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8章

忘れないで※

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ざぁぁぁぁ
浴室から水温が聞こえる。
大理石で造られた美しい浴室に圧倒されながらも、戦いの汚れを綺麗に落として浴室から出たユノは、大きなベッドの端に落ち着かない様子で座っていた。

先ほど浴室から出るとき浴室の前室に置かれていた滑らかな絹のローブ。
キリヤが着るには明らかに小さかったので、国境警備隊の制服にもう一度袖は通すことはせずに、絹のローブを着て浴室から出た。
すると浴室から出てきたユノを見てキリヤはちいさく固まったのだ。
浴室の鏡で何度も確認したが『悪魔の痣』はなかったはずだが、どこかおかしいところがあったのだろうか。
「ベッドで待っていて」
少しの妙な間があったのち、キリヤははっと我に返ったように頭を軽く振ると、短く早口でそれだけ告げ足早に浴室に行ってしまったのだ。

「これ着てよかった……んだよね?」
ちいさく呟いてから、大きなベッドの端にちょこんと腰掛けて、魔法を使い濡れた髪を乾かす。
すると浴室から聞こえる音がどんどん騒がしくなった。
不思議に思って浴室に続く扉に視線を遣ると、勢いよくキリヤが飛び出してきた。
キリヤもユノが着ているローブと色とサイズが違うものを纏っていたのを見て、このローブを着て出てくるので正解だったんだな、と少しほっとした。
物凄い早さで浴室から出てきたキリヤの髪はまだ濡れたままで、それはそれは色っぽかったが風邪を引いてしまうかもしれない。
「あの……髪、乾かしましょうか?」
「ユノがやってくれるの?」
ユノが問うとキリヤは嬉しそうに言って、ユノのすぐ隣に座った。
並んでいては乾かしづらいので、ユノはよいしょ、とベッドに上ってしまうとベッドの端に腰かけるキリヤの背後に膝立ちをした。
指を振って髪を乾かす魔法を掛けると、濡れたプラチナブロンドから水分が少しずつ飛んでいく。
数回繰り返すと乾いてサラサラになったところを確かめていく。
髪に触れると、彼のムスクのような香りがふわふわと更に強く香った。
「……っ」
その香りでじん……とお腹の奥が熱くなったみたいだった。
入浴をしたはずなのに、より強くその官能的な匂いは強くなったみたいだった。
キリヤの髪はユノの魔法ですっかり乾いてしまったが、終わったと告げることが何かねだっているようで恥ずかしいような気がしてしまった。
言えずにキリヤのサラサラになった髪に触れていると。
「……もう、終わったよね?」
髪に触れるユノの手をそっと掴んで、左手の青い魔法石が付いた指輪に唇を寄せてキリヤは言った。
その声が少し掠れたような声だったのが艶めかしくて、ユノはクラクラした。
「……はい……っ」
ユノが言うとキリヤはベッドのシーツを捲り、ユノを広いベッドの上に押し倒した。
「僕が我慢するのが辛くて急いで入浴してきたのを知っているくせに、焦らすなんてひどいな」
鼻先が触れ合うほどの位置で拗ねたように彼が言う。
「そんな、焦らしてなんて……っそんなつもりじゃ……あ……っ」
彼の唇が薄い首筋の皮膚にちゅ、と触れて、全身に甘い痺れが走った。
ユノの反応を見てキリヤは恍惚としたように笑った。
「うそ。君がそんなつもりじゃないの、分かっている。でも焦らされた気分だったんだ……」
大きな掌で頬を包まれ、至近距離で青い瞳に見つめられる。
あ、と思ったときにはそっと彼の唇が触れた。
『悪魔の痣』がいつ顔を出すか分からない、キリヤには相応しくないユノなのに、まるで宝物にするみたいな優しいキス。
何度も彼の唇が押し当てられて頭がぼんやりと霞がかったようになってしまったところで、ぬる……と濡れた舌が入り込んでくる。
その瞬間、ビクンと体が大きく揺れてしまった。
すると、キリヤの舌がユノの舌にきつく絡んで強く吸われた。
「ん……っ」
ユノの着ている薄いローブの紐を解いて、彼の手が肌の上を忙しなく滑る。
ローブはあまりに無防備で、彼の手が侵入するのを簡単に許してしまう。
