12 / 57
濃いブラックコーヒ一の湯気の中で、淡い白雪が降りしきる
しおりを挟む
苦い。
想い出に似た味。
普段は見たくもない黒。
日常では、御目に掛かることのないブラックコーヒー。
彼との想い出のなかにも、僅かな甘味の断片くらいは存在した。
だが、この液体には、私の気分を高める成分は1グラムも入っていない。
苦い。
湯気まで苦い。
でも、身は引き締まる。
濃いブラックコーヒ一から立ち込める、湯気は白い。
真っ黒からも、白は生まれる。
湯気の向こうで、光輝く透明感がうごめく。
視線を合わせると、どんな白よりも美しい王子様がいた。
柔らかさのある全体像から、私に注がれる、冷たい眼差し。
それは、まるで淡い白雪のようだった。
想い出に似た味。
普段は見たくもない黒。
日常では、御目に掛かることのないブラックコーヒー。
彼との想い出のなかにも、僅かな甘味の断片くらいは存在した。
だが、この液体には、私の気分を高める成分は1グラムも入っていない。
苦い。
湯気まで苦い。
でも、身は引き締まる。
濃いブラックコーヒ一から立ち込める、湯気は白い。
真っ黒からも、白は生まれる。
湯気の向こうで、光輝く透明感がうごめく。
視線を合わせると、どんな白よりも美しい王子様がいた。
柔らかさのある全体像から、私に注がれる、冷たい眼差し。
それは、まるで淡い白雪のようだった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
一人用声劇台本
ふゎ
恋愛
一人用声劇台本です。
男性向け女性用シチュエーションです。
私自身声の仕事をしており、
自分の好きな台本を書いてみようという気持ちで書いたものなので自己満のものになります。
ご使用したい方がいましたらお気軽にどうぞ
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
芙蓉の宴
蒲公英
現代文学
たくさんの事情を抱えて、人は生きていく。芙蓉の花が咲くのは一度ではなく、猛暑の夏も冷夏も、花の様子は違ってもやはり花開くのだ。
正しいとは言えない状況で出逢った男と女の、足掻きながら寄り添おうとするお話。
表紙絵はどらりぬ様からいただきました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
天穹は青く
梅林 冬実
現代文学
母親の無理解と叔父の存在に翻弄され、ある日とうとう限界を迎えてしまう。
気付けば傍に幼い男の子がいて、その子は尋ねる。「どうしたの?」と。
普通に生きたい。それだけだった。頼れる人なんて、誰もいなくて。
不意に訪れた現実に戸惑いつつも、自分を見つめ返す。その先に見えるものとは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる