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2章 卓球をはじめよう!
007話 初練習と、特技と ①
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SIDE:YUNO
入部届を出した翌日。
「ゆのー、有栖川ちゃん、行こうぜー!」
放課後になった途端に、隣の教室から私の幼馴染にして同じ卓球部員となった工藤美夏が勢いよくやってくる。
「工藤さんこんにちは」
「ういっすー」
入口側に近い席の稔里ちゃんと合流する美夏。私も荷物をまとめて稔里ちゃんの席へ行く。
「それじゃ行こうか」
放課後すぐの女子更衣室はそれなりの人口密度だった。ただ、元々体育会系に入る人が少ない高校ということもあり、着替えるスペースも見つからないというようなことはないらしい。
「とりあえず体育のジャージで良かったかな」
「いいんじゃない、部活のジャージとか作るのはもう少し先だろうし」
そんな会話を美夏としながら、ふと逆側を見ると、そこにはスカートの下から短パンを摺り上げて、全身卓球のユニフォーム姿になろうとしている稔里ちゃんの姿があった。
短パンを膝上まで上げた体勢の稔里ちゃんと目が合う。
「え、柚乃さんユニじゃない、の?」
「いや、初日は身体慣らす程度かなって」
稔里ちゃんにやる気がないと思われてしまっただろうか。
やらかしてしまったと焦るところに、更衣室に絵東先輩が入ってくる。
「え、アリス初日からユニ着てきたん? 今日はあくまで慣らしだから無理すんなよー」
「あ、はい」
次からは、何着て行くかくらい事前にメッセしよう。
***
更衣室のある別棟から本校舎を横断して逆側へ抜けたところにあるのが第二体育館、通称二体。今日からここが私たち卓球部の練習場所だ。
まずは絵東先輩に用具室へ連れて行ってもらう。中から運び出したフェンスをバドミントン部との境界線上に並べていく。女子四人でやるには結構な重労働だけど、これをやらないと打球が外れる度にバドミントン部に迷惑をかけてしまうので最低限の礼儀だ。
その後に、卓球台を二台用意する。ぱっと見た感じ、割と新し目の卓球台が二台、古めの卓球台が四台の計六台がヤマコーの備品のようだ。四人しかいない部なので新しい方の台で練習ができる。それに古めといっても中学で使っていたのはその古めと同型だったので、練習環境は廊下で練習していた中学時代よりは各段に良いだろう。
「あら、もう準備終わっていたのね」
ちょうど台のセッティングが終わったところでジャージ姿の前原先生がやってくる。やっぱりジャージを着た音楽の先生感が強くて運動するイメージはないけれど、ラケットやシューズなんかは自前のようだ。
「絵東さんは知っているけど、私は自分でやる卓球はほぼ素人だから。基本は自分達で練習して。その代わり練習メニューの相談とかにはのるわ」
「うん、ナオミちゃん今日は初日だから来てもらってるけど、仕事も忙しいだろうし基本は練習始めと終わりの報告に行くだけだよ」
先生の言葉に先輩が付け加える。まあ練習メニューなどは中学のときも自分で考えていたし、今度は頼れる先輩や同級生もいる。
そう。
中学時代に全国に行っている人が四人中二人もいるなんてぱっと聞いただけなら強豪校だ。
稔里ちゃんは実際に手合わせしたけど、絵東先輩もどれくらい強いのか早く見てみたかった。
「じゃまずは準備運動からね」
膝や股関節のストレッチを入念に行う。このあたりはどこの卓球部、卓球クラブでも共通だろう。
そしてストレッチをしながら練習プランの打ち合わせをする。
「今日はみんな久しぶりだろうし軽めのラリー中心ね。間違っても試合形式とかはやらないからね、アリス」
「はい……」
ユニフォーム姿の稔里ちゃんはちょっと残念そうな表情をするが、入念にストレッチを行う。それにしても手足が長くて細いのによく見るとしっかりと筋肉が付いていて羨ましい体型だ。
「私は何する感じ? 素振り?」
「せっかくみのりちゃんにラケット借りてるのにそれはないよ」
「くどみかちゃんは卓球の経験はどれくらい?」
「うーんと、体育でやったのと、後はゆのの試合観に行くくらいです」
先輩の質問に美夏が答える。昨日会って今日でもう美夏の愛称であるくどみか呼びになっている。
「私ら三人のうち誰かが一緒にラリーしながらフォーム教える感じかな。私は左だからアリスかゆのちかな」
「絵東さんサウスポーなんですね」
私もゆのち呼びになっているけどそれは置いておいて。
なるほど、卓球のダブルスはラリーの性質上、右利きと左利きで組むのが圧倒的に有利だ。左利きの絵東先輩と右利きの稔里ちゃんのダブルスがとても強かったというのも納得がいった。
そして、美夏の練習については自分に考えがあった。
入部届を出した翌日。
「ゆのー、有栖川ちゃん、行こうぜー!」
放課後になった途端に、隣の教室から私の幼馴染にして同じ卓球部員となった工藤美夏が勢いよくやってくる。
「工藤さんこんにちは」
「ういっすー」
入口側に近い席の稔里ちゃんと合流する美夏。私も荷物をまとめて稔里ちゃんの席へ行く。
「それじゃ行こうか」
放課後すぐの女子更衣室はそれなりの人口密度だった。ただ、元々体育会系に入る人が少ない高校ということもあり、着替えるスペースも見つからないというようなことはないらしい。
「とりあえず体育のジャージで良かったかな」
「いいんじゃない、部活のジャージとか作るのはもう少し先だろうし」
そんな会話を美夏としながら、ふと逆側を見ると、そこにはスカートの下から短パンを摺り上げて、全身卓球のユニフォーム姿になろうとしている稔里ちゃんの姿があった。
短パンを膝上まで上げた体勢の稔里ちゃんと目が合う。
「え、柚乃さんユニじゃない、の?」
「いや、初日は身体慣らす程度かなって」
稔里ちゃんにやる気がないと思われてしまっただろうか。
やらかしてしまったと焦るところに、更衣室に絵東先輩が入ってくる。
「え、アリス初日からユニ着てきたん? 今日はあくまで慣らしだから無理すんなよー」
「あ、はい」
次からは、何着て行くかくらい事前にメッセしよう。
***
更衣室のある別棟から本校舎を横断して逆側へ抜けたところにあるのが第二体育館、通称二体。今日からここが私たち卓球部の練習場所だ。
まずは絵東先輩に用具室へ連れて行ってもらう。中から運び出したフェンスをバドミントン部との境界線上に並べていく。女子四人でやるには結構な重労働だけど、これをやらないと打球が外れる度にバドミントン部に迷惑をかけてしまうので最低限の礼儀だ。
その後に、卓球台を二台用意する。ぱっと見た感じ、割と新し目の卓球台が二台、古めの卓球台が四台の計六台がヤマコーの備品のようだ。四人しかいない部なので新しい方の台で練習ができる。それに古めといっても中学で使っていたのはその古めと同型だったので、練習環境は廊下で練習していた中学時代よりは各段に良いだろう。
「あら、もう準備終わっていたのね」
ちょうど台のセッティングが終わったところでジャージ姿の前原先生がやってくる。やっぱりジャージを着た音楽の先生感が強くて運動するイメージはないけれど、ラケットやシューズなんかは自前のようだ。
「絵東さんは知っているけど、私は自分でやる卓球はほぼ素人だから。基本は自分達で練習して。その代わり練習メニューの相談とかにはのるわ」
「うん、ナオミちゃん今日は初日だから来てもらってるけど、仕事も忙しいだろうし基本は練習始めと終わりの報告に行くだけだよ」
先生の言葉に先輩が付け加える。まあ練習メニューなどは中学のときも自分で考えていたし、今度は頼れる先輩や同級生もいる。
そう。
中学時代に全国に行っている人が四人中二人もいるなんてぱっと聞いただけなら強豪校だ。
稔里ちゃんは実際に手合わせしたけど、絵東先輩もどれくらい強いのか早く見てみたかった。
「じゃまずは準備運動からね」
膝や股関節のストレッチを入念に行う。このあたりはどこの卓球部、卓球クラブでも共通だろう。
そしてストレッチをしながら練習プランの打ち合わせをする。
「今日はみんな久しぶりだろうし軽めのラリー中心ね。間違っても試合形式とかはやらないからね、アリス」
「はい……」
ユニフォーム姿の稔里ちゃんはちょっと残念そうな表情をするが、入念にストレッチを行う。それにしても手足が長くて細いのによく見るとしっかりと筋肉が付いていて羨ましい体型だ。
「私は何する感じ? 素振り?」
「せっかくみのりちゃんにラケット借りてるのにそれはないよ」
「くどみかちゃんは卓球の経験はどれくらい?」
「うーんと、体育でやったのと、後はゆのの試合観に行くくらいです」
先輩の質問に美夏が答える。昨日会って今日でもう美夏の愛称であるくどみか呼びになっている。
「私ら三人のうち誰かが一緒にラリーしながらフォーム教える感じかな。私は左だからアリスかゆのちかな」
「絵東さんサウスポーなんですね」
私もゆのち呼びになっているけどそれは置いておいて。
なるほど、卓球のダブルスはラリーの性質上、右利きと左利きで組むのが圧倒的に有利だ。左利きの絵東先輩と右利きの稔里ちゃんのダブルスがとても強かったというのも納得がいった。
そして、美夏の練習については自分に考えがあった。
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