イカサレテイル

織賀光希

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⑦医科されている

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玉の輿、玉の輿。

乗りたい、乗りたい。

玉の輿が、何かは知らない。

輿は、お神輿の輿か。


合同コンパ。

医者とのコンパ。

最近、少し医学用語に詳しくなった。

それくらい、玉の輿に乗りたいのだ。


楽しみすぎて、白衣風の衣装で来てしまった。

白衣風より、患者服風の格好にすれば良かったかな。

インパクト的に、インパクト的に。




「初めまして、医科大学してます。田中です。よろしくお願いします」

「よろしくお願いします。医科大学の偉い方ということですか」

「まあ、そんな感じです」

玉の輿、玉の輿。

乗りたい、乗りたい。


きっと、大金持ちだ。

顔は、さわやかイケメン。

声は、渋くてカッコいい。

申し分ない。


「脳外科医の高橋です。よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「小児科に勤務しています。山田です。よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「内科の鈴木です。よろしく」

「はい。よろしくお願いします」


やっぱり、最初のさわやかイケメンが気になった。

運命の人は、医科大学の人だ。

あなたに、決めた。




「普段は、主にどんな仕事をしているんですか?」

「えっと。あの。言えないかな」

「仕事内容も、言ってはいけないんですか」

「まあ、その」


完全に、怪しい。

本当に、医科大学関係の人なのか。

疑問に思い始めていた。

他の三人は、医学用語を会話で使っていた。

でも、このさわやかイケメンは、医学系のことを、何も言っていない。


一瞬、迷った。

目的は、玉の輿に乗ること。

でも、ビビビと来てしまった。

このさわやかイケメンに、一目惚れしてしまった。

たとえ、このイケメンが医者関係ではなくてもいい。

嘘をついていたとしてもいい。

付き合ってみたい。

そう思っていた。


ジョッキの生ビールを、一気に飲み干した。

そして、ゆっくり口を開いた。

「医科大学は、嘘ですよね」

すぐに、イケメンは言葉を発した。

「すみません。数合わせで、頼まれたもので」

やはりそうだった。

そうだとしても、心の炎は消えなかった。

まだ、メラメラと揺れている。

「ちなみに、どんな仕事を」

「飲食店経営です。10店舗以上の飲食店をやってます」


玉の輿、玉の輿。

乗れる。乗れる。
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