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第一章 運命の人
球技大会 1日目
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球技大会当日、朝から全員が体操着に着替えて教室に集まった。
学級委員のともみとコウキは球技大会の説明と各チームのスケジュールを説明した。
球技大会は全学年対抗なのだ。
ちなみにともみ達1年生の体操着はエンジ色、2年生は紺色、3年生は緑色だ。
夏場なので上は白の半袖。
試合は体育館2コート、グランド4コートで行われる。
試合のない時間はグランドでアップをする。
なので女子は露出した肌に日焼け止めを塗りまくっている。
午前中は3チームによる予選が行われ、1位チームが午後からの決勝トーナメントに進出する。
準決勝と決勝は次の日の放課後。そこまで勝ち上がれば注目の的だ。
予選リーグで相手チームに本気チームがいなければ楽に勝ち上がれるのだが、ともみは達1年4組の本気チームは運悪く3年生の本気チームと戦うことになった。
1試合目の2年生チームと対戦した時は、バスケ部の後藤さんにボールを集めてシュートしてもらい、他のメンバーで守りを固める事で難なく勝つことが出来た。
しかし、3年生チームとの対戦では相手チームのバスケ部の子がスリーポイントシュートをバシバシ決めてくる。
前半は何とか食らいついていたが、後半になると徐々に離され、予選敗退してしまった。ともみは負けず嫌いなので最後まで必死でボールを追いかけ回した。
「悔しい」
と汗をタオルで拭きながら、息を切らした。
「ごめんね」とバスケ部の後藤さんが膝に手をついて呼吸している。
「いいよいいよ。今日は相手が悪かった」とあけみちゃん。体操着だと余計にスタイルの良さが目立つんだよな。
汗が引いたら再び日焼け止めを塗りたくって、
「そう言えば男子どうなったかな」
「見に行ってみようか」
とともみ達は体育館に行ってみた。
体育館の2階に上がると、コートではちょうど男子の本気チームが試合をしていて、20点差くらいリードしていた。
「楽勝じゃん」
「だね」
バン、バン、バンとドリブルをする音がしてコウキがレイアップシュートを決めた。
「すごい」
かっこいい。
セーフティリードを奪ってからしゅんが交代して出てきた。しゅんはやる気無さそうに右から来たボールを左へ、左から来たボールを右へパスしているだけだった。
おい。元幼馴染。もうちょっとやる気出せよ。
少ししてしんじが交代した。しんじはパスを受け損なって落としたボールを焦って取りに行きトラベリングの反則をした。
「あちゃー」
その時突き指をしたらしく、直ぐに交代した。
結局、午前中の予選で勝ち残ったのは男子の本気チームだけだった。
「午後からも頑張れよ」
「応援してるからな」
昼休憩にはみんなから激励を受けていた。
ともみは昼食が終わるとしゅんのところに行って話しかけた。
「もうちょっとやる気出したら。このままじゃ負けちゃうよ。バスケ得意なんでしょ」
「できるだけのことはやるよ」
しゅんは涼しそうな顔をしている。
なんでもっと本気出さないかなあ。
午後からの試合が始まった。
クラスみんな応援に来ている。
ともみは「みんな頑張れー」と声を出した。
決勝トーナメント一回戦は2年生の本気チーム。今までのように簡単ではない。中島の切り込み、バレー部宮本のリバウンドとコウキの速攻で何とかリードを保ち勝つことが出来た。
やっぱり足の速いコウキくんはカッコイイ。
相手のディフェンスを引き離してボールを受けてからのドリブルがスムーズなんだよなあ。
トーナメント2回戦は3年生のチーム。
ここに勝てば明日の準決勝に進出だが、相手の3年生は最後の球技大会ということでかなり熱い。
試合は1年生チームとしては大健闘と言えるシーソーゲームとなった。しかし、バレー部宮本が着地の際に相手プレーヤーと接触して足を捻挫してしまうアクシデントに見舞われた。
リバウンドのとれる宮本を失ったことで失点が増え徐々に点差が離れていった。
このままでは負けてしまう。
みんな頑張っているのに。
ともみは胸が張り裂ける思いだった。
「しゅんくん、頑張って。何とかして」
「勝手なこと言うなよ」
「全然、いいとこないじゃん」
ともみの声に反応したのか、しゅんはパスを受けるとはじめて前にドリブルで踏み込んだ。
そしてシュート体制に入った。
「外れても知らんからな」
そう呟いて放たれたシュートはゴールにスポンと吸い込まれていった。
うわー
と歓声が起こった。
「お前、スリーポイント打てるの?」とバスケ部の中島。
「ああ、確率悪いけど」
「もうそれに賭けるしかないな」
「外れても知らんからな」
「どうせ負けるんだったら、やるだけやってみよう」
中島はボールを受けると、しゅんにパスを集めた。
しゅんが連続でスリーポイントを決めると流れが変わり、中島のドリブルシュートが決まるようになった。
徐々に点差がつまり、残り時間が少なくなり、これが決まれば逆転勝ちというシュートをしゅんが放った。
入れ
とみんなが祈ったが、外れてしまった。
しかし、リバウンドを狙っていたコウキがボールを奪い、そのままゴールして逆転勝ちとなった。
「よっしゃああああ」
とコウキは雄叫びをあげた。
「きゃあああ」と1年生の黄色い声援が湧き、ともみはぴょんぴょんと飛び跳ねて喜んだ。
「やっぱコウキくんはすごいよねえ」
「うんうん」
その傍らで3年生達は肩を落とした。
しゅんは手首に手を当てて冷静にしている。
なんでこんな時まで冷めてるんだろう。あいつはみんなで騒ぐのが嫌いなんだろうな。せっかく本気チームなのにやる気ないし。
