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第一章 運命の人
現代ではノートをコピーする
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隣の席のしゅんくんは常にマイペースだった。授業中に絵を描いたり、本を読んだり好きなようにしている。
普通なら先生に怒られるところを上手くのらりくらりとかわしている。
それと、特定の友達とつるんで行動している姿を見たことがない。
たいていひとりで行動している。かと言ってぼっちなのかといえばそうではなく、誰かしらから声をかけられているようだ。
そんなしゅんくんにもピンチが訪れた。
中間試験が始まったのだ。
早速、しゅんは手をこすりあわせながら
「ともみさん。ノート貸してくれませんか。元幼馴染のよしみで」と言ってきた。こういう時だけ元幼馴染を出してくるのは気に入らない。幼い頃のことはなんにも覚えてないくせに。
「何の教科がいるの?」
「それがその、全部なんだけど」と眉をしかめている。
ともみはしゅんが授業中にまったくノートを取っていないのを知っていた。
「悪いけど全部貸したらわたしが勉強できないから。無理」
「そこをなんとか。お代官様」
「無理、無理、むりー」
「そうだ、放課後残って勉強するってのはどう?その間に写すから」
「ええー。勝手なこと言わないでよ」
「だって部活休みでしょ」
「せっかく早く帰れると思ったのに」
「ねねね。そこをなんとかお願いします」
こいつ、そういうところだけはみょうに頭が回るんだな。
結局、ともみはしゅんに懇願されて放課後教室に残って勉強することになった。
まあ、これはこれで悪くないなとも思う。学校で勉強する方が集中できる。教室には他にも何人か残って勉強していた。
「字、綺麗だね」
「そう?」ともみはつい頬が緩んだ。
「俺なんか字汚くてさ。羨ましいよ」
しゅんのノートを見ると何を書いているのか分からない文字がノートに書き殴られていた。
「それ、後で読めるの?」
「さすがに自分で書いた字だから読めるじゃろ」
「じゃあこれは?」
「ア、アサチューセッツン、朝チューセッツン州。朝チュー接吻しよう」
「なわけないでしょ。マサチューセッツ州だよ。全然読めてないじゃん」
「だめだ。あきらめた」と言ってしゅんは後ろにのけぞった。
「諦めるの早すぎない?まだ10分しか経ってないじゃん」
「いいのいいの。奥の手があるから」
「奥の手って?」
「ちょっとお金かかるけど後で一緒にコンビニ行かん?なんか奢るけえ」
「コンビニってコピー取る気?」
「そう。それより因数分解のところ教えて。ここのところ聞いてなかったんよね」
「ていうか授業ほぼほぼ聞いてないじゃん」
「そうだっけ」しゅんはツッこまれて笑った。
ともみはなんかしゃくにさわるけど、笑ってるしゅんの顔がちょっとチャーミングに感じてしまった。
それから1時間ほど因数分解の問題を一緒に解いた。ともみがどうしても理解できなかった問題をしゅんが簡単に解いてしまったのには驚いた。こいつ頭は悪くないんだ。
時計は6時を少しすぎていた。
「コンビニに寄るならそろそろ帰らないと。わたし門限が7時なんだよね」
「そっか。じゃあ行こう」
2人は並んで自転車置き場に向かった。
そこにはなんとワタナベ君がいた。
普通なら先生に怒られるところを上手くのらりくらりとかわしている。
それと、特定の友達とつるんで行動している姿を見たことがない。
たいていひとりで行動している。かと言ってぼっちなのかといえばそうではなく、誰かしらから声をかけられているようだ。
そんなしゅんくんにもピンチが訪れた。
中間試験が始まったのだ。
早速、しゅんは手をこすりあわせながら
「ともみさん。ノート貸してくれませんか。元幼馴染のよしみで」と言ってきた。こういう時だけ元幼馴染を出してくるのは気に入らない。幼い頃のことはなんにも覚えてないくせに。
「何の教科がいるの?」
「それがその、全部なんだけど」と眉をしかめている。
ともみはしゅんが授業中にまったくノートを取っていないのを知っていた。
「悪いけど全部貸したらわたしが勉強できないから。無理」
「そこをなんとか。お代官様」
「無理、無理、むりー」
「そうだ、放課後残って勉強するってのはどう?その間に写すから」
「ええー。勝手なこと言わないでよ」
「だって部活休みでしょ」
「せっかく早く帰れると思ったのに」
「ねねね。そこをなんとかお願いします」
こいつ、そういうところだけはみょうに頭が回るんだな。
結局、ともみはしゅんに懇願されて放課後教室に残って勉強することになった。
まあ、これはこれで悪くないなとも思う。学校で勉強する方が集中できる。教室には他にも何人か残って勉強していた。
「字、綺麗だね」
「そう?」ともみはつい頬が緩んだ。
「俺なんか字汚くてさ。羨ましいよ」
しゅんのノートを見ると何を書いているのか分からない文字がノートに書き殴られていた。
「それ、後で読めるの?」
「さすがに自分で書いた字だから読めるじゃろ」
「じゃあこれは?」
「ア、アサチューセッツン、朝チューセッツン州。朝チュー接吻しよう」
「なわけないでしょ。マサチューセッツ州だよ。全然読めてないじゃん」
「だめだ。あきらめた」と言ってしゅんは後ろにのけぞった。
「諦めるの早すぎない?まだ10分しか経ってないじゃん」
「いいのいいの。奥の手があるから」
「奥の手って?」
「ちょっとお金かかるけど後で一緒にコンビニ行かん?なんか奢るけえ」
「コンビニってコピー取る気?」
「そう。それより因数分解のところ教えて。ここのところ聞いてなかったんよね」
「ていうか授業ほぼほぼ聞いてないじゃん」
「そうだっけ」しゅんはツッこまれて笑った。
ともみはなんかしゃくにさわるけど、笑ってるしゅんの顔がちょっとチャーミングに感じてしまった。
それから1時間ほど因数分解の問題を一緒に解いた。ともみがどうしても理解できなかった問題をしゅんが簡単に解いてしまったのには驚いた。こいつ頭は悪くないんだ。
時計は6時を少しすぎていた。
「コンビニに寄るならそろそろ帰らないと。わたし門限が7時なんだよね」
「そっか。じゃあ行こう」
2人は並んで自転車置き場に向かった。
そこにはなんとワタナベ君がいた。
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