すこし触れられるだけで、甘い痺れが走る。
どうしたらいいかわからなくて見上げると、プラチナ色の髪に青い瞳。
一見冷たく見えるのに、火傷しそうな程の熱を孕んでユノを見ていた。
触れてくる掌から感じる彼の体温もとても高くて、ユノも自身の体が溶けてしまいそうに体が高められていくのがわかった。
するり、とローブの紐を解いた彼の長く美しい指は下の方に下りてくる。
臍の下の薄く敏感な皮膚を撫でられて体が震える。
「ん……っぁ」
気を抜くととんでもなく恥ずかしい声が漏れてしまいそうになるのを堪えるが、どうしても堪えきらないものが零れてしまう。
彼の指はユノが必死に耐えているのを知ってか知らずか、更に下に伸びてくる。
あるところに着いたところで、キリヤはぴたりと手を止めた。
「あ……あ……やっ」
キリヤは驚いたように、確かめる様に、下腹や太ももの付け根を何度も辿るものだから、そのたびに甘い痺れが体に走ってユノはとうとう甘えたような声を大きく漏らしてしまった。
「ユノ……下穿きを履いていないのか……?」
低く小さな声なのに、艶かしく掠れて彼が何かを抑えているのが伝わってくる。
「ち……ちがっ……俺のっその……下穿き……その……なんか恥ずかしくて……」
ユノが身に着けていた綿の下穿きがあまりに質素で、キリヤの用意してくれたローブとの違いが際立ち恥ずかしくて履けなかったのだ。
断じて誘惑しようとかそういう意味はなかったのだと伝えたかった。
「いや、分かっている……君が下穿きを履いていないのはイヤらしい意味ではないって分かっているんだが……っ」
下穿きを履いていない下肢はひどく無防備で、簡単に彼の手がするりと陰茎に絡んだ。
「可愛い……まだキスだけなのに、こんなに濡れてる……ユノは感じやすいな……」
「ひゃ……ぁま……待って」
陰茎を彼が擦ると、先走りの体液が垂れてしとどに濡れていることがわかる濡れた音が気品ある彼の寝室に響く。
「……ごめん……この部屋で君と二人きりになったら、僕はどうにかなってしまいそうだったから、そうならないようにって自分に言い聞かせていたんだが……やっぱり、想像よりずっと可愛くてたまらない……ずっと我慢していたんだ。もう待てない……っユノ……好きだ……っ」
ユノのひどく敏感なところに触れているその青い瞳は欲情して蕩け切っていた。
あの美しく気高い彼の艶かしい表情に、ユノの陰茎からはますます粘ついた液がとろとろと流れてしまう。
「お……俺もっキリヤのことが好き……んっ」
返事をすると、熱い唇が再び重なった。
咥内を搔きまわされる音なのか、陰茎を擦られる音なのか、ユノの鼓膜は濡れた音で揺らされて、溶けてしまいそうだった。
彼の体温も感触も忘れないように覚えておきたいのに、お腹の奥からの滾るような熱で頭が馬鹿になってしまったみたいだ。
「んぁっ……んんっ」
だめ、もう、待って。
今にも達してしまいそうだから、そう言いたいのに舌を吸われて言葉にならない。
どうなってしまうか分からないと訴えるのに、聞いてもらえなくて。
もうだめ。
思ったときだった。
「あぁ……っ」
一旦唇を離したキリヤの興奮で火照って熱くなってしまった唇がちゅ……と胸の先に吸い付いたのだ。
その瞬間ユノの全身に甘い衝撃が走って、絶頂に達してしまった。
「ま……待ってって言ったのに……っ」
達した快感で涙で滲んでしまった瞳でユノは抗議した。
キリヤがユノを見つめて甘く蕩ける顔や、汗で更に甘さを増したムスクの香りを覚えておきたいのに、分からなくなってしまう。
「ユノ……ここも感じやすいなんて可愛い……」
胸に口づけられただけで先端から蜜を吹き出し、ツンと尖ってしまった胸の先。
ユノの抗議を他所にそんな姿を見てキリヤは目を獰猛に細めた。
「あっ待っててっ言ったのにのに……っひゃぅ……」
達したばかりでどこもかしこも敏感なのに、また胸の先を唇で吸ったのだ。
「あっ…あっ……」
舌が激しく動いて、達したばかりの下肢がまた熱くなる。
いつも優雅で品のあるキリヤとは違うのに、胸の鼓動が激しくなって仕方がない。
彼になら食べられてしまいたいと思うほどに。
そして。
「あっ……」
胸に愛撫しながらユノの全身の肌を味わっていたキリヤの指先が、ユノの双丘をするりと撫でたあと、そうっと間を割って後ろの穴に触れたのだ。
「ココで繋がってもいいって僕が聞いたの……覚えている?」
「ひ……っ」
濡れそぼった陰茎から溢れた体液は、陰茎を伝い後孔をも濡らしていたので、彼の指が滑ってそのままつぷり、と指の先端が体内に潜り込んできた。
「あっ……」
「……っ怖い? ユノ? やっぱりもう少し待つ?」
驚いたユノが指の先端を締め付けてしまうと、彼が幼子に掛けるような優しい声でユノに尋ねた。
ユノが先ほどから口にしている『待って』という言葉は、快楽が過ぎてしまうので少しだけゆっくりしてほしいというものであったが、キリヤは別の意味に受け取ったのかもしれない。
ユノが怖かったら断れるように、欲望を抑えた声で尋ねているのがわかる。
でも青い瞳はすっかり熱に浮かされているようで、潤みきって欲望に濡れていた。
いつも凛々しいが、ユノには優しくて紳士的な彼がユノの痴態を見て高ぶっている様子に胸が破裂しそうなほど脈打ち、陰茎からとろ……と体液が零れたのが自分でもわかった。
ユノだってキリヤと同じくらいこの先を望んでいる。
「……怖……くなんてないです……」
こんな風に触られて、すごく恥ずかしいのに、沢山触れてもらえることが嬉しい。
興奮しきった顔でユノを見つめると心臓の鼓動が激しくなる。
「ユノ……っ」
「お……俺だって男ですっ……好きな人と……繋がりたい……っ」
性的なことにはあまり詳しくなかったユノだけれど、『魔法動物の谷』の彼の別邸で彼に繋がりたい、と話されてから考えてきた。
辿り着いた答えはユノも、彼と繋がりたい、というものだった。
キリヤとユノは同性で、繋がった先に続くものはないかもしれないけれど、それでも彼と繋がりたかった。
たとえ、このあと彼の記憶に残らなくてもユノは彼のことを忘れないように体にも心にもしっかりと刻みつけたかった。
きちんと気持ちをキリヤに告げて、お互いの強い望みだと分かち合って結ばれたい。
「あぁ…もうなんてことを言うんだ……我慢できなくなってしまったらどうしよう」
いつだって落ち着いている彼が動揺したように言う。
「ら……乱暴なのは……初めてなので怖いです……」
ユノが言うと、彼は困ったように笑った。
「ものすごく興奮しているけれど……こんなに可愛いユノに乱暴なんてできないよ……あぁ……でも興奮しているから鼻息が荒くなってしまうかもしれない……」
少し真面目な顔をしてそんなことを言うキリヤ。
「ふふ……っ鼻息荒くって……」
思わずユノは笑ってしまう。
「こら……僕は真剣に困っているんだ。あんまり可愛くて、本当に辛い……」
そう言って眉を寄せたキリヤはぐっと、熱く滾った自身の陰茎をユノの下肢に押し付けた。
「あっ……んんんっ」
それは彼の少し冷たさを感じさせる美貌からは想像もできないほどに熱く滾っていた。
ユノはあまりの熱さに声を上げると、少しばかりユノの中に潜っていた指先がもう少し中に潜ってきたのだ。
キリヤが開いている方の指を振ると、どこかからか美しいガラスの小瓶がやって来た。
そしてキリヤの指とユノの後孔にとろりとぬるついた液体を零した。
「あ……っな……なに……」
「ユノの体液で十分濡れているけれど、初めては痛いかもしれないから、念のためだよ」
液体のぬめりもあってか、キリヤの熱く熱を持った指先はどんどん奥に潜っていき、繋がりたいとは言ったもののユノの頭はパンクしそうだった。
内側から体内を弄られる初めての感覚。
しっかり濡れされているので痛みはないが異物感が大きい。それと共に、何か感じたことのない熱さが内側からじゅわじゅわと生まれていく。
「ユノ……あぁ……これが君の中か……熱くて指が溶けそうだ……」
キリヤがたっぷりと砂糖を混ぜたような甘い声でうっとりと呟くから、ユノの頭の中はもうキリヤのことしか考えられなくなる。
考えなくてはならないことは沢山ある。
だけれど、今は目の前に居る美しい彼がユノを欲しがっているという事実だけでいっぱいだった。
「あ……あ……」
