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1章
7話
しおりを挟む「っ……と確か……あ、あった!良かった!」
ユキは床に落ちていたジーンズを拾い上げてポケットのパスケースを引っ張り出す。
小さなファスナートップを引くと中からちいさな錠剤が出てきた。
手のひらにころん、と出すと水も何もないがそのまま飲み込んだ。
喉につまるような苦しさがあったが一刻も早く飲み込まなくてはと思うとそんなことを言っていられなかった。
「やっぱりアフターピルは持っていたか」
低く艶かしい声がして、ユキは開けた素肌を慌ててシーツで覆って振り返った。部屋にはてっきりひとりきりだと思っていたのだ。
「な……永瀬先生……」
思わず出た声は吃驚するほど掠れていて、自分がこの男にどれだけ啼かされたか思い知らされる。
「最初で『そこ』まで望むのは確かに酷だろうから、いいよ。今回は、止めない。」
『今回は』と殊更強調しながら永瀬は言う。
エアコンが程よく効いている室内。
永瀬が部屋に戻っただけで、じわりと引いていた汗が躯を伝い始める。
襟ぐりの開いたTシャツにコットンパンツというラフなスタイルは院内でのストイックな姿とは正反対だ。シャワーを浴びたのかきっちりと整えられている髪が下りて額に落ちているのがいつもより若く見せている。
一歩ずつ、永瀬がユキに近づくごとに彼の香りが強くなる。
ずり……と無意識に躯が逃げをうつ。
「発情抑制剤、服用していたんだろう?アルファだらけの病院にベータだと嘘がつきとおせるなんてよっぼど薬が効く性質だったのか、オメガとは思えない賢いきみだから成し得たのか……どうして突然薬が効かなくなったと思う?」
近づく度に濃厚な永瀬のフェロモンがユキの躯に入り込んでくる。
永瀬の白濁をかけられたことで治まったかと思っていた発情の熱が再び妖しく揺らめきだす。
「わ……わかりません……」
ユキが答えると、永瀬は声を上げて嗤った。
「きみのように賢い子がわからないわけ、ないだろう?コレほどに相性がいいのに、縋りついてこないオメガがいるとはな……面白い。」
そして、キシリと音を立ててベッドに乗り上げてきた。シーツに隠された太ももを汗と男を受け入れるための液が伝った。
「すごい、香りだな……」
あっという間にベッドの端に追い詰められたユキの首筋に、くん……と秀麗な鼻先を寄せる。
眼鏡のフレームが僅かに肌に当たったのがとても冷たくてユキは自分の肌が随分と火照っているのを実感させられた。
「あ……やっ……待ってくださ……っあ……」
あっという間に太ももを大きく割り開かれ、奥まで貫かれた。濡れすぎたそこは、先程嫌というほど蹂躙されてこともあって永瀬を締め付けながらもぬるりと歓迎していた。
圧倒的なフェロモンに抵抗なんて出来ない……
ずくり、と子宮の入り口を抉じ開けるような動きに頭に火花が飛び散る。
だが………永瀬が奥まで貫きながら、番になるために白い項に歯を立てようとすると
「だめ………っ」
思いの外強い力で抵抗された。
強引に項を噛んで、番にしてしまうことも永瀬には可能であったが……
ユキに抵抗されることなどわかっていたとでも言うように永瀬は嗤って奥を突いた。
「あああっ……」
「っ……『ここ』まで随分と待ったよ……我慢の限界も近いが……あともう少しだけなら待ってあげよう……」
ユキの胎内が永瀬にあまく濡れて絡み付く。
躯がぐずぐずに蕩けても、この圧倒的なフェロモンの前で自分の意思を示したユキ。
初めて見たときから、俺のものにしてやろうとずっと思っていたよ────
ユキの今は薄い腹をそっと撫でながらそのナカをずくり、と突く。
ここに、俺の仔を早く宿したい───
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