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スライム助けたい
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涼介は死んだように眠っているスライムの傍に戻った。半透明な体の中で小さな心臓が脈打っているのでまだ生きていることが確認できる。
改めてよく見てみるとまるでクラゲのようだと思った。クラゲに心臓があったかどうか涼介には思い出せなかったが、クラゲにはなかったとしても外から心臓の動きが見ることの出来る透明な生き物が海にはいたはずだ。
涼介がしばらくその小さな心臓の動きを観察していると突然逆流しはじめた。心臓の右から左へ粒子が移動していたのが、左から右へ移動し始めたのだ。涼介は驚き、このままでは死んでしまうのではないかと心配した。
しかし、どうやら心臓の逆流は約一分間隔で定期的に起こっているようだ。
このスライムにとっては時々血流が逆流するのが本来の動きなのだろう。なぜなのかよく分からないが、とても不思議だった。効率は悪いに違いない。しかし、左だろうが右だろうが血液を一生懸命運んでいる。そのけなげな心臓の動きを見ていると、涼介はこのスライムを助けたいと強く思った。
しかし、スライムは明らかに弱ってきていた。呼吸は浅く早くなり、心臓の動きも活力が無くなってきている。スライムの命は多分あと数時間しか持たない。涼介は居てもたってもいられなくなり、痛い体に鞭打って食料を探すことにした。何とかして早く栄養のあるものを見つけなければならない。
手当り次第草を抜き、その葉や根っこが食べられるか噛んで確かめてみた。しかし、どれもこれも苦くて時には舌が痺れるような感触のものもあった。焦れば焦るほど作業は雑になり、同じような草ばかり抜いていた。
落ち着け、落ち着け、落ち着け
できるはず、できるはず、できるはず
そう唱えながら動き回ったが体力の限界が来た。
舌も痺れて味が分からない。
涼介は一旦体力の回復に務めた。その間も頭はフル回転させて食べれるものを見つけ出そうとした。涼介の血走った目がギョロギョロと辺りを見回す。
焦るな。
きっと答えはあるはず。
俺はクイズが得意じゃないか。テレビのクイズ番組のように冷静に答えを見つければいいんだ。
ところが涼介の弱気が芽を出してきた。
テレビのクイズ番組には100パーセント答えがあるが、今の状況に答えがあるのかどうか分からないじゃないか。
もし、答えがなかったら考えても無駄じゃないか。
涼介の心はだんだんと不安に支配されて苦しくなってきた。
自分の無力さに絶望した。
自然と涙が出てきた。
健気に動くスライムの心臓を思い出すと涙がさらに溢れてきた。
あともう少し、あと数分頑張ってみよう。
たとえスライムが死んだとしても後悔しないように全力を出し尽くそう。
そう思った時、結果を恐れない気持ちが現れて心が落ち着き、すーと辺りの気配が感じられた。
この林の中には沢山生き物がいるじゃないか。虫や小動物や鳥など視界に入るだけでも様々な生き物がいる。
こいつらは何を食べているのだろう。
ふとそう思った。
涼介は草むらの影に潜んで観察した。鳥は果実をつついていた。しかし、果実はなっている場所が高すぎて手が届きそうにもなかった。
木の幹をリスが下りて来た。リスは地面に穴を掘り何かを埋めて去っていった。
涼介はリスに申し訳なく思いながら、埋めた場所を掘り返した。そこには木の実が埋まっていた。涼介は木の実をいくつか手に入れた。
しかし、とてつもなく硬い殻に覆われていて食べる事が出来ない。
改めてよく見てみるとまるでクラゲのようだと思った。クラゲに心臓があったかどうか涼介には思い出せなかったが、クラゲにはなかったとしても外から心臓の動きが見ることの出来る透明な生き物が海にはいたはずだ。
涼介がしばらくその小さな心臓の動きを観察していると突然逆流しはじめた。心臓の右から左へ粒子が移動していたのが、左から右へ移動し始めたのだ。涼介は驚き、このままでは死んでしまうのではないかと心配した。
しかし、どうやら心臓の逆流は約一分間隔で定期的に起こっているようだ。
このスライムにとっては時々血流が逆流するのが本来の動きなのだろう。なぜなのかよく分からないが、とても不思議だった。効率は悪いに違いない。しかし、左だろうが右だろうが血液を一生懸命運んでいる。そのけなげな心臓の動きを見ていると、涼介はこのスライムを助けたいと強く思った。
しかし、スライムは明らかに弱ってきていた。呼吸は浅く早くなり、心臓の動きも活力が無くなってきている。スライムの命は多分あと数時間しか持たない。涼介は居てもたってもいられなくなり、痛い体に鞭打って食料を探すことにした。何とかして早く栄養のあるものを見つけなければならない。
手当り次第草を抜き、その葉や根っこが食べられるか噛んで確かめてみた。しかし、どれもこれも苦くて時には舌が痺れるような感触のものもあった。焦れば焦るほど作業は雑になり、同じような草ばかり抜いていた。
落ち着け、落ち着け、落ち着け
できるはず、できるはず、できるはず
そう唱えながら動き回ったが体力の限界が来た。
舌も痺れて味が分からない。
涼介は一旦体力の回復に務めた。その間も頭はフル回転させて食べれるものを見つけ出そうとした。涼介の血走った目がギョロギョロと辺りを見回す。
焦るな。
きっと答えはあるはず。
俺はクイズが得意じゃないか。テレビのクイズ番組のように冷静に答えを見つければいいんだ。
ところが涼介の弱気が芽を出してきた。
テレビのクイズ番組には100パーセント答えがあるが、今の状況に答えがあるのかどうか分からないじゃないか。
もし、答えがなかったら考えても無駄じゃないか。
涼介の心はだんだんと不安に支配されて苦しくなってきた。
自分の無力さに絶望した。
自然と涙が出てきた。
健気に動くスライムの心臓を思い出すと涙がさらに溢れてきた。
あともう少し、あと数分頑張ってみよう。
たとえスライムが死んだとしても後悔しないように全力を出し尽くそう。
そう思った時、結果を恐れない気持ちが現れて心が落ち着き、すーと辺りの気配が感じられた。
この林の中には沢山生き物がいるじゃないか。虫や小動物や鳥など視界に入るだけでも様々な生き物がいる。
こいつらは何を食べているのだろう。
ふとそう思った。
涼介は草むらの影に潜んで観察した。鳥は果実をつついていた。しかし、果実はなっている場所が高すぎて手が届きそうにもなかった。
木の幹をリスが下りて来た。リスは地面に穴を掘り何かを埋めて去っていった。
涼介はリスに申し訳なく思いながら、埋めた場所を掘り返した。そこには木の実が埋まっていた。涼介は木の実をいくつか手に入れた。
しかし、とてつもなく硬い殻に覆われていて食べる事が出来ない。
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