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ジャン=ジャック・ルソー
サヴォワ人の坊さんゲーム
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ルソーはヴェリセリス夫人の下で勤めていた間に知り合った人を訪ねて回った。
そこで、サヴォワ人で坊さんのゲーム氏の話が面白くて師匠と仰いだ。
ルソーはそれまでは、自然に身を任せるのが一番だと考えていた。
なので、社会に不適合な事もした。
フルチンで女性の前に出没もした。
しかし、それでは社会には受け入れてもらえそうもない。
一体どうすればいいのか。
自分は何を目的に生きて行けばいいのか。
自分が何者かわからぬ状態であった。
偉くなりたい。
それが本心だった。
しかし、その夢はことごとく打ち砕かれていた。
本を読む事だけは続けていたルソーにとって、明らかに自分より知識のない、能力のない、劣っているものが偉い身分になっていることをルソーは感じていた。
ゲーム氏は諭した。
「君の天性や才能は出世する事を妨げるだろう。むしろ、君は偉くなることにとらわれない生き方をした方がその能力が活かされるのではないか」
ゲーム氏はルソーが人生というもののとらえかたを誤っていると教えてくれた。
「支配する方が支配される方よりも幸福なわけではない」とゲーム氏は言う。
この事を理解したルソーは、彼を縛ってきた偉大になりたいという熱を冷ました。
つまり、地位を上げることで幸福になるのではない。同じ地位の中でも、英知を持っていれば幸福になることが出来るということだ。地位をあげるよりも周りから敬愛される事の方がどれだけまさっているか。
その事をルソーは悟った。
ルソーはゲームという坊さんを好きになっていった。ゲームはルソーに職を世話してくれた訳でもない。ルソーはただ、いい事をしてくれたという事実よりも、しようとしてくれたことに対して惹かれる性分なのだ。
ゲーム氏が親身になってルソーに語る言葉はルソーにいい影響を与えていった。ルソーは以前のようなやけくその反抗的な行動は慎むようになった。
ぶらぶらしてニート生活をしていたルソーに幸運が舞い込んだ。ラ・ロック氏がグーヴォン伯爵の家に勤める職を紹介してくれたのだ。
最初は下僕なのかとガッカリしていたが、ルソーの学識を知ると、グーヴォン伯爵は特別扱いをしてくれた。
ルソーがフランス語に精通していることを知ると、グーヴォン伯爵はルソーに勉強する機会を与えてくれた。グーヴォン伯爵は将来、家中に大臣の道に進むものを出したいと思っていたので、その信頼を得るような有為な人材を家中に養いたいと考えていたのである。
ルソーはその人物として適していた。ルソーは日に日にみんなの尊敬と信頼を集め、順調に過ごしていた。
しかし、ジュネーヴ出身の少年が現れることで、その生活は一転することになってしまったのだ。
そこで、サヴォワ人で坊さんのゲーム氏の話が面白くて師匠と仰いだ。
ルソーはそれまでは、自然に身を任せるのが一番だと考えていた。
なので、社会に不適合な事もした。
フルチンで女性の前に出没もした。
しかし、それでは社会には受け入れてもらえそうもない。
一体どうすればいいのか。
自分は何を目的に生きて行けばいいのか。
自分が何者かわからぬ状態であった。
偉くなりたい。
それが本心だった。
しかし、その夢はことごとく打ち砕かれていた。
本を読む事だけは続けていたルソーにとって、明らかに自分より知識のない、能力のない、劣っているものが偉い身分になっていることをルソーは感じていた。
ゲーム氏は諭した。
「君の天性や才能は出世する事を妨げるだろう。むしろ、君は偉くなることにとらわれない生き方をした方がその能力が活かされるのではないか」
ゲーム氏はルソーが人生というもののとらえかたを誤っていると教えてくれた。
「支配する方が支配される方よりも幸福なわけではない」とゲーム氏は言う。
この事を理解したルソーは、彼を縛ってきた偉大になりたいという熱を冷ました。
つまり、地位を上げることで幸福になるのではない。同じ地位の中でも、英知を持っていれば幸福になることが出来るということだ。地位をあげるよりも周りから敬愛される事の方がどれだけまさっているか。
その事をルソーは悟った。
ルソーはゲームという坊さんを好きになっていった。ゲームはルソーに職を世話してくれた訳でもない。ルソーはただ、いい事をしてくれたという事実よりも、しようとしてくれたことに対して惹かれる性分なのだ。
ゲーム氏が親身になってルソーに語る言葉はルソーにいい影響を与えていった。ルソーは以前のようなやけくその反抗的な行動は慎むようになった。
ぶらぶらしてニート生活をしていたルソーに幸運が舞い込んだ。ラ・ロック氏がグーヴォン伯爵の家に勤める職を紹介してくれたのだ。
最初は下僕なのかとガッカリしていたが、ルソーの学識を知ると、グーヴォン伯爵は特別扱いをしてくれた。
ルソーがフランス語に精通していることを知ると、グーヴォン伯爵はルソーに勉強する機会を与えてくれた。グーヴォン伯爵は将来、家中に大臣の道に進むものを出したいと思っていたので、その信頼を得るような有為な人材を家中に養いたいと考えていたのである。
ルソーはその人物として適していた。ルソーは日に日にみんなの尊敬と信頼を集め、順調に過ごしていた。
しかし、ジュネーヴ出身の少年が現れることで、その生活は一転することになってしまったのだ。
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