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5章 激闘、二回戦!
024話 二回戦と、激闘の開始と ①
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SIDE:MEI
「予想通り、次鋒に有栖川ちゃんを入れてきましたね」
「向こうとしては有栖川のシングルは絶対取る計算だ。こちらの妙高で取らせないようにする」
先輩とコーチが話している。
アタシ刈屋明依では有栖川に勝てないと言われているようで腹が立つが、顔には出さない。
「刈屋、お前も高校デビュー戦だ。一回戦を見た限り普通に戦えば勝てる相手だ。油断はしないように」
「はい」
工藤なんて子、市大会でも見たことが無い。おそらく中学は区大会止まりだったんだろう。
勝ち負けなんかじゃない、三回戦でも使ってもらえるように圧倒的な差を見せ付けないと。
それにしてもこの工藤って子、一回戦の動画を見ると全体的にフォームが有栖川に似ている。いくら高校が一緒になったから真似したからって、高々一か月やそこらでここまで似るものかしら?
***
SIDE:YUNO
「見事に外してきましたね」
「マリ女ならプライドでオーダー弄らないと思ったんだけどなぁ」
前原先生と絵東先輩が話している。
オーダー表の交換が行われ、こちらの予想に反し、マリ女の先鋒は一年の刈屋さん、次鋒がエースの妙高さんだった。
つまり、先鋒が美夏対刈屋さん、次鋒が稔里ちゃん対妙高さんとなる。
ダブルスは絵東・有栖川組対妙高・村川組。これは外しようがない。
副将が絵東先輩対高町さん、大将が私鈴原対村川さん。後半は想定通りだ。
「この前の妙高さんも朝の村川さんも、ブランクがあっても絵東さんには一目置いている感じがありました。みのりちゃんと二人の事は警戒していると思います」
私の言葉に先輩が答える。
「ありがとねゆのち。さて、思ってたのとオーダーは少し違ったけど、五つのうち三つ取ればいいだけの話だから。全員取りに行くよ」
「はい!」
絵東先輩が稔里ちゃんと美夏を呼び寄せる。
「アリス」
「はい、ユキさん」
「くどみかに、メイちゃんのプレースタイルと弱点教えてあげて」
「わかりました」
「みのりん頼んだ!」
刈屋さんのことはマリ女で三年間一緒にプレーしていた稔里ちゃんが一番わかっている。
「刈屋さんは、基本は前陣ですが下がってロングドライブなども普通に打ちます。オールラウンドと思っていた方がいいと思います」
「ふむふむ、ちょっと前目のみのりんみたいな感じ?」
「うん、そんな感じ」
強気っぽい見た目からバリバリの前陣速攻をイメージしていたけどさすがマリ女、なんでもできるようだ。弱点なんてあるんだろうか。
「それで、刈屋さんの弱点だけど」
「うんうん」
「攻撃リズムが単調になりやすいの。速攻なら速攻、ロングドライブならロングドライブの打ち合いをしばらく続ける。そして、自分で単調になっていることに気付いてリズムを変えようとするんだけど、その時の球が甘くなりやすい」
「フェイントとかコース変えるボールが甘いってこと?」
「そう。単調といっても速さも回転もすごいボールだから、甘いボールでフェイントかけても普通は有効なんだけど」
たしかに事前情報で教えてもらわないとそれを狙おうとは準備できない。
「それを狙って攻撃、ってこと?」
「くどみかだからできると思ってアリスは言っているんだよ」
先輩が美夏を後押しする。
「アリスはできないことは話さない。普段のくどみかを見て、これならできると思って言ってるから」
「うん。工藤さんなら大丈夫」
これだけ言ってもらっていて、美夏の反応がない。
「ミカ?」
「うん、ありがと。ふぅ……打ち合いで粘る、コースの変わり端を打つ……」
美夏はすでに試合モードに入っていた。試合へ臨む状態として、こうなった美夏はもう私の言葉なんて必要ない。
ちょうど相手側コートにマリ女のメンバーが入ってきた。伝統と威圧の真っ青なユニフォーム。でも不思議と怖さは無かった。以前と今朝で団体戦メンバー全員の顔を知っていたというのもあるだろうか。
シングルスの順番に整列する。四番手、私の目の前は相手のダブルエースの一人、村川極李さん。背丈も風格もあるが、飲まれないように努めてポーカーフェイスで相対する。
「女子二回戦、札幌山花高校対聖マリヤ女学院高校の試合を開始します。礼」
「よろしくお願いします!」
決戦の時が来た。
「予想通り、次鋒に有栖川ちゃんを入れてきましたね」
「向こうとしては有栖川のシングルは絶対取る計算だ。こちらの妙高で取らせないようにする」
先輩とコーチが話している。
アタシ刈屋明依では有栖川に勝てないと言われているようで腹が立つが、顔には出さない。
「刈屋、お前も高校デビュー戦だ。一回戦を見た限り普通に戦えば勝てる相手だ。油断はしないように」
「はい」
工藤なんて子、市大会でも見たことが無い。おそらく中学は区大会止まりだったんだろう。
勝ち負けなんかじゃない、三回戦でも使ってもらえるように圧倒的な差を見せ付けないと。
それにしてもこの工藤って子、一回戦の動画を見ると全体的にフォームが有栖川に似ている。いくら高校が一緒になったから真似したからって、高々一か月やそこらでここまで似るものかしら?
***
SIDE:YUNO
「見事に外してきましたね」
「マリ女ならプライドでオーダー弄らないと思ったんだけどなぁ」
前原先生と絵東先輩が話している。
オーダー表の交換が行われ、こちらの予想に反し、マリ女の先鋒は一年の刈屋さん、次鋒がエースの妙高さんだった。
つまり、先鋒が美夏対刈屋さん、次鋒が稔里ちゃん対妙高さんとなる。
ダブルスは絵東・有栖川組対妙高・村川組。これは外しようがない。
副将が絵東先輩対高町さん、大将が私鈴原対村川さん。後半は想定通りだ。
「この前の妙高さんも朝の村川さんも、ブランクがあっても絵東さんには一目置いている感じがありました。みのりちゃんと二人の事は警戒していると思います」
私の言葉に先輩が答える。
「ありがとねゆのち。さて、思ってたのとオーダーは少し違ったけど、五つのうち三つ取ればいいだけの話だから。全員取りに行くよ」
「はい!」
絵東先輩が稔里ちゃんと美夏を呼び寄せる。
「アリス」
「はい、ユキさん」
「くどみかに、メイちゃんのプレースタイルと弱点教えてあげて」
「わかりました」
「みのりん頼んだ!」
刈屋さんのことはマリ女で三年間一緒にプレーしていた稔里ちゃんが一番わかっている。
「刈屋さんは、基本は前陣ですが下がってロングドライブなども普通に打ちます。オールラウンドと思っていた方がいいと思います」
「ふむふむ、ちょっと前目のみのりんみたいな感じ?」
「うん、そんな感じ」
強気っぽい見た目からバリバリの前陣速攻をイメージしていたけどさすがマリ女、なんでもできるようだ。弱点なんてあるんだろうか。
「それで、刈屋さんの弱点だけど」
「うんうん」
「攻撃リズムが単調になりやすいの。速攻なら速攻、ロングドライブならロングドライブの打ち合いをしばらく続ける。そして、自分で単調になっていることに気付いてリズムを変えようとするんだけど、その時の球が甘くなりやすい」
「フェイントとかコース変えるボールが甘いってこと?」
「そう。単調といっても速さも回転もすごいボールだから、甘いボールでフェイントかけても普通は有効なんだけど」
たしかに事前情報で教えてもらわないとそれを狙おうとは準備できない。
「それを狙って攻撃、ってこと?」
「くどみかだからできると思ってアリスは言っているんだよ」
先輩が美夏を後押しする。
「アリスはできないことは話さない。普段のくどみかを見て、これならできると思って言ってるから」
「うん。工藤さんなら大丈夫」
これだけ言ってもらっていて、美夏の反応がない。
「ミカ?」
「うん、ありがと。ふぅ……打ち合いで粘る、コースの変わり端を打つ……」
美夏はすでに試合モードに入っていた。試合へ臨む状態として、こうなった美夏はもう私の言葉なんて必要ない。
ちょうど相手側コートにマリ女のメンバーが入ってきた。伝統と威圧の真っ青なユニフォーム。でも不思議と怖さは無かった。以前と今朝で団体戦メンバー全員の顔を知っていたというのもあるだろうか。
シングルスの順番に整列する。四番手、私の目の前は相手のダブルエースの一人、村川極李さん。背丈も風格もあるが、飲まれないように努めてポーカーフェイスで相対する。
「女子二回戦、札幌山花高校対聖マリヤ女学院高校の試合を開始します。礼」
「よろしくお願いします!」
決戦の時が来た。
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