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「なんだこれ…」
2枚目以降も同様に、彼の無様な姿が映された画像ばかりだった。
舌を出しながら動物の真似をしている画像や、腕を縛られながら地面を舐めている画像。誰かの靴を舐めている画像。言語化するのも憚られる画像。
どれもそれぞれ豊富に無様だった。
しかもどの画像も笑顔で写っているものだから無様さの格が上がっている。
彼本人の格は下がっているが。
「ってことは動画も…?」
動画データの方も確認する。
「……うわぁ」
無様に無様を重ね着していた。
いや、全裸だったんだけど。
色んな動物のポーズを取りながら自己紹介してたのがハイライトだ。
まぁ、恐らくこれらは彼の、彼とあの女の情事なんだろうというくらいは動画を見れば想像に難くない。
動画に女の声もしっかり入っていたということは、まぁそういうことで間違いないんだろう。
ただ流石に調教されすぎだとは思う。
少なくとも私との時は普通だった。
まぁ普通を装ってただけかもしれないが。
「で、結局何を伝えたいんだこれは。というかこの送り主の名前も知らないし」
烏合。
間違いなく彼から聞いた名前はそんな名前では無かった。
なんというかもっと女の子っぽい名前だった。確か。
結局どういうことなのか画像と動画には何もヒントは無かった。
ただおもしろ映像と画像を見せられただけで。
なにかヒントはないものかと封筒の中をまさぐってみると、なにやら1枚の紙が入っていた。
「何だろう…手紙?」
『使い方はあなたに一任します』
「そんな」
困った。
こんなものをもらったところでどうしろというのだ。
実生活のどのタイミングにこんなデータの使い道があるというのか。
「…ん?なんか小さく書いて…メールアドレス?連絡しろってことか…」
使い道。
無くは、ないのかもしれない。
使い方、などという言う方をしているけれど、先程も言ったが実際にこんなものが使われる方法などまずないだろう。
つまり、真にこの手紙が私に問うているのは使うか使わないか、そのどちらかであるということだ。
そしてそうである以上、使途は限定されている。
私に『絢文』の名で送られてきた彼の目も当てられないような醜態の数々。
こと私に、惨めな私にとっての惨めな彼の姿の使い道。
思いつくものが一つある。
「仕返し…」
そしてこれは、『絢文烏合』にとっても同様の意味合いを持つのだろうということもまた、どこか直感的に感じ取れた。
仕返しなんて、復讐なんて、思ってもみなかった。
いや、嘘だ。
思ったことなら100回じゃきかない。
思うだけなら。
「はは」
でも、今。
今なら。
手が、届く。
「やって、みようか」
2枚目以降も同様に、彼の無様な姿が映された画像ばかりだった。
舌を出しながら動物の真似をしている画像や、腕を縛られながら地面を舐めている画像。誰かの靴を舐めている画像。言語化するのも憚られる画像。
どれもそれぞれ豊富に無様だった。
しかもどの画像も笑顔で写っているものだから無様さの格が上がっている。
彼本人の格は下がっているが。
「ってことは動画も…?」
動画データの方も確認する。
「……うわぁ」
無様に無様を重ね着していた。
いや、全裸だったんだけど。
色んな動物のポーズを取りながら自己紹介してたのがハイライトだ。
まぁ、恐らくこれらは彼の、彼とあの女の情事なんだろうというくらいは動画を見れば想像に難くない。
動画に女の声もしっかり入っていたということは、まぁそういうことで間違いないんだろう。
ただ流石に調教されすぎだとは思う。
少なくとも私との時は普通だった。
まぁ普通を装ってただけかもしれないが。
「で、結局何を伝えたいんだこれは。というかこの送り主の名前も知らないし」
烏合。
間違いなく彼から聞いた名前はそんな名前では無かった。
なんというかもっと女の子っぽい名前だった。確か。
結局どういうことなのか画像と動画には何もヒントは無かった。
ただおもしろ映像と画像を見せられただけで。
なにかヒントはないものかと封筒の中をまさぐってみると、なにやら1枚の紙が入っていた。
「何だろう…手紙?」
『使い方はあなたに一任します』
「そんな」
困った。
こんなものをもらったところでどうしろというのだ。
実生活のどのタイミングにこんなデータの使い道があるというのか。
「…ん?なんか小さく書いて…メールアドレス?連絡しろってことか…」
使い道。
無くは、ないのかもしれない。
使い方、などという言う方をしているけれど、先程も言ったが実際にこんなものが使われる方法などまずないだろう。
つまり、真にこの手紙が私に問うているのは使うか使わないか、そのどちらかであるということだ。
そしてそうである以上、使途は限定されている。
私に『絢文』の名で送られてきた彼の目も当てられないような醜態の数々。
こと私に、惨めな私にとっての惨めな彼の姿の使い道。
思いつくものが一つある。
「仕返し…」
そしてこれは、『絢文烏合』にとっても同様の意味合いを持つのだろうということもまた、どこか直感的に感じ取れた。
仕返しなんて、復讐なんて、思ってもみなかった。
いや、嘘だ。
思ったことなら100回じゃきかない。
思うだけなら。
「はは」
でも、今。
今なら。
手が、届く。
「やって、みようか」
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