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見知らぬ森で目覚める
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アスカが目を覚ますと、そこは見知らぬ森の中だった。
辺りには無数の針葉樹林がそびえ立っており、見上げると葉の間から柔らかな光が注いできている。
地面には所々草が生え、花が咲いている。
日本では見慣れない植物達だった。
アスカは不思議に思い、立ち上がった。
辺りを散策する。
もしかしてわたしは死んだ?
ここが天国なのだろうか。
混乱する頭を振り、腕時計の事を思い出して左手を確認する。
月の形をした腕時計はそのままだった。
そして、時を刻んでいる。
直ったのだわ!
思わずガッツポーズをする。もしかしたらあの黒人が修理した時に直っていたのかもしれない。
嬉しい!そしてありがとう。
しかし、ここはどこ? 夢にしてはリアルすぎる。
辺りを見回すとあの黒猫がいた。
「隠れて! 何か来るよ」
「あなた喋れるの?」
「僕はその腕時計に付いている精霊なんだ。名前はペルーラ。それよりなにか危険なものが近づいてくる。隠れて!」
「え!精霊?」
「はやく!」
耳を済ませると確かにざわついた音が近づいてくる。
アスカは急いで近くの大木の影に身を寄せた。
しばらくすると、動物の皮をきた男達が三人馬に乗って現れた。三人とも獣のような鋭い目をしている。
「この辺りで女の匂いがする。デヘヘへへ」
「ほんとだ。この辺りだぜ」
「探そうぜ」
クンクンとアスカの匂いを嗅ぎつけた男どもが近づいてくる。
「ダメだ。みつかる。逃げよう!」と走り出すペルーラにアスカはついて行く。
しかし、既に時遅く、見つかってしまった。
「いたぞ!」と言う掛け声とともに三人の男達に取り囲まれてしまった。
「なかなかいい女じゃねえか」
「ああ、とびきりの上物だぜ」
「しかし、変な服を着ているな」と紺色のスラックスに白系のシャツを着ているアスカを見て言う。
「まるで異世界ファンタジーだぜ」
は? こいつら何言ってんの?
獣の皮を着てるお前らにそんな事言われたくないわ。
ん? そういえば、不思議なことに言葉が理解できてる。やっぱりこれは夢の中?
と、馬から降りた男達が獣のように俊敏な動きでアスカに襲いかかってきた。
そのうちの一人に腕を掴まれた。
痛い!
やっぱりこれは夢じゃないわ。
獣臭いし。
アスカはとっさに少林寺拳法の技で掴まれた手を振りほどくと、相手の顎を正拳で付いた。正拳はヒットしたが男はびくともしない。
殴られた男はニヤリとして
「可愛いね~」と言いながら地面に唾を吐いた。
アスカは背面にいた男に抱きつかれ、身動きが取れなくなった。ものすごい力だ。
そして臭い。
嗅いだことの無いような強烈な獣臭さとアンモニア臭が鼻をつく。
「やめて!」足をバタバタさせるが三人の屈強な男どもに押さえつけられてはどうにもならない。しかも棍棒のような武器を持っている。
「大人しくしろよ。お嬢ちゃん」
男どもはアスカの手足をロープで縛って猿ぐつわをはめると馬の背中に乗せて走らせた。
アスカは状況が飲み込めず、ただただ怖くて震えていた。
辺りには無数の針葉樹林がそびえ立っており、見上げると葉の間から柔らかな光が注いできている。
地面には所々草が生え、花が咲いている。
日本では見慣れない植物達だった。
アスカは不思議に思い、立ち上がった。
辺りを散策する。
もしかしてわたしは死んだ?
ここが天国なのだろうか。
混乱する頭を振り、腕時計の事を思い出して左手を確認する。
月の形をした腕時計はそのままだった。
そして、時を刻んでいる。
直ったのだわ!
思わずガッツポーズをする。もしかしたらあの黒人が修理した時に直っていたのかもしれない。
嬉しい!そしてありがとう。
しかし、ここはどこ? 夢にしてはリアルすぎる。
辺りを見回すとあの黒猫がいた。
「隠れて! 何か来るよ」
「あなた喋れるの?」
「僕はその腕時計に付いている精霊なんだ。名前はペルーラ。それよりなにか危険なものが近づいてくる。隠れて!」
「え!精霊?」
「はやく!」
耳を済ませると確かにざわついた音が近づいてくる。
アスカは急いで近くの大木の影に身を寄せた。
しばらくすると、動物の皮をきた男達が三人馬に乗って現れた。三人とも獣のような鋭い目をしている。
「この辺りで女の匂いがする。デヘヘへへ」
「ほんとだ。この辺りだぜ」
「探そうぜ」
クンクンとアスカの匂いを嗅ぎつけた男どもが近づいてくる。
「ダメだ。みつかる。逃げよう!」と走り出すペルーラにアスカはついて行く。
しかし、既に時遅く、見つかってしまった。
「いたぞ!」と言う掛け声とともに三人の男達に取り囲まれてしまった。
「なかなかいい女じゃねえか」
「ああ、とびきりの上物だぜ」
「しかし、変な服を着ているな」と紺色のスラックスに白系のシャツを着ているアスカを見て言う。
「まるで異世界ファンタジーだぜ」
は? こいつら何言ってんの?
獣の皮を着てるお前らにそんな事言われたくないわ。
ん? そういえば、不思議なことに言葉が理解できてる。やっぱりこれは夢の中?
と、馬から降りた男達が獣のように俊敏な動きでアスカに襲いかかってきた。
そのうちの一人に腕を掴まれた。
痛い!
やっぱりこれは夢じゃないわ。
獣臭いし。
アスカはとっさに少林寺拳法の技で掴まれた手を振りほどくと、相手の顎を正拳で付いた。正拳はヒットしたが男はびくともしない。
殴られた男はニヤリとして
「可愛いね~」と言いながら地面に唾を吐いた。
アスカは背面にいた男に抱きつかれ、身動きが取れなくなった。ものすごい力だ。
そして臭い。
嗅いだことの無いような強烈な獣臭さとアンモニア臭が鼻をつく。
「やめて!」足をバタバタさせるが三人の屈強な男どもに押さえつけられてはどうにもならない。しかも棍棒のような武器を持っている。
「大人しくしろよ。お嬢ちゃん」
男どもはアスカの手足をロープで縛って猿ぐつわをはめると馬の背中に乗せて走らせた。
アスカは状況が飲み込めず、ただただ怖くて震えていた。
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