1 / 1
背表紙探偵 瀬野夢幸
しおりを挟む
初めてだ。女性の家は。近所のおばあさんの家はある。厳密にいうと違う。初めてじゃない。でも、初めてにしておく。
鼓動が半端ない。周囲に丸聞こえするくらいの、バクバク。視界もボヤけている。目にオブラート直接貼られたんか?みたいな感じ。今、踏んでるのがアスファルトかってくらい。
「ゆめくん?」
女性にしては、カッコいい声。男性にしたら、カワイイ声。そんな声だった。初対面から変わっていない。
まだ、カップラーメンの待ち時間以下の会話しかしてない。会話ではない。言葉のやり取りか。文字の行ったり来たりか。
「ありさちゃん」
突然招かれた。ポテチが主食だと言っただけだ。それだけで招かれた。独り暮らしの女子宅に。
料理は作れない。お菓子が好き。栄養が心配。それの成りの果て。ポテチ袋を開けるのも、かなり苦労はする。食に見放された男だ。
「こっちです」
白い家だ。大きめの家だ。窓が丸い家だ。モアイみたいな家だ。モアイではない。ロボッ卜に近いかもしれない。ホワイトロボだ。
特に興味ない。家はどんな歪んでいてもいい。人住んでる?みたいな家でも別にいい。
怪獣映画で、怪獣がビルなどをなぎ倒しているとき。見えないところで踏み潰されてしまう。そんな家でもいい。
「無駄に、玄関広いんだよね」
いい香りがする。無理矢理、靴の悪臭を殺そうとしてない香り。鼻がペコンとへこむくらい、勢いよく吸い込んだとする。それでも、眉間に痛感がないくらいのいい香りだ。
まあ香りもいい。鳴咽しなければいい。興味ない。建物趣味も、香水趣味もない。ただの物語男だから。
「お仕事は、ノべルノべラ一でしたよね」
ノベルノべラ一とは、小説を色々な角度から述べる。それだけの仕事。小説の紹介動画を、アップしたりもする。
コラムを書くことも多い。本名が古村だから、コラム古村として、活動している。そんな未来が見えなくもない。
出会ったのは、お店だった。如何わしくないお店。店員と客の関係ではなく。客と客の関係だ。カウンタ一というヤツ。そこの、隣り合ったイスに、たまたま座った人と人。
【ラーメン、食べ慣れてないんですか?】
【ポテチが主食で、今日が月1回のラーメンの日で】
【だから、ぽてっとしているんですね】
【えっ?】
【冗談ですよ。酢とか醤油とか、調味料の手前で、手を蝶々のように、ヒラヒラさせ過ぎているのが気になって。たぶん、ラーメン屋さん慣れてないんだろうなって】
【慣れてないんですよ。おかしいですかね。ポテチが主食なのは?】
【普通ですよ。私は、サラダが主食ですから】
【ヘルシ一ですね】
【おせんべいのサラダですけど】
【サラダ味かぁ】
【でも、おかずで、いっぱい野菜食べているから。炭水化物を、おせんべいで取る系女子だから】
【そうなんですね】
【栄養大丈夫?私が作ってあげるよ】
そこから、仲良くなった。その流れで、連絡先を交換して、家行く約束をし
た。栄養ある料理を、体内に入れる約束。それで、ここにいる。
栄養はええよう、というダジャレを言われたって。何を言われたって。本棚の方が気になる。
この世にある、最も正義のあるものって、本棚にある本だなあ。そう思っている。
いい本を読んでいれば、いい人。読んでいる本を縦軸に、女性を判断していた。名字に『本』という漢字が入っている女性だと、興味が1.1倍になる。
それくらいの本好きだ。会話はまだ少ない。女性も特に、喋りかけてこない。何か作業をしている。
引き出しを開けて、別の引き出しに入れる。それをしているだけで、片付けた気になる輩。そんな感じでは全くないが、その輩を思い浮かべていたら、錯覚が表れた。
その女性も、無意味引き出し移動を、しているように見えた。本棚があると、気付いたときから、浮かれている。
「じゃあ、栄養作ってくるね」
「栄養ある料理ね。うん」
「じゃあ、行ってくるね」
「あっ、本棚の本を見てもいい?」
「興味程度に探って探って、散らかしてくれて構わないから」
「ありがとう」
女性がいなくなってすぐ、視線を本棚に向けた。
●一段目の左●
┏━┳━┳━┳━┓
┃私┃引┃煎┃ビ┃
┃の┃き┃餅┃タ┃
┃右┃出┃と┃ミ┃
┃心┃し┃お┃ン┃
┃室┃中┃か┃ビ┃
┃に┃身┃き┃ビ┃
┃何┃移┃の┃ン┃
┃か┃し┃図┃ビ┃
