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エスタ王国
北方三国は本当に攻めてくる?
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「アスカ! 元気になって良かった」
「ペルーラ、ありがとう。あなたが来てくれたおかげで助かったわ」
アスカはペルーラに頬ずりをした。
ペルーラは照れながら言った。
「いやいや、ホワイトブライアンが運良く通りかかったからだよ」
「そう言えば、ホワイトブライアンの背中に掴まってたような気が・・・。そう! エドワルド王子、王子はどうしたの? 一緒じゃなかったの?」
「王子は一緒じゃなかった」
「どういう事? 王子はどこなの? 」
「それが・・・はぐれてしまったらしい」
「そ、そんな。でも、ホワイトブライアンが無事なんだから、王子も無事よね」
「たぶん」
「たぶんて、敵に捕まった訳じゃないんでしょ」
「敵には捕まってないらしい・・・」
「じゃあ、きっとそのうち帰って来るよね」
なんだかペルーラの煮え切らない返答にアスカは弱冠苛立っていた。
「その事なんだけど、王子が帰ってくるよりも先に北方三国がここに攻めてきてる。ホワイトブライアンによると、戦艦の大部隊がこの国に向かっているそうなんだ」
「なんて事! この国が戦争になるって事?」
「そうなんだ。どうやら、エドワルド王子がジャルジャンの屋敷にいた事でエスタ王国も敵国とみなされたみたいなんだ」
「大変!」
「アスカ、療養中のところ悪いけど北方三国が攻めてきていることを、この国の人達に知らせて欲しい」
「もちろん!」
アスカとペルーラは部屋を飛び出した。
だけど、どうしよう。誰にどうやって知らせたらいいかしら。
そうだ!まずはイル博士に相談するべきだ。
アスカはイル博士の部屋に向かった。
「イル博士! 大変です。 北方三国がこの国に戦艦部隊で攻めて来ています!」
「なに!? それは本当か? 」
「本当です!」
とアスカが真顔で即答するが、イル博士は懐疑的な表情をしている。
「いや、決して君の事を信じていないわけではないのだが、この国の軍を動かすにはみんなを説得する必要がある。北方三国が攻めてきているというのは確実なのかな」
アスカは言われてみて気づいた。確かにそうだ。ペルーラから聞いたなんて言っても信じてもらえるわけがない。
ペルーラからの情報はホワイトブライアンから聞いたことなので、アスカには疑いの余地はないのだが。
そもそも、イル博士には姿を消している精霊のペルーラさえも見えていないはずだ。イル博士にホワイトブライアンが言っているなんて説明しても信じてもらえないだろう。
そこへ、シルバン王子が現れた。
「悪いけど、今の話は聞かせてもらったよ」
「シルバン王子、ちょうどよかった。北方三国が本当に攻めてくるなら、このまま無防備にしていては大変なことになる。かと言って国王が信じて軍を動かしてくれるかどうか・・・」
「それなんだけど、僕にいいアイデアがある」
「ペルーラ、ありがとう。あなたが来てくれたおかげで助かったわ」
アスカはペルーラに頬ずりをした。
ペルーラは照れながら言った。
「いやいや、ホワイトブライアンが運良く通りかかったからだよ」
「そう言えば、ホワイトブライアンの背中に掴まってたような気が・・・。そう! エドワルド王子、王子はどうしたの? 一緒じゃなかったの?」
「王子は一緒じゃなかった」
「どういう事? 王子はどこなの? 」
「それが・・・はぐれてしまったらしい」
「そ、そんな。でも、ホワイトブライアンが無事なんだから、王子も無事よね」
「たぶん」
「たぶんて、敵に捕まった訳じゃないんでしょ」
「敵には捕まってないらしい・・・」
「じゃあ、きっとそのうち帰って来るよね」
なんだかペルーラの煮え切らない返答にアスカは弱冠苛立っていた。
「その事なんだけど、王子が帰ってくるよりも先に北方三国がここに攻めてきてる。ホワイトブライアンによると、戦艦の大部隊がこの国に向かっているそうなんだ」
「なんて事! この国が戦争になるって事?」
「そうなんだ。どうやら、エドワルド王子がジャルジャンの屋敷にいた事でエスタ王国も敵国とみなされたみたいなんだ」
「大変!」
「アスカ、療養中のところ悪いけど北方三国が攻めてきていることを、この国の人達に知らせて欲しい」
「もちろん!」
アスカとペルーラは部屋を飛び出した。
だけど、どうしよう。誰にどうやって知らせたらいいかしら。
そうだ!まずはイル博士に相談するべきだ。
アスカはイル博士の部屋に向かった。
「イル博士! 大変です。 北方三国がこの国に戦艦部隊で攻めて来ています!」
「なに!? それは本当か? 」
「本当です!」
とアスカが真顔で即答するが、イル博士は懐疑的な表情をしている。
「いや、決して君の事を信じていないわけではないのだが、この国の軍を動かすにはみんなを説得する必要がある。北方三国が攻めてきているというのは確実なのかな」
アスカは言われてみて気づいた。確かにそうだ。ペルーラから聞いたなんて言っても信じてもらえるわけがない。
ペルーラからの情報はホワイトブライアンから聞いたことなので、アスカには疑いの余地はないのだが。
そもそも、イル博士には姿を消している精霊のペルーラさえも見えていないはずだ。イル博士にホワイトブライアンが言っているなんて説明しても信じてもらえないだろう。
そこへ、シルバン王子が現れた。
「悪いけど、今の話は聞かせてもらったよ」
「シルバン王子、ちょうどよかった。北方三国が本当に攻めてくるなら、このまま無防備にしていては大変なことになる。かと言って国王が信じて軍を動かしてくれるかどうか・・・」
「それなんだけど、僕にいいアイデアがある」
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