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スライムとのサバイバル生活

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スライムは涼介をじっと見つめながらゆっくりと起き上がった。そして、涼介の手の上にの木の実を見つけるとパクリと食いついた。ブラックバスのような大きな口で涼介の手を丸ごと飲み込んだので、涼介は驚いて反射的に手を引っ込めようとしたが抜けなかった。ただ、痛くはなく、舌で舐められているようなヌメヌメとした感触が手に伝わり、くすぐったかった。

木の実はスライムの体の中で消化され、スライムの体力はみるみるうちに回復した。そして、もっともっととおねだりするように飛び跳ねるので、涼介は木の実を探してきて岩で殻を砕いた。スライムは涼介の砕いた木の実を片っ端からガツガツと食べた。その食欲は旺盛で、怖いくらいだった。一度などは殻付きの木の実を丸ごと飲み込んだ。しかし、流石に殻は消化されず、木の実はそのまま肛門から出てきた。

食欲が落ち着くとスライムは林の中に何かを求めて入っていった。何か匂いでもするのだろうか。涼介が後をついて行くと、そこには湧き水で出来た小さな小川があった。スライムはその水をガブガブと飲んだ。しばらくしてパンパンに膨らんで身動き出来なくなったスライムを見て涼介は笑った。

とにかく元気が出てきたスライムを見てほっとした。涼介はスライムを放っておくことも出来ないし、町に連れていくことも出来ない。しばらくこの林の中で、スライムとサバイバルしようと決意した。

 スライムとのサバイバル生活は意外なほど上手くいった。スライムは食物や飲み物の在処を感知する能力が高く、スライムについて行けば果物や木の実、水場を簡単に見つけることが出来た。

しかし、だんだんと夜が寒くなって来るようになり、これから冬が訪れる予感がした。このまま、草むらで野宿して暮らす訳にもいかない。

なんとか冬に向けて過ごせる場所がないか探し回った。廃墟のようなものがないか期待して林の中を歩き回ったが、林の中は人が立ち入った気配はほとんどなく、自然に満ちていた。

諦めて林から少し奥に行った岩場を散策していると、小さな洞穴があった。奥の方には平らなスペースがあり、居住空間としては十分だった。

涼介とスライムはその洞穴の中にせっせと冬の暮らしに備えて食料やマキを蓄えた。そうして少しずつ生活が改善し、生きる知恵や体力がついていった。

そうして余裕が出てくると、涼介はスライムを洞穴に残して時々町に出てお金を稼ぐ事を再開した。お金がないと豊かな生活は期待できない。

久しぶりに端末を確認してみると、サバイバルしていたせいか、経験値が凄く上がっていて仕事の選択肢が増えていた。その中に山菜やキノコ採取の仕事があった。最初は農家の人達について行って採取方法を学んだ。だんだん山菜やキノコの知識が増えてくると、林の中にも沢山食べられる山菜やキノコがなっている事に気づいた。

町の人達にとっては林は遠すぎて採取場所としては人気がなかった。それに獣と出くわす危険性があるので、町の人達にとっては安全な町の近くにある山での採取で十分だった。

スライムは山菜やキノコの在処を簡単に見つけ出すことができた。なので、林の中にはお金になる宝の山があったわけだ。

ただ、洞窟は町からとても遠くて大変だった。涼介は街に出る時は往復で20キロメートルほど歩く必要があった。なので、あまり沢山の山菜やキノコを担いで町に持っていくことは出来なかった。
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