み上げてくるものを吐き出す。
オロッオロオロオロロロッーーーーーーー!
胃の中のものがあらかた吐き出された。
しかしまだ気持ち悪い。
仁志はトイレから出て台所に駆け込むとコップに水を入れて口から胃の中に水を流し込む。胃がパンパンになるまで水を入れてトイレで吐き出す。
オロッオロオロオロロロッーーーーーーー!
そうやって胃の中の黄色いドリンクを全て洗い流そうと試みた。
オロッオロオロオロロロッーーーーーーー!
仁志は今まで生きてきた中でこれほど吐いたことは無かった。
オロッオロオロオロロロッーーーーーーー!
何度吐いた時だろう、白い粘膜の塊のようなものが口から出てきた。
こんなもの食べた記憶がない。
黄色いドリンクを体全体が拒絶反応を示して外に吐き出そうとしているように感じられた。
オロッオロオロオロロロッーーーーーーー!
次に吐いた時は便器の中が血で赤く染った。
マジかよ。
相当やばいかも。
さらに胃の中から込み上げてくるものがあったので吐き出してみると、べっとりとした血糊だった。
次に仁志の身体を襲ったのは視覚障害だった。目がぼやけて焦点が合わない。
トイレの便器が二重にも三重にも見える。
ペットボトルの中で繁殖した細菌によって生成された毒が神経に作用しているのだろう。
仁志は便器の前に座り込んで目頭を押さえた。
さらにひどい症状が現れ始めた。
筋肉に力が入らない。
力自慢の仁志にとって筋肉に力が入らないというのは地獄であった。
先程まで活発に身体のために機能していた筋肉がただの重たい肉の塊となるのだ。
もはやまともに歩くことも立つことも出来ない。辛うじて動かすことの出来る筋肉だけでトイレの中を這いつくばる。
さらに腹痛が仁志を襲ってきた。
猛烈な痛みが腹部を駆け巡るが、のたうち回ることすら出来ない。
肛門の括約筋に力も入らない。排泄物が流れ出てパンツとズボンを汚した。
ひどい臭いが立ち込めるがどうすることも出来ない。
このまま死んでしまうのだろうか。
意識が朦朧としてきた時に玄関でピンポーンとチャイムがなった。
妻の昌代が帰って来たのかもしれない。
何とか救急車を呼んでもらえばまだ助かるかもしれない。
もう一度ピンポーンとなる。
なぜ昌代は鍵を開けて入ってこないのだろう。
もしかして昌代ではないのかもしれない。
どちらにしても助かるためには一刻も早く救急車を呼んでもらうことだ。
そのためには玄関の鍵を開けるしかない。
仁志は動かせる僅かな筋肉の力を振り絞って這いつくばって玄関に向かった。
力自慢の仁志にとって筋肉が自由に動かないのは何よりも屈辱的に感じた。
先程撒き散らした吐瀉物の上を這いつくばって進むり
口の中は血の味がする。
気持ち悪い。
ゆっくりとしか進むことが出来ない。
僅かな段差もくろうする。
人がいなくなってしまうのではないかと焦る。
筋肉が思うように動かないのはじれったい。
10分程かけて何とか玄関にたどり着いた。
良かった。
まだ玄関の外には人の気配がする。
鍵さえ開ければ救急車を呼んでもらって助かるかもしれない。
仁志は何とか鍵に手を伸ばして回す事に成功した。
誰だか分からないが情けない姿を晒してしまうかもしれない。
しかし、覚悟を決めるしかない。
ガチャリと玄関の扉を開ける。
そこに立っていたのはやはり昌代では無かった。
誰だろう。
目を凝らしてみた。
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