とにかく次の日は準決勝だ。
ともみはコウキの元へ祝福するために駆け寄った。
学級委員のともみとコウキは球技大会の説明と各チームのスケジュールを説明した。
球技大会は全学年対抗なのだ。
ちなみにともみ達1年生の体操着はエンジ色、2年生は紺色、3年生は緑色だ。
夏場なので上は白の半袖。
試合は体育館2コート、グランド4コートで行われる。
試合のない時間はグランドでアップをする。
なので女子は露出した肌に日焼け止めを塗りまくっている。
午前中は3チームによる予選が行われ、1位チームが午後からの決勝トーナメントに進出する。
準決勝と決勝は次の日の放課後。そこまで勝ち上がれば注目の的だ。
予選リーグで相手チームに本気チームがいなければ楽に勝ち上がれるのだが、ともみは達1年4組の本気チームは運悪く3年生の本気チームと戦うことになった。
1試合目の2年生チームと対戦した時は、バスケ部の後藤さんにボールを集めてシュートしてもらい、他のメンバーで守りを固める事で難なく勝つことが出来た。
しかし、3年生チームとの対戦では相手チームのバスケ部の子がスリーポイントシュートをバシバシ決めてくる。
前半は何とか食らいついていたが、後半になると徐々に離され、予選敗退してしまった。ともみは負けず嫌いなので最後まで必死でボールを追いかけ回した。
「悔しい」
と汗をタオルで拭きながら、息を切らした。
「ごめんね」とバスケ部の後藤さんが膝に手をついて呼吸している。
「いいよいいよ。今日は相手が悪かった」とあけみちゃん。体操着だと余計にスタイルの良さが目立つんだよな。
汗が引いたら再び日焼け止めを塗りたくって、
「そう言えば男子どうなったかな」
「見に行ってみようか」
とともみ達は体育館に行ってみた。
体育館の2階に上がると、コートではちょうど男子の本気チームが試合をしていて、20点差くらいリードしていた。
「楽勝じゃん」
「だね」
バン、バン、バンとドリブルをする音がしてコウキがレイアップシュートを決めた。
「すごい」
かっこいい。
セーフティリードを奪ってからしゅんが交代して出てきた。しゅんはやる気無さそうに右から来たボールを左へ、左から来たボールを右へパスしているだけだった。
おい。元幼馴染。もうちょっとやる気出せよ。
少ししてしんじが交代した。しんじはパスを受け損なって落としたボールを焦って取りに行きトラベリングの反則をした。
「あちゃー」
その時突き指をしたらしく、直ぐに交代した。
結局、午前中の予選で勝ち残ったのは男子の本気チームだけだった。
「午後からも頑張れよ」
「応援してるからな」
昼休憩にはみんなから激励を受けていた。
ともみは昼食が終わるとしゅんのところに行って話しかけた。
「もうちょっとやる気出したら。このままじゃ負けちゃうよ。バスケ得意なんでしょ」
「できるだけのことはやるよ」
しゅんは涼しそうな顔をしている。
なんでもっと本気出さないかなあ。
午後からの試合が始まった。
クラスみんな応援に来ている。
ともみは「みんな頑張れー」と声を出した。
決勝トーナメント一回戦は2年生の本気チーム。今までのように簡単ではない。中島の切り込み、バレー部宮本のリバウンドとコウキの速攻で何とかリードを保ち勝つことが出来た。
やっぱり足の速いコウキくんはカッコイイ。
相手のディフェンスを引き離してボールを受けてからのドリブルがスムーズなんだよなあ。
トーナメント2回戦は3年生のチーム。
ここに勝てば明日の準決勝に進出だが、相手の3年生は最後の球技大会ということでかなり熱い。
試合は1年生チームとしては大健闘と言えるシーソーゲームとなった。しかし、バレー部宮本が着地の際に相手プレーヤーと接触して足を捻挫してしまうアクシデントに見舞われた。
リバウンドのとれる宮本を失ったことで失点が増え徐々に点差が離れていった。
このままでは負けてしまう。
みんな頑張っているのに。
ともみは胸が張り裂ける思いだった。
「しゅんくん、頑張って。何とかして」
「勝手なこと言うなよ」
「全然、いいとこないじゃん」
ともみの声に反応したのか、しゅんはパスを受けるとはじめて前にドリブルで踏み込んだ。
そしてシュート体制に入った。
「外れても知らんからな」
そう呟いて放たれたシュートはゴールにスポンと吸い込まれていった。
うわー
と歓声が起こった。
「お前、スリーポイント打てるの?」とバスケ部の中島。
「ああ、確率悪いけど」
「もうそれに賭けるしかないな」
「外れても知らんからな」
「どうせ負けるんだったら、やるだけやってみよう」
中島はボールを受けると、しゅんにパスを集めた。
しゅんが連続でスリーポイントを決めると流れが変わり、中島のドリブルシュートが決まるようになった。
徐々に点差がつまり、残り時間が少なくなり、これが決まれば逆転勝ちというシュートをしゅんが放った。
入れ
とみんなが祈ったが、外れてしまった。
しかし、リバウンドを狙っていたコウキがボールを奪い、そのままゴールして逆転勝ちとなった。
「よっしゃああああ」
とコウキは雄叫びをあげた。
「きゃあああ」と1年生の黄色い声援が湧き、ともみはぴょんぴょんと飛び跳ねて喜んだ。
「やっぱコウキくんはすごいよねえ」
「うんうん」
その傍らで3年生達は肩を落とした。
しゅんは手首に手を当てて冷静にしている。
なんでこんな時まで冷めてるんだろう。あいつはみんなで騒ぐのが嫌いなんだろうな。せっかく本気チームなのにやる気ないし。
とにかく次の日は準決勝だ。
ともみはコウキの元へ祝福するために駆け寄った。
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