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9話
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「一度抱かれたら、その後冷たくなった」
とか
「釣った魚には餌をやらない男は多い」
何ていう話は世間ではよく聞くが……
「おはよう、ハル」
朝陽が眩しい早朝、陽也の住まいである古いアパートの階段を降りると、其処には一台の黒塗りの車が停まっていた。車の中で待てなかったのか、車外で車に凭れながら立っていた美しい男は陽也の姿を見付けると相好を崩した。
「え……?」
土曜の夜のパーティから綾人の家に泊まって、日曜の夜にこのアパートまで送って貰った。
そして今は月曜の朝。車が昨夜綾人と別れた場所と同じ処に在り、そして陽也が家の中に入るまで見送っていたのと同じ処に綾人が立っているのを見て陽也は驚きで口をぽかんと開けてしまった。
「さすがに昨日からずっと此処に立っていたわけではないかな」
ちゃんと帰って、さっきもう一度此処に来たんだよと微笑む綾人。口に出したつもりはなかったが、陽也が考えていたことそのものにぴったりの回答だったものだから驚いて思わず口に手を当てると
「陽也は言ってないよ、陽也の顔にそう書いてあっただけ」
とまた静かに笑う。
(う……朝から心臓に悪いほど……)綾人は綺麗だった。
陽也は朝陽よりもキラキラ眩しい綾人の美貌に瞳を奪われる。綾人はぽやんとしてしまった陽也の手から教科書以外にも本が沢山詰まった重い鞄をさっと奪ってしまうとまるで陽也に傅く下僕のように恭しく車のドアを開けて「どうぞ」と促す。
「あの……どうして……今日は……?」
と陽也が言うと
「本当はずっとこうしたかったんだ。もう、遠慮もする必要が無くなったしね」
と綺麗な顔で言われて、嫌かな?と小首を傾げられてしまっては、綾人のすることを受け入れるしかなかった。
車に乗り込むと適度な温度に空調が効いていて、仄かに陽也が好むレモンに似た清涼感のあるヴァーベナの香りがする。癒される香りにほっと一息吐く。流れるサウンドはこちらも陽也が好きな少し古めの洋楽。陽也の好みを熟知している綾人が選んだラインナップが続いた。
心地よく陽也を包むシートに凭れると、特に大好きな曲が流れて思わず歌詞を口ずさんでしまう。
「これって曲調は明るいけど意外と歌詞は退廃的だよね?」
少し笑いを含んだ綾人の問いに、陽也は
「あんまり深くは考えているわけじゃないんだけど、本も音楽もこの頃のちょうどベトナム戦争の頃のアメリカのものが結構興味あるかな。暗く絶望的に捉えるのが一般的だけど、受け取り方によって解釈が変わるのって面白くてさ……」
今までのように一気に捲し立てしまい、はっとして綾人を見ると淡い色の瞳が優しく陽也を見つめていた。綾人は陽也が大好きなその貌を少し横に傾けることで陽也に話の先を促した。さらりと美しく長い綾人の髪が揺れてヴァーベナの香りに華のような綾人の香りが混じって陽也はドキドキと胸を高鳴らせる。
「あ、え、と……綾人はどう思う?」
「コリタスって最初に歌詞にあるから、マリファナ中毒患者が見た幻想を歌ったのかな?って思っていたんだが、1969年以降のスピリットっていう歌詞を見るとベトナム戦争と関連付けてもっと社会的な深い意味を持たせたかったのだろうかって考えているところだよ」
綾人の答えを聞くと、陽也の瞳は輝きだした。
「そう!俺もそう思うんだよね。スピリットはきっとお酒と魂のダブルミーニングで1969年はベトナム戦争からの米兵撤退始めた年だからきっと何か意味がありそうだよね。でさ」
陽也が話していると
『綾人様、学校に到着致しました』
と、後部座席に付けられたスピーカーから運転手の声が聞こえた。後部座席と運転席の間にある仕切りは完全防音になっているらしい。
「着いちゃったね」
残念そうな綾人の声。そうだ、学校に着いたら一緒にはいられないんだ───
陽也の顔にも残念そうな彩が浮かんだとき。綾人の華のような香りがぐっと近くで香って。
「ん……っ」
美しく長い綺麗な指先が陽也の頤に伸びて、美しい唇がそっと陽也の唇に重なった。すっと薄く冷たく見える綾人の唇だが触れると火傷しそうに熱くて弾力があって……
何度も昨日口付けられて、すっかり綾人の味を覚え込まされてしまった。
だめ───だ、め────
さらり、と綾人の長い髪が陽也の頬に掛かる。すると、たった二人きりの世界に閉じ込められたような感覚になる。
混乱する陽也の咥内にぬるりとした綾人の舌の感覚だけがやけに生々しくて頭の芯が溶けて、何もかもわからなくなる───
縋り付くように綾人に腕を回しそうになったとき
がちゃり、と車のドアが開いて
「綾人様、お時間でございます」
そう言って運転手をしていた男が綾人を促す。
「黒磯……空気を読んでくれ……」
聞いたことのないような苦々しい思いを隠しもしない綾人の声だった。
「ええ。ですから空気を読みまして、ドアを開けました。このままだと遅刻してしまうまで、お止めになれないでしょう?」
黒磯と呼ばれた男は背が高くがっしりとした体型で黒いスーツに身を包んでいた。
キスをしているところを見られて固まってしまった陽也の耳に低く囁く。
「大丈夫、僕の髪に隠れて黒磯には見えてないと思うよ」
囁く声と共に甘い吐息が耳を擽って陽也がびくり、と震えると綾人は一瞬獣のように瞳を光らせた。驚いた陽也が瞬きをして再び目を開けたときには、いつもの優しい瞳だった。
(車から降りたら綾人に迷惑が掛からないようになるべく離れて歩かなきゃ……)
そう思って車を降りると
「え……?」
本日二度目の驚きの声を上げてしまった。なぜならば、陽也が綾人に続いて車から降りたその場所は。
ぴったりと正門の前。
ちょうど多くの生徒が登校してくるこの時間に黒塗りの車から降りてきた意外な組み合わせに、居合わせた生徒達は皆、まるで時が止まってしまったかのようにその場から動けず二人を見ていた。
「ね……綾人……」
車から降りた後、一斉に集まった視線に顔を引き攣らせた陽也がそっと綾人の制服の袖を引く。
「どうしたの?」
そう言って蕩けるような瞳で陽也を見た綾人。
それだけで周囲はざわざわと波打った。
「鞄……自分で持つから……」
「図書室で借りた本を返すつもりだったんだろ?随分重い」
それから、そっと陽也の腰を抱き寄せて
「あんまり可愛いからって、初めてだったのに無理させてしまったよね?」
耳元にとろりとした甘い声を流し込む。
「だ……大丈夫だからっ……」
腰に回された腕はうんと優しい声や彼の風貌と裏腹に、陽也が慌てて外そうとしてもぴくりとも動かなかった。
「大丈夫なの?じゃあ今夜また……」
抱いてもいい……?
低い声で囁かれて、腰が抜けそうになってしまったが、綾人に腰を抱かれていたお陰でその場に崩れ落ちるということはならずに済んだ。
「だ……め……」
消え入りそうな声で訴えると
「そうだよねぇ、昨日帰るときハルの大事なトコ、真赤になっちゃったから薬塗ってあげたもんね?」
さすがに今日は無理かなぁ?と低く嗤った。
そのときのことを思い出してハルの貌は更に赤くなる。
「あ、やとっ」
みんな、見てる、のに。
綾人は陽也の鞄を持って、ぴったりと腰を抱いたまま教室に向かってしまった。
昇降口で靴を履き替えると、さすがに腰に回した手は離してくれたが、今度はぎゅっと手を繋がれてしまって。
大きな綾人の手に一瞬どきりとするが、それどころではない。
(どうしよう。綾人が変なやつと一緒にいるって思われちゃう)
そう思うけれども鞄を人質に取られてしまって、そのまま教室に辿り着いてしまった。
教室のドアをがらりと開けて、綾人はずんずん中へ入って行ってしまう。
二人の姿にざわついていた教室は水を打ったように、しん、と鎮まりかえった。
「綾人っ」
小さな声で嗜めたけれど、鎮まりかえった教室の中ではそれはよりいっそう二人の親密さを示したようになってしまった。
綾人は陽也の机の上に荷物を置くと、漸く握っていた手を離してくれた。でも。
「此処の席と僕の席を替えてもらっても?」
うっとりとするような優しい笑みでもって、陽也の隣の席の住人を追い出してしまった綾人は満足そうに陽也の隣に収まると、至極満足した笑みを浮かべた。
「綾人、俺なんかと一緒に居たら何て言われるか……」
「誰にも何も、言わせないよ」
それから。
「誕生日にハルを貰ったら、もうずっと傍に置いて離さないって決めてたんだ」
綾人はにっこり笑った。
とか
「釣った魚には餌をやらない男は多い」
何ていう話は世間ではよく聞くが……
「おはよう、ハル」
朝陽が眩しい早朝、陽也の住まいである古いアパートの階段を降りると、其処には一台の黒塗りの車が停まっていた。車の中で待てなかったのか、車外で車に凭れながら立っていた美しい男は陽也の姿を見付けると相好を崩した。
「え……?」
土曜の夜のパーティから綾人の家に泊まって、日曜の夜にこのアパートまで送って貰った。
そして今は月曜の朝。車が昨夜綾人と別れた場所と同じ処に在り、そして陽也が家の中に入るまで見送っていたのと同じ処に綾人が立っているのを見て陽也は驚きで口をぽかんと開けてしまった。
「さすがに昨日からずっと此処に立っていたわけではないかな」
ちゃんと帰って、さっきもう一度此処に来たんだよと微笑む綾人。口に出したつもりはなかったが、陽也が考えていたことそのものにぴったりの回答だったものだから驚いて思わず口に手を当てると
「陽也は言ってないよ、陽也の顔にそう書いてあっただけ」
とまた静かに笑う。
(う……朝から心臓に悪いほど……)綾人は綺麗だった。
陽也は朝陽よりもキラキラ眩しい綾人の美貌に瞳を奪われる。綾人はぽやんとしてしまった陽也の手から教科書以外にも本が沢山詰まった重い鞄をさっと奪ってしまうとまるで陽也に傅く下僕のように恭しく車のドアを開けて「どうぞ」と促す。
「あの……どうして……今日は……?」
と陽也が言うと
「本当はずっとこうしたかったんだ。もう、遠慮もする必要が無くなったしね」
と綺麗な顔で言われて、嫌かな?と小首を傾げられてしまっては、綾人のすることを受け入れるしかなかった。
車に乗り込むと適度な温度に空調が効いていて、仄かに陽也が好むレモンに似た清涼感のあるヴァーベナの香りがする。癒される香りにほっと一息吐く。流れるサウンドはこちらも陽也が好きな少し古めの洋楽。陽也の好みを熟知している綾人が選んだラインナップが続いた。
心地よく陽也を包むシートに凭れると、特に大好きな曲が流れて思わず歌詞を口ずさんでしまう。
「これって曲調は明るいけど意外と歌詞は退廃的だよね?」
少し笑いを含んだ綾人の問いに、陽也は
「あんまり深くは考えているわけじゃないんだけど、本も音楽もこの頃のちょうどベトナム戦争の頃のアメリカのものが結構興味あるかな。暗く絶望的に捉えるのが一般的だけど、受け取り方によって解釈が変わるのって面白くてさ……」
今までのように一気に捲し立てしまい、はっとして綾人を見ると淡い色の瞳が優しく陽也を見つめていた。綾人は陽也が大好きなその貌を少し横に傾けることで陽也に話の先を促した。さらりと美しく長い綾人の髪が揺れてヴァーベナの香りに華のような綾人の香りが混じって陽也はドキドキと胸を高鳴らせる。
「あ、え、と……綾人はどう思う?」
「コリタスって最初に歌詞にあるから、マリファナ中毒患者が見た幻想を歌ったのかな?って思っていたんだが、1969年以降のスピリットっていう歌詞を見るとベトナム戦争と関連付けてもっと社会的な深い意味を持たせたかったのだろうかって考えているところだよ」
綾人の答えを聞くと、陽也の瞳は輝きだした。
「そう!俺もそう思うんだよね。スピリットはきっとお酒と魂のダブルミーニングで1969年はベトナム戦争からの米兵撤退始めた年だからきっと何か意味がありそうだよね。でさ」
陽也が話していると
『綾人様、学校に到着致しました』
と、後部座席に付けられたスピーカーから運転手の声が聞こえた。後部座席と運転席の間にある仕切りは完全防音になっているらしい。
「着いちゃったね」
残念そうな綾人の声。そうだ、学校に着いたら一緒にはいられないんだ───
陽也の顔にも残念そうな彩が浮かんだとき。綾人の華のような香りがぐっと近くで香って。
「ん……っ」
美しく長い綺麗な指先が陽也の頤に伸びて、美しい唇がそっと陽也の唇に重なった。すっと薄く冷たく見える綾人の唇だが触れると火傷しそうに熱くて弾力があって……
何度も昨日口付けられて、すっかり綾人の味を覚え込まされてしまった。
だめ───だ、め────
さらり、と綾人の長い髪が陽也の頬に掛かる。すると、たった二人きりの世界に閉じ込められたような感覚になる。
混乱する陽也の咥内にぬるりとした綾人の舌の感覚だけがやけに生々しくて頭の芯が溶けて、何もかもわからなくなる───
縋り付くように綾人に腕を回しそうになったとき
がちゃり、と車のドアが開いて
「綾人様、お時間でございます」
そう言って運転手をしていた男が綾人を促す。
「黒磯……空気を読んでくれ……」
聞いたことのないような苦々しい思いを隠しもしない綾人の声だった。
「ええ。ですから空気を読みまして、ドアを開けました。このままだと遅刻してしまうまで、お止めになれないでしょう?」
黒磯と呼ばれた男は背が高くがっしりとした体型で黒いスーツに身を包んでいた。
キスをしているところを見られて固まってしまった陽也の耳に低く囁く。
「大丈夫、僕の髪に隠れて黒磯には見えてないと思うよ」
囁く声と共に甘い吐息が耳を擽って陽也がびくり、と震えると綾人は一瞬獣のように瞳を光らせた。驚いた陽也が瞬きをして再び目を開けたときには、いつもの優しい瞳だった。
(車から降りたら綾人に迷惑が掛からないようになるべく離れて歩かなきゃ……)
そう思って車を降りると
「え……?」
本日二度目の驚きの声を上げてしまった。なぜならば、陽也が綾人に続いて車から降りたその場所は。
ぴったりと正門の前。
ちょうど多くの生徒が登校してくるこの時間に黒塗りの車から降りてきた意外な組み合わせに、居合わせた生徒達は皆、まるで時が止まってしまったかのようにその場から動けず二人を見ていた。
「ね……綾人……」
車から降りた後、一斉に集まった視線に顔を引き攣らせた陽也がそっと綾人の制服の袖を引く。
「どうしたの?」
そう言って蕩けるような瞳で陽也を見た綾人。
それだけで周囲はざわざわと波打った。
「鞄……自分で持つから……」
「図書室で借りた本を返すつもりだったんだろ?随分重い」
それから、そっと陽也の腰を抱き寄せて
「あんまり可愛いからって、初めてだったのに無理させてしまったよね?」
耳元にとろりとした甘い声を流し込む。
「だ……大丈夫だからっ……」
腰に回された腕はうんと優しい声や彼の風貌と裏腹に、陽也が慌てて外そうとしてもぴくりとも動かなかった。
「大丈夫なの?じゃあ今夜また……」
抱いてもいい……?
低い声で囁かれて、腰が抜けそうになってしまったが、綾人に腰を抱かれていたお陰でその場に崩れ落ちるということはならずに済んだ。
「だ……め……」
消え入りそうな声で訴えると
「そうだよねぇ、昨日帰るときハルの大事なトコ、真赤になっちゃったから薬塗ってあげたもんね?」
さすがに今日は無理かなぁ?と低く嗤った。
そのときのことを思い出してハルの貌は更に赤くなる。
「あ、やとっ」
みんな、見てる、のに。
綾人は陽也の鞄を持って、ぴったりと腰を抱いたまま教室に向かってしまった。
昇降口で靴を履き替えると、さすがに腰に回した手は離してくれたが、今度はぎゅっと手を繋がれてしまって。
大きな綾人の手に一瞬どきりとするが、それどころではない。
(どうしよう。綾人が変なやつと一緒にいるって思われちゃう)
そう思うけれども鞄を人質に取られてしまって、そのまま教室に辿り着いてしまった。
教室のドアをがらりと開けて、綾人はずんずん中へ入って行ってしまう。
二人の姿にざわついていた教室は水を打ったように、しん、と鎮まりかえった。
「綾人っ」
小さな声で嗜めたけれど、鎮まりかえった教室の中ではそれはよりいっそう二人の親密さを示したようになってしまった。
綾人は陽也の机の上に荷物を置くと、漸く握っていた手を離してくれた。でも。
「此処の席と僕の席を替えてもらっても?」
うっとりとするような優しい笑みでもって、陽也の隣の席の住人を追い出してしまった綾人は満足そうに陽也の隣に収まると、至極満足した笑みを浮かべた。
「綾人、俺なんかと一緒に居たら何て言われるか……」
「誰にも何も、言わせないよ」
それから。
「誕生日にハルを貰ったら、もうずっと傍に置いて離さないって決めてたんだ」
綾人はにっこり笑った。
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