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織賀光希

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キミの3は、2に付け足したような3だから

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キミとは、手紙でやりとりをしている。

今時、そんなことをしている人など、あまりいないだろう。

インターネッ卜が発達し、SNSというものも誕生した現在に、あまりフィッ卜はしていない。

だが、その人の文字の癖や言葉のチョイスに、趣を感じることが出来る。



手紙のやり取りを始めて、もう2ヶ月が経過した。

何気ないやり取りのなかで、誕生日の話になった。

僕が手紙に書いた[僕の誕生日は4月30日です]という文章に対して、キミは【私の誕生日は4月30日です】と返してきた。


運命を感じて喜んでいた。
だが、その[4月30日]の[3]は[2]に一筆付け足したような[3]だった。

本当は[4月20日から4月29日]の間なのに、僕に合わせてきたのでは、という考えになった。

少しキミに疑念を抱いていると、机に広げていた、今までキミから貰った多くの手紙たちの、日付に目がいった。

そこには、あの[2]に一筆付け足したような[3]が、幾つもあった。

手紙の日付の欄にある[3月]は、全てがあの[3]だった。

キミのそんな、少し変わっているところも、大好きだ。
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