┃い┃健┃鑑┃ン┃
┃る┃康┃ ┃ビ┃
┃ ┃法┃ ┃ン┃
┻━┻━┻━┻━┻
●二段目の右●
┏━┳━┳━┳━┓
┃よ┃う┃こ┃そ┃
┃な┃し┃い┃ん┃
┃よ┃の┃す┃は┃
┃な┃胃┃れ┃得┃
┃朝┃袋┃ば┃へ┃
┃を┃の┃仔┃の┃
┃思┃ひ┃犬┃近┃
┃ふ┃み┃ ┃道┃
┃ ┃つ┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┻━┻━┻━┻━┻
頭文字が、ようこそになっている。僕も、ついついやってしまうけど。
玄関前にいたとき、一瞬だけ女性が、目の前から消えたときがあった。その時に変えたのだろう。
縦読みとか、普段からやっていそうだ。でもSNSとかで、匂わせをやる夕イプではないだろう。
そんなことより、変だ。作者の人に、センスを感じる。変わった趣味だ。なぜか、『ビタミンビビンビンビン』が読みたくて仕方ない。
ジャンルは何か、分からない。健康の本なのかな。小説って場合もある。背表紙の雰囲気からして、小説かな。
もしかして、背表紙買いしてないか。そっか、みんながするのはジャケット買いか。よし、背表紙から、女性の性格を読み解こう。
『私の右心室に何かいる』
『引き出し中身移し健康法』
『うしの胃袋のひみつ』
これらの本から、入れ物的なものへの興味がうかがえる。何にもない空間や、空白が好きなのかもしれない。
見えない場所を見たい、知りたいという心理もあるのだろう。まだ、女性の職業を知らない。
背表紙から推測するに、女性は車好きだろう。車くらいの、やや狭い空間が好きなのだろう。
趣味は、カーレースとかだろう。宇宙服みたいなものに、包まれたい願望もあるだろう。でも、職業は別物だと思う。
なぜか、『ビタミンビビンビンビン』が気になって仕方ない。リズムがいい。もしかすると、この本を書いたのは、本人かもしれない。
一段目の左から四番目は、エースだ。野球でいうと、四番打者で、ホームランバッターだろう。
そこに、他の本と毛色の違うものを置くということは、自分の作品だろう。となると、作家か。職業は、作家
か。
背表紙のあの【ようこそ】の横読みも、作家らしい。図鑑、健康法、ビタミンビビンビンビンなど、幅が広い。これは、小説家が、女性の職業の有力候補だ。
女性が引き出しで作業をしているとき、あの輩が思い浮かんだ。それは、引き出しを開けて、その中のものを、別の引き出しに入れる。それをしているだけの輩。
その人は友達だが、もしかすると、ここにある本を読んだのかもしれない。この『引き出し中身移し健康法』を読んだのかもしれない。
ここで、『引き出し中身移し健康法』も女性が書いたのかも知れないという、可能性が出た。女性はあの輩以上に慣れた手つきで、引き出し中身移しをしていた。
編み出した人にしか、あれはできない。背表紙に、名前が書いていないのが残念だ。
書いてあれば、分かるのに。でも、自称背表紙探偵としては、本を開き、それを知ることは、いけないこと。
また気づいてしまった。初めての会話時に【私はサラダが主食です。おせんべいのサラダ味ですけど】みたいなことを言っていた。
【煎餅とおかきの図鑑】も棚にあった。自分で、ここにある全ての本を、書いたんじゃないかと思うくらいだった。
ありさちゃんが戻ってきた。栄養ある料理が、出来たらしい。栄養があると聞いて、思い浮かぶものは、コーンフレークくらいしかだ。
「あっ、ちょっと聞いていい?」
「うん。いいよ」
「ここの本って、ありさちゃんが全部書いたやつでしょ?」
「そうだよ」
「もしかして、小説家さん?」
「違うよ。ラーメン屋さんの傍らで、小説をやっているだけだよ」
「そっか」
「色んな栄養あるものを、煮出したスープのラーメン、冷めちゃうよ」
「うん」
背表紙探偵としては、まだまだ半人前だ。
鼓動が半端ない。周囲に丸聞こえするくらいの、バクバク。視界もボヤけている。目にオブラート直接貼られたんか?みたいな感じ。今、踏んでるのがアスファルトかってくらい。
「ゆめくん?」
女性にしては、カッコいい声。男性にしたら、カワイイ声。そんな声だった。初対面から変わっていない。
まだ、カップラーメンの待ち時間以下の会話しかしてない。会話ではない。言葉のやり取りか。文字の行ったり来たりか。
「ありさちゃん」
突然招かれた。ポテチが主食だと言っただけだ。それだけで招かれた。独り暮らしの女子宅に。
料理は作れない。お菓子が好き。栄養が心配。それの成りの果て。ポテチ袋を開けるのも、かなり苦労はする。食に見放された男だ。
「こっちです」
白い家だ。大きめの家だ。窓が丸い家だ。モアイみたいな家だ。モアイではない。ロボッ卜に近いかもしれない。ホワイトロボだ。
特に興味ない。家はどんな歪んでいてもいい。人住んでる?みたいな家でも別にいい。
怪獣映画で、怪獣がビルなどをなぎ倒しているとき。見えないところで踏み潰されてしまう。そんな家でもいい。
「無駄に、玄関広いんだよね」
いい香りがする。無理矢理、靴の悪臭を殺そうとしてない香り。鼻がペコンとへこむくらい、勢いよく吸い込んだとする。それでも、眉間に痛感がないくらいのいい香りだ。
まあ香りもいい。鳴咽しなければいい。興味ない。建物趣味も、香水趣味もない。ただの物語男だから。
「お仕事は、ノべルノべラ一でしたよね」
ノベルノべラ一とは、小説を色々な角度から述べる。それだけの仕事。小説の紹介動画を、アップしたりもする。
コラムを書くことも多い。本名が古村だから、コラム古村として、活動している。そんな未来が見えなくもない。
出会ったのは、お店だった。如何わしくないお店。店員と客の関係ではなく。客と客の関係だ。カウンタ一というヤツ。そこの、隣り合ったイスに、たまたま座った人と人。
【ラーメン、食べ慣れてないんですか?】
【ポテチが主食で、今日が月1回のラーメンの日で】
【だから、ぽてっとしているんですね】
【えっ?】
【冗談ですよ。酢とか醤油とか、調味料の手前で、手を蝶々のように、ヒラヒラさせ過ぎているのが気になって。たぶん、ラーメン屋さん慣れてないんだろうなって】
【慣れてないんですよ。おかしいですかね。ポテチが主食なのは?】
【普通ですよ。私は、サラダが主食ですから】
【ヘルシ一ですね】
【おせんべいのサラダですけど】
【サラダ味かぁ】
【でも、おかずで、いっぱい野菜食べているから。炭水化物を、おせんべいで取る系女子だから】
【そうなんですね】
【栄養大丈夫?私が作ってあげるよ】
そこから、仲良くなった。その流れで、連絡先を交換して、家行く約束をし
た。栄養ある料理を、体内に入れる約束。それで、ここにいる。
栄養はええよう、というダジャレを言われたって。何を言われたって。本棚の方が気になる。
この世にある、最も正義のあるものって、本棚にある本だなあ。そう思っている。
いい本を読んでいれば、いい人。読んでいる本を縦軸に、女性を判断していた。名字に『本』という漢字が入っている女性だと、興味が1.1倍になる。
それくらいの本好きだ。会話はまだ少ない。女性も特に、喋りかけてこない。何か作業をしている。
引き出しを開けて、別の引き出しに入れる。それをしているだけで、片付けた気になる輩。そんな感じでは全くないが、その輩を思い浮かべていたら、錯覚が表れた。
その女性も、無意味引き出し移動を、しているように見えた。本棚があると、気付いたときから、浮かれている。
「じゃあ、栄養作ってくるね」
「栄養ある料理ね。うん」
「じゃあ、行ってくるね」
「あっ、本棚の本を見てもいい?」
「興味程度に探って探って、散らかしてくれて構わないから」
「ありがとう」
女性がいなくなってすぐ、視線を本棚に向けた。
●一段目の左●
┏━┳━┳━┳━┓
┃私┃引┃煎┃ビ┃
┃の┃き┃餅┃タ┃
┃右┃出┃と┃ミ┃
┃心┃し┃お┃ン┃
┃室┃中┃か┃ビ┃
┃に┃身┃き┃ビ┃
┃何┃移┃の┃ン┃
┃か┃し┃図┃ビ┃
┃い┃健┃鑑┃ン┃
┃る┃康┃ ┃ビ┃
┃ ┃法┃ ┃ン┃
┻━┻━┻━┻━┻
●二段目の右●
┏━┳━┳━┳━┓
┃よ┃う┃こ┃そ┃
┃な┃し┃い┃ん┃
┃よ┃の┃す┃は┃
┃な┃胃┃れ┃得┃
┃朝┃袋┃ば┃へ┃
┃を┃の┃仔┃の┃
┃思┃ひ┃犬┃近┃
┃ふ┃み┃ ┃道┃
┃ ┃つ┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┻━┻━┻━┻━┻
頭文字が、ようこそになっている。僕も、ついついやってしまうけど。
玄関前にいたとき、一瞬だけ女性が、目の前から消えたときがあった。その時に変えたのだろう。
