ダメな男を愛する女達

MJ

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第一章 運命の人

蒸し暑い1日

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雨が上がり、校庭のセミが鳴いている。

蒸し暑い。

しゅんは遅刻して学校に来た。とても楽しそうな顔をしてる。酸欠で倒れて病院に行ったくせに何も無かったように元気だ。本当に心臓に持病を抱えているのだろうか。普段の元気そうなしゅんを見ていると疑わしく感じる。

ともみは席替えをしてからめっきりしゅんと話す機会はなくなっていた。
忘れ物の多いしゅんを気にかけて、鉛筆や消しゴムの予備を準備していた。
しかし、しゅんは最近は忘れ物はしていないようで、隣の人にも借りていないようだった。

球技大会以降、男子達は仲良くなっていた。
休憩時間になると男子は捻挫した宮本君の周りに集まって雑談をしている。
「しゅん、バスケ部に入らないか?」
中島がしゅんをバスケ部に誘う声が聞こえてくる。しゅんはもちろんやんわり断っている。
こうきもその輪の中に入ってきた。
「そろそろ期末試験が始まるなあ」
「面倒だけど頑張るしかないなあ」
「しゅんはアホなんだから頑張らないとな」
「アホって言うな。アホって。俺は学校の勉強は嫌いなの」
「ちゃんと勉強していい成績取って、いい大学に入った方が残りの人生絶対得だよ」ガリ勉のしんじが口を挟む。

「僕は今のうちに我慢して勉強して、医者か弁護士になる。そして、大人になったら金を儲けてやりたい事を全部やる」
こうきが現実的な夢を語る。

流石に進学校の生徒達だけあって、男子でも将来の事を考えて真面目な事を言っている。

「俺はそんなのいやじゃ。やりたい事しかやらない」
しゅんはきっぱりと言う。
「やりたい事ってなんだよ」
「まずは彼女を作る」しゅんは腕を組みながら言う。
「お前に彼女は無理だろ」中島がすぐに否定する
「なんでよ」
「女心なんて全然わかってないじゃん」
「そんな事ないけえ」
「いや、わかってないじゃん」
「まあ、まあ、まあ。ほんじゃあ好きな子とかおるんか?」こうきが笑いながら聞く。
「そりゃあおる」
「おおー」と歓声が沸き起こった。

ともみは聞き耳を立てながら、例の別の高校に通う子の事かと思い出した。

「だとしてじゃ。その子がお前の事を好きになるか?勉強は出来んし、部活にも入ってない。なにも努力してないお前を好きになると思うか?」と中島が言う。

「俺は好きな事に頑張っとるんじゃ」しゅんは唇を突き出して答えた。

「はっ。それが甘いんじゃ。女はのう、実力のあるやつに惚れるんじゃ。こうきを見てみい。勉強もできて、足が速い。テニス部でも活躍しとる。じゃけえモテるんよ」

こうきは照れながら笑っている。

「ふんっ。つまらん」しゅんは不満そうに吐き捨てた。

そこでチャイムがなり、彼らのヒートアップした議論は終わった。

ともみはそりゃあ勉強もできて、足も速いこうきの方がモテるわなと思った。実力のないしゅんには勝ち目がない。

それから数日後、しゅんがこうきの胸ぐらを掴んで殴った。
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