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13話
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目を醒ますと、陽也は柔らかな感覚と華のような綾人の香りに包まれていた。しかし、傍には綾人が居なくて。
「綾人……?」
声に出して彼を呼ぶと、陽也が思っていたよりも随分と心許なく響いた。
「ハル、起きたんだね」
グラスを持った綾人が陽也に駆け寄る。綾人の姿にじわじわとした安心感が陽也を侵食する。
「お水飲める?」
心配そうな綾人がベッドに横たわる陽也に尋ねる。そういえば、凄く喉が渇いている気がして陽也は頷いて躯を起こそうとすると、そっと優しくベッドの中に押し留められて
「そのままに、してて……」
綾人はそう言うとグラスのお水を口に含んで……
「ん……っ」
綾人の唇から少しずつレモングラスの香りがする水が陽也の口に流し込まれる。
こくり、と喉を鳴らして嚥下したのを確認して、唇を離すと
「もっと……」
掠れた陽也の声に、もう一度口移しで陽也に水を流し込む。陽也が水を飲むと離れようとする綾人の頚筋にぎゅっと腕を回して引き寄せた。
「は……離れないで……」
綾人は切られて短くなってしまった陽也の髪を優しく撫で鋤かして
「遅くなってごめんね」
と優しく囁いた。陽也はその言葉に頚を振る。
「た……助けに来てくれたから大丈夫……」
「うん。でも……」
まだ、震えてる……
細かく震えている背を優しく撫でて。
「おでこの傷も少し縫ったんだ。すぐ縫ったから痕は残らないと思うけど、化膿止めの注射もしているし、もう少し休んだ方がいい。何かあったら呼んで?すぐに来るから……」
そう言ってベッドから離れようとする綾人。
「何処に行くの?」
綾人の袖を掴んで陽也が問う。
「隣の部屋にいるから……」
優しい綾人の声。
「行かないで…此処に居て……」
珍しい陽也の可愛い我儘に、綾人は心底困ったような声。
「今日はもう無理させたくないんだ。ハルとベッドにいたら、我慢できなくなる」
「……が……我慢しなくていいからっ……」
「でも、怖いんだろ?」
優しく、優しく陽也を撫でる綾人。
「わかってるんだ。陽也が好きなのは優しい僕で……」
それから、うんと優しく陽也の唇を啄んでから。
「ハルを滅茶苦茶にする俺のことは怖いと思ってる……わかっているんだけど、俺我慢出来なくて。今も俺のせいでハルがひどい目に遭ったっていうのに、他のヤツに触られたハルを見て……独占欲で、どうにかなりそうなんだよ」
綺麗な鳶色の綾人の瞳がゆらゆら揺れている。
「綾人……」
「ね?だから僕は隣の部屋で自分を落ち着かせて来るから、ハルも今日はゆっくり休んで」
そう言って綾人はそっと陽也から手を離した。
「ま……待って、綾人っ……怖くないからっ」
「ハル……?」
「最初はびっくりしたけど……でも本当は綾人に強引に迫られると凄くドキドキしたんだ……だけど、そんなの恥ずかしくて……ほ……本当は悦んでるなんて自分で認めたくなくて……強引な綾人に流されてることにしようとしたんだ……」
綾人が居なくならないように、陽也は必死で綾人に手を伸ばしてぎゅっと抱きついた。
「でも今日はっきりとわかったんだ。優しくて綺麗な綾人と同じくらい……強引な綾人も好きだよ。あのとき……強くて強引な綾人に助けてもらいたくて、優しい綾人に慰めてもらいたいって思ったんだ。俺……すごく我儘だよね……?だから……どっちの綾人にも、今傍に居て欲しいんだ。お願い……他の人に触られて凄く気持ち悪かったのを……」
綾人が忘れさせて…………
全てを言い終わるや否や、泣きそうな貌の綾人に奪うように口付けられて、二人の躯は柔らかなベッドに沈んだ──
「綾人……?」
声に出して彼を呼ぶと、陽也が思っていたよりも随分と心許なく響いた。
「ハル、起きたんだね」
グラスを持った綾人が陽也に駆け寄る。綾人の姿にじわじわとした安心感が陽也を侵食する。
「お水飲める?」
心配そうな綾人がベッドに横たわる陽也に尋ねる。そういえば、凄く喉が渇いている気がして陽也は頷いて躯を起こそうとすると、そっと優しくベッドの中に押し留められて
「そのままに、してて……」
綾人はそう言うとグラスのお水を口に含んで……
「ん……っ」
綾人の唇から少しずつレモングラスの香りがする水が陽也の口に流し込まれる。
こくり、と喉を鳴らして嚥下したのを確認して、唇を離すと
「もっと……」
掠れた陽也の声に、もう一度口移しで陽也に水を流し込む。陽也が水を飲むと離れようとする綾人の頚筋にぎゅっと腕を回して引き寄せた。
「は……離れないで……」
綾人は切られて短くなってしまった陽也の髪を優しく撫で鋤かして
「遅くなってごめんね」
と優しく囁いた。陽也はその言葉に頚を振る。
「た……助けに来てくれたから大丈夫……」
「うん。でも……」
まだ、震えてる……
細かく震えている背を優しく撫でて。
「おでこの傷も少し縫ったんだ。すぐ縫ったから痕は残らないと思うけど、化膿止めの注射もしているし、もう少し休んだ方がいい。何かあったら呼んで?すぐに来るから……」
そう言ってベッドから離れようとする綾人。
「何処に行くの?」
綾人の袖を掴んで陽也が問う。
「隣の部屋にいるから……」
優しい綾人の声。
「行かないで…此処に居て……」
珍しい陽也の可愛い我儘に、綾人は心底困ったような声。
「今日はもう無理させたくないんだ。ハルとベッドにいたら、我慢できなくなる」
「……が……我慢しなくていいからっ……」
「でも、怖いんだろ?」
優しく、優しく陽也を撫でる綾人。
「わかってるんだ。陽也が好きなのは優しい僕で……」
それから、うんと優しく陽也の唇を啄んでから。
「ハルを滅茶苦茶にする俺のことは怖いと思ってる……わかっているんだけど、俺我慢出来なくて。今も俺のせいでハルがひどい目に遭ったっていうのに、他のヤツに触られたハルを見て……独占欲で、どうにかなりそうなんだよ」
綺麗な鳶色の綾人の瞳がゆらゆら揺れている。
「綾人……」
「ね?だから僕は隣の部屋で自分を落ち着かせて来るから、ハルも今日はゆっくり休んで」
そう言って綾人はそっと陽也から手を離した。
「ま……待って、綾人っ……怖くないからっ」
「ハル……?」
「最初はびっくりしたけど……でも本当は綾人に強引に迫られると凄くドキドキしたんだ……だけど、そんなの恥ずかしくて……ほ……本当は悦んでるなんて自分で認めたくなくて……強引な綾人に流されてることにしようとしたんだ……」
綾人が居なくならないように、陽也は必死で綾人に手を伸ばしてぎゅっと抱きついた。
「でも今日はっきりとわかったんだ。優しくて綺麗な綾人と同じくらい……強引な綾人も好きだよ。あのとき……強くて強引な綾人に助けてもらいたくて、優しい綾人に慰めてもらいたいって思ったんだ。俺……すごく我儘だよね……?だから……どっちの綾人にも、今傍に居て欲しいんだ。お願い……他の人に触られて凄く気持ち悪かったのを……」
綾人が忘れさせて…………
全てを言い終わるや否や、泣きそうな貌の綾人に奪うように口付けられて、二人の躯は柔らかなベッドに沈んだ──
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