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織賀光希

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レンタル意味不明なことを言う人

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"ピンポーン"

『初めまして。"レンタル意味不明なことを言う人"です』

無意味が大好きだ。

意味のないことには、意味がある。


この世の中は、疲れる。

意味が溢れすぎていて、疲れる。

普通じゃないことが、好きだ。

意味に囚われすぎている人は、あんまりだ。


でもまわりには、意味不明なことを言う人はいない。

だから、レンタルして気持ちを優しくしたい。

そう思った。

頼めば、だいぶ気分が上がると思うから。


『好みのジャンルとか、ありますか?』

「フリ一でお願いします」

『昨日は、扇風機にずっと当たりながら、目を閉じて突っ立って。何もしないで、過ごそうと思っています』

「いいですね。いい感じに意味不明ですね。昨日のことなのに、過ごそうと思ってます、と言っているんですもんね?」

『ありがとうございます』

「もうひとつ、フリ一でお願いします」

『もうダメかと思ったんです。でも、なんとか堪えて、なんとか堪えて。結局はダメで。今に至る、という感じになったんですか?』

「いいですね。脳が、揺さぶられますね」

『ありがとうございます』

「ゾワゾワ感が、たまらないです」


その意味不明さが心地よくて、また頼んで、気持ちよくなりたいと思った。

また、こんな感覚を味わいたいと思った。

やっぱり、意味不明なことは素晴らしい。


"レンタル意味不明なことを言う人"を頼んでいる人を、意味不明だなんて。

思う人は、いないだろう。
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