縦読みとか、普段からやっていそうだ。でもSNSとかで、匂わせをやる夕イプではないだろう。
そんなことより、変だ。作者の人に、センスを感じる。変わった趣味だ。なぜか、『ビタミンビビンビンビン』が読みたくて仕方ない。
ジャンルは何か、分からない。健康の本なのかな。小説って場合もある。背表紙の雰囲気からして、小説かな。
もしかして、背表紙買いしてないか。そっか、みんながするのはジャケット買いか。よし、背表紙から、女性の性格を読み解こう。
『私の右心室に何かいる』
『引き出し中身移し健康法』
『うしの胃袋のひみつ』
これらの本から、入れ物的なものへの興味がうかがえる。何にもない空間や、空白が好きなのかもしれない。
見えない場所を見たい、知りたいという心理もあるのだろう。まだ、女性の職業を知らない。
背表紙から推測するに、女性は車好きだろう。車くらいの、やや狭い空間が好きなのだろう。
趣味は、カーレースとかだろう。宇宙服みたいなものに、包まれたい願望もあるだろう。でも、職業は別物だと思う。
なぜか、『ビタミンビビンビンビン』が気になって仕方ない。リズムがいい。もしかすると、この本を書いたのは、本人かもしれない。
一段目の左から四番目は、エースだ。野球でいうと、四番打者で、ホームランバッターだろう。
そこに、他の本と毛色の違うものを置くということは、自分の作品だろう。となると、作家か。職業は、作家
か。
背表紙のあの【ようこそ】の横読みも、作家らしい。図鑑、健康法、ビタミンビビンビンビンなど、幅が広い。これは、小説家が、女性の職業の有力候補だ。
女性が引き出しで作業をしているとき、あの輩が思い浮かんだ。それは、引き出しを開けて、その中のものを、別の引き出しに入れる。それをしているだけの輩。
その人は友達だが、もしかすると、ここにある本を読んだのかもしれない。この『引き出し中身移し健康法』を読んだのかもしれない。
ここで、『引き出し中身移し健康法』も女性が書いたのかも知れないという、可能性が出た。女性はあの輩以上に慣れた手つきで、引き出し中身移しをしていた。
編み出した人にしか、あれはできない。背表紙に、名前が書いていないのが残念だ。
書いてあれば、分かるのに。でも、自称背表紙探偵としては、本を開き、それを知ることは、いけないこと。
また気づいてしまった。初めての会話時に【私はサラダが主食です。おせんべいのサラダ味ですけど】みたいなことを言っていた。
【煎餅とおかきの図鑑】も棚にあった。自分で、ここにある全ての本を、書いたんじゃないかと思うくらいだった。
ありさちゃんが戻ってきた。栄養ある料理が、出来たらしい。栄養があると聞いて、思い浮かぶものは、コーンフレークくらいしかだ。
「あっ、ちょっと聞いていい?」
「うん。いいよ」
「ここの本って、ありさちゃんが全部書いたやつでしょ?」
「そうだよ」
「もしかして、小説家さん?」
「違うよ。ラーメン屋さんの傍らで、小説をやっているだけだよ」
「そっか」
「色んな栄養あるものを、煮出したスープのラーメン、冷めちゃうよ」
「うん」
背表紙探偵としては、まだまだ半人前だ。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/mystery.png?id=41ccf9169edbe4e853c8)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/mystery.png?id=41ccf9169edbe4e853c8)
仮面夫婦の愛息子
daru
ミステリー
ウェップ家の侯爵夫妻は誰もが羨むおしどり夫婦。しかし実態は、互いに暗殺を試みる仮面夫婦だった。
ある日、侯爵夫人の生誕パーティーで、夫、侯爵のエドウィン・ウェップが毒を飲んで倒れてしまった。
犯人は誰か。目的は何なのか。
それぞれの思いを各視点で語る中編小説。
※ミステリーカテにしておりますが、そこまでミステリー感はありません。ヒューマンドラマかな?書いてる私もカテゴリ迷子です。
時の呪縛
葉羽
ミステリー
山間の孤立した村にある古びた時計塔。かつてこの村は繁栄していたが、失踪事件が連続して発生したことで、村人たちは恐れを抱き、時計塔は放置されたままとなった。17歳の天才高校生・神藤葉羽は、友人に誘われてこの村を訪れることになる。そこで彼は、幼馴染の望月彩由美と共に、村の秘密に迫ることになる。
葉羽と彩由美は、失踪事件に関する不気味な噂を耳にし、時計塔に隠された真実を解明しようとする。しかし、時計塔の内部には、過去の記憶を呼び起こす仕掛けが待ち受けていた。彼らは、時間が歪み、過去の失踪者たちの幻影に直面する中で、次第に自らの心の奥底に潜む恐怖と向き合わせることになる。
果たして、彼らは村の呪いを解き明かし、失踪事件の真相に辿り着けるのか?そして、彼らの友情と恋心は試される。緊迫感あふれる謎解きと心理的恐怖が交錯する本格推理小説。
SP警護と強気な華【完】
氷萌
ミステリー
『遺産10億の相続は
20歳の成人を迎えた孫娘”冬月カトレア”へ譲り渡す』
祖父の遺した遺書が波乱を呼び
美しい媛は欲に塗れた大人達から
大金を賭けて命を狙われる―――
彼女を護るは
たった1人のボディガード
金持ち強気な美人媛
冬月カトレア(20)-Katorea Fuyuduki-
×××
性悪専属護衛SP
柊ナツメ(27)-Nathume Hiragi-
過去と現在
複雑に絡み合う人間関係
金か仕事か
それとも愛か―――
***注意事項***
警察SPが民間人の護衛をする事は
基本的にはあり得ません。
ですがストーリー上、必要とする為
別物として捉えて頂ければ幸いです。
様々な意見はあるとは思いますが
今後の展開で明らかになりますので
お付き合いの程、宜しくお願い致します。
舞姫【中編】
友秋
ミステリー
天涯孤独の少女は、夜の歓楽街で二人の男に拾われた。
三人の運命を変えた過去の事故と事件。
そこには、三人を繋ぐ思いもかけない縁(えにし)が隠れていた。
剣崎星児
29歳。故郷を大火の家族も何もかもを失い、夜の街で強く生きてきた。
兵藤保
28歳。星児の幼馴染。同じく、実姉以外の家族を失った。明晰な頭脳を持って星児の抱く野望と復讐の計画をサポートしてきた。
津田みちる
20歳。両親を事故で亡くし孤児となり、夜の街を彷徨っていた16歳の時、星児と保に拾われた。ストリップダンサーとしてのデビューを控える。
桑名麗子
保の姉。星児の彼女で、ストリップ劇場香蘭の元ダンサー。みちるの師匠。
亀岡
みちるの両親が亡くなった事故の事を調べている刑事。
津田(郡司)武
星児と保が追う謎多き男。
切り札にするつもりで拾った少女は、彼らにとっての急所となる。
大人になった少女の背中には、羽根が生える。
与り知らないところで生まれた禍根の渦に三人は巻き込まれていく。
彼らの行く手に待つものは。
双珠楼秘話
平坂 静音
ミステリー
親を亡くして近所の家に引き取られて育った輪花は、自立してひとりで生きるため、呂家という大きな屋敷で働くことになった。
呂家には美しい未亡人や令嬢、年老いても威厳のある老女という女性たちがいた。
少しずつ屋敷の生活に慣れていく輪花だが、だんだん屋敷の奇妙な秘密に気づいていく。
ヘリオポリスー九柱の神々ー
soltydog369
ミステリー
古代エジプト
名君オシリスが治めるその国は長らく平和な日々が続いていた——。
しかし「ある事件」によってその均衡は突如崩れた。
突如奪われた王の命。
取り残された兄弟は父の無念を晴らすべく熾烈な争いに身を投じていく。
それぞれの思いが交錯する中、2人が選ぶ未来とは——。
バトル×ミステリー
新感覚叙事詩、2人の復讐劇が幕を開ける。
白雪姫の接吻
坂水
ミステリー
――香世子。貴女は、本当に白雪姫だった。
二十年ぶりに再会した美しい幼馴染と旧交を温める、主婦である直美。
香世子はなぜこの田舎町に戻ってきたのか。実父と継母が住む白いお城のようなあの邸に。甘美な時間を過ごしながらも直美は不可解に思う。
城から響いた悲鳴、連れ出された一人娘、二十年前に彼女がこの町を出た理由。食い違う原作(オリジナル)と脚本(アレンジ)。そして母から娘へと受け継がれる憧れと呪い。
本当は怖い『白雪姫』のストーリーになぞらえて再演される彼女たちの物語。
全41話。2018年6月下旬まで毎日21:00更新。→全41話から少し延長します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる