とろけてまざる

ゆなな

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「ん……」
達すると共に意識を失ってしまったユキが意識を回復させると、見たことがないほどに心配そうな色を浮かべた永瀬の瞳が眼鏡の向こう側に見えた。
「ユキ、どこか痛いところはないか?」
いつの間にかパジャマに着替えさせられていて、躯も何処もベトついたりはしていない。
「大丈夫です」
永瀬は腹部にそっと触れると
「直後に子宮がすこし固く張ったようだったから心配した……今は柔らかく戻ったな……」
よかった……と溜め息を吐く。
いつもはきっちりと整えられた髪が乱れて額にかかるのがセクシーだなとぼんやりユキが永瀬を見詰めると
「お願いだから、そんな目で見ないでくれ……」
どれだけ自制しているか、わからないわけじゃないだろう?
「あ………」
ユキは思わず耳まで赤くなるが、
「だ、いじょうぶだと思いますよ……?もう一回くらいなら」
だって、随分と久しぶりであったし、そもそも永瀬と躯を繋げて一度で済んだことなどないので、そのつもりでもあった。
「……っ」
永瀬はユキの腹部にそっと頬を寄せた。
「そんな可愛いこと言われたら我慢がきかなくなる」
可愛い子供がユキのナカに在ることを忘れて襲ってしまいそうになる本能を抑えるためにすこしだけ膨れた腹部にパジャマ越しにキスを贈る。
そんな永瀬の頭をそっと抱き締めてユキは笑った。
「安定期に入って経過が順調であれば、セックスしたって大丈夫なことなんて、先生ならよくわかってるんでしょう」
「それは……そうだが」
今のユキは何だか壊してしまいそうで怖いのだとと腹部から顔を上げてユキを見ると、永瀬ははっと息をのんだ。今まで何度も何度もユキの表情に目を奪われてきたが、胎内に永瀬の子を孕んだユキは神々しいと言ってもいいほどに美しかった。
瞳が合うと、ユキは永瀬にそっと触れるだけのキスをしてささやいた。
「大丈夫……俺もこの子もそんなに簡単に壊れませんよ?」
さっきのみたく、うんと大事に優しく……シテ?

「……っ参ったな……」

永瀬は呟いて……それから、ユキの心も躯もとろとろに蕩けてしまうほどに優しく抱いた……
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