くちゅ……濡れた音を立てながら指先がユノの中へどんどん入って来る。
何かを探る様に、ユノの体内の粘膜をあの美しい指先の腹でそっと探っているようだった。
彼が弄るたびに濡れた音が響いて恥ずかしい。
何を探しているのだろうか。
そして。
「ひ……っなに……?! うぁ……ぁぁぁ」
指先が、そこに、触れた。
その瞬間、全身に今までとは比べ物にならないくらい甘い衝撃が走ったのだ。
「見つけた……」
呟いて嬉しそうに笑ったキリヤの顔は獰猛な獣みたいなのに、とても美しく艶めかしい。
「あ、や……っそこ……っ変になるっ」
キリヤは見つけたというその箇所を何度も何度も擦るのだ。
指の腹で蕩けた粘膜を擦られるのがたまらなく気持ちいいと思ってしまうのがとても恥ずかしい。
「大丈夫、変じゃない。ここがユノのイイところだよ。覚えて……」
「あっ……あっ……」
キリヤはユノを宥めるようにそう言って額にキスを落としながらも、蕩けた粘膜をくちゅくちゅと擦るから気持ちよくて腰が淫らに揺れてしまう。
「可愛いい……気持ちいい?」
ユノの気持ちを見透かしたように、キリヤが甘い声で尋ねる。
「……っ聞かな……でっ……あ……あ……っ」
指がいつの間にか増やされていて、二本の指が中を広げる様に動きながら、どうしようもなく熱い熱を孕むところを優しくも強く押すのだ
ユノの中はそこから生まれるじくじくするような熱にただただ翻弄されるより他なかった。
体中を汗が流れて、キリヤの香りがするシーツに吸い込まれていく。
「君の口から教えてほしいんだよ……僕は言ってくれるまで、焦らして泣かせたいタイプではあるのだけれど……」
今日は初めてだからいじめるのはやめておこう、と掠れた低い声。
ずる……と体内に挿入されていた指が引き抜かれた。
「んっ……」
引き抜かれてしまうと、濡れた隘路が彼が恋しくてもっと締め付けたいと言わんばかりにひくひくと痙攣した。
物欲しそうに動くのが恥ずかしくて止めたくても、止められない。
キリヤが指を抜いた後の後孔に視線が奪われたのを見てユノは快楽のまま力なく開きっぱなしになっていた脚を慌てて閉じようとしたが、キリヤの体が脚の間にあるのでかなわない。
そしてキリヤの喉が獰猛に動いた様がスローモーションのように見えたかと思うと。
「ごめん……もう我慢できそうにない……っ」
キリヤは低く唸る様に言って、先ほど丹念にユノの中に塗り込んだ小瓶の中身をいささか乱暴に自身に塗り込んだ。
そして。
「ユノ……っ好きだ……」
すっかり彼に溶かされた孔にぴたりと、彼の熱いものが当てられる。
「……っキリヤ……っ」
一番先の太いところが、存分に濡れたところに入って来る。
「……んんんっ」
物凄く熱くて、指とは比べ物にならない大きさがもたらす圧迫感に喉が鳴る。
「……っ息をゆっくり吸って……そう……く……っ好きだ……っユノ……君が大好きなんだ……っ」
キリヤも何かを必死に我慢しているようで、眉を顰めた額に汗が伝う。
ゆっくり、ゆっくり太いものが体内に入って来る。
「キ……リヤっ……あっ……キリヤ……俺もっ大好き……んんっ」
じっくり濡らされたので痛みはないが、大きさで苦しい。
でも、少しずつ彼が体内に入ってきて繋がれるのが嬉しくて涙が零れた。
「ごめん……っ痛いか?」
「違……っ」
ユノの涙にキリヤは慌てて腰を引こうとするのを、彼に腕を回してしがみつくことで引き留めた。
「……抜かないで……っ」
繋がれて嬉しいのだ、キリヤを愛しているから。
いっぱいいっぱいになりすぎて、回らない頭で必死に伝えると、キリヤは泣き笑いのような表情になった。
「僕も……ユノと一つになれるの嬉しい……っ」
苦しいかもしれないけど、奥まで入れるよ、と低い声で告げられた。
苦しくて目を閉じそうになるけれど、彼の愛と欲に濡れた表情も美しい体に伝う汗も全て覚えていたくて、必死に彼を見た。
「は……っは……っ」
「ユノ、上手に呼吸できている……そう、ゆっくり吐いて……」
彼の言葉に導かれるように呼吸すると、不思議と緊張が解けて彼のものが奥に進みやすくなる。
ぎゅっと繋がれた手。
絡む指。
揃いの青い指輪も喜んでいるのか、ぽわぽわと温かくなっているような気がした。
「う……ぁ……」
そしてこれ以上無理、と思うほど一番奥に入った。
「ふ……ぅ……ユノ……っ全部、入った……っ」
キリヤが蕩け切った目でユノを見つめる。
「キ……キリヤぁ……いっぱい入って苦し……よぉ……あ……っ」
告げると、なぜか中のものがまた更に大きくなった。
「あんまり、可愛いこと言うと……我慢できなくなる……っ」
動きたいのを必死で我慢しているんだ、とキリヤは切羽詰まったように言う。
「い……いいよ……動いても……」
「あぁ……だから煽らないでくれ……今動いたら、ユノは痛いから……っ」
キリヤはそう言って深呼吸をした。
そして汗で濡れたユノの髪をそっと避けて額と頬、そして唇に順に口づけた。
「ん……っ」
優しく、甘く舌を吸われる。
そして彼の指がそっと胸の先に触れた。
「んんん……っ」
とびきり優しく舌を絡めながら、ツンと尖ってしまった胸の先を指で撫でられると、お腹の中が疼いた。
奥深くで繋がりながら、甘ったるいキスと、敏感な胸の先への愛撫で、徐々にユノの奥がひくひくと痙攣しだす。
「はぁ……っ」
キリヤもキスの合間に狂おしい吐息を漏らす。
きゅっ、と胸の先を摘ままれた時だった。
「うぁぁ……」
キスの隙間からひどく甘えたような声が漏れた。
同時に、じくじく熱を持つ内壁の中にある、先ほど指で散々愛撫された箇所が疼いて誘うように腰が揺れてしまった。
ユノの反応を見たキリヤが奥まで入った陰茎を少しだけ揺らした。
「あああっ」
ユノの表情の変化をじっと見つめていた青い瞳が獰猛に光った。
ぐちゅ、ぐちゅ、と耳を塞ぎたくなるような濡れた音。
彼がゆっくりと動き始めた。
先ほどたまらない快感を生むと教えてもらった箇所を彼の熱いもので強く擦られる。
「あ……っ……あ……ん……う……うそっ……あっ……なんかきちゃう……あああっ」
たった数回そこを擦られただけなのに、ユノの陰茎からは熱い白濁が吹き出した。
「く……っ」
あまりの快感に強く締めつけてしまったせいか、キリヤが快感に顔を歪めたのが見えた。
その表情を見て更にぞくぞくとした快感がユノの全身を甘く支配した。
「はぁはぁ……」
キリヤを奥まで感じて、彼の香りに溺れながら絶頂に達するのはどうしようもなく幸せだった。
「……ごめん……ユノっ」
「え……うぁぁぁあ……」
余韻に浸るユノにキリヤが謝ったかと思うと。
達したばかりで敏感な粘膜をかき混ぜる様にキリヤが動き出したのだ。
「もう我慢できない……っ」
そう言って訴えてくるキリヤがいつもは大人びた表情が、年相応の青年に見えてユノの胸の奥がきゅんと疼いた。
「キリヤ……っぁぁ」
「ユノ……っ……ユノ……っ」
狂おしくユノの名を何度も呼びながら、キリヤはユノに覆いかぶさる様にして、ユノの中に何度も自身を穿つ。
「あ……っあ……っ」
彼が気持ちいいところを擦るたびにみっともなく甘えた声を零してしまうけれど、それを恥ずかしいと思う余裕ももう少しも残っていなかった。
「ユノ……っ……可愛い……またイったの……?」
キリヤのことしか分からなくなって、揺さぶられるままに体液を零してしまう。
受け止めきれないほどの快楽と彼が愛おしい気持ちで何も考えられない。
彼から離れたくなくて必死に彼にしがみつくと、唇を塞がれて、もう全身がキリヤでいっぱいだった。
ユノの奥で愛おしい人が、気持ちよくてたまらないと切なく訴えてくる。
そして、彼のペニスはユノの中でこれ以上ないほど膨れ上がった。
「ユノ……っ愛してる……く……っ」
想いの丈を全て込めたとでもいうような熱いキリヤの体液がユノの中に注がれた。
「……っ俺も……っキリヤを愛している……っああっ」
ユノも愛する人の体液を最奥に受けて、絶頂に達した。
甘く長い絶頂を終えると、繋がりをほどかないままキリヤはユノの上に倒れ込んだ。
二人は互いの瞳の中に深い愛情を見つけて、唇を重ねた。
ユノの瞳からは静かにひとすじの零が流れ落ちた。
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