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2章
アンドレアの疑問
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「相変わらず我儘だなぁ、シュリは。キリヤ、パートナーの機嫌は取ってやらなくて大丈夫なの?」
イヴァンはキリヤを見遣る。
「そんな暇もなかっただろ。僕はそろそろ帰るよ」
キリヤは肩を竦めると、会長室から黒と青の競技用のローブを取ってくるとフライングレースのローブを取りまとめる係のイヴァンに放った。
「なになに? ユノの分もキリヤが持っているとか意味深じゃない?」
レースのローブの管理を担当しているイヴァンはそれを受け取りながら訊ねる。
「単に怪我してないか確認しただけだ。怪我があったら僕の勝ちになる」
キリヤは短く言ってイヴァンを一瞥すると、生徒会室から出て行った。
イヴァンが苦笑を浮かべるながら肩を竦めると、アンドレアもユノの方を向いた。
「……おい」
アンドレアが地の底から響いてくるような声でユノに尋ねた。
「え……と、俺、ですか?」
火傷しそうなほど熱い視線を向けられて恐る恐るユノは応える。
「……俺のフレイムはお前の位置に真っ直ぐ飛んで行ったはずだ。それなのに、どうしてお前はあの後すぐに動けたんだ。俺のフレイムを正面から食らったら、キリヤ様だって多少のダメージはあるはずなのに」
あのフレイムをもし正面からまともに食らっていたら、ユノも確かに怪我は免れなかっただろう。
そんな攻撃をしてきた人物に応える義理はないかもしれない。
しかし、燃えるような瞳と向き合うと、それは怒りというより、戦士として真剣に訊ねているのだと伝わってきた。
「真正面からぶつかっていません。ぶつかったらフレイムに宿っている火の精が消えてしまうので、俺にぶつかる前にお願いして止まってもらいました……わっ」
ユノが答えると、アンドレアは拳で強くテーブルをドン、と打った。
「お願い? 火の精がお前の願いを聞いて止まったっていうのか? なんだそれ? そんなわけあるか。ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ」
ユノの問いにアンドレアが激昂した声を上げ、ユノの襟首を掴んだ。
体が大きいアンドレアに襟首を掴まれてユノの体は宙に浮いたが、ユノは怯まず続けた。
「ふざけていません」
激昂しているアンドレアの瞳から逃げずにユノは応えた。
「アンドレア、まずはユノの話を全部聞きなよ。自分から聞いておいて気に食わない答えを言ったからって暴力に訴えるのは良くないよ」
イヴァンが冷静な声で言ってアンドレアを止めた。
「でもユノがお願いすると火の妖精が止まったっていうのがどういうことか僕も分からないな。もう少し詳しく教えてくれる?」
イヴァンは続けてユノにも言った。
「はい。もちろん。ただ、お願いして止めたって言うのは比喩でも何でもないんです。火の精の言語を使って話しかけると、火の精はどんな話でも応じてくださいます」
「火の精の言語って……ユノ火の精の言葉が分かるの?」
イヴァンの目が驚きで見開かれる。隣のアンドレアの赤い瞳も同様に驚きで見開かれた。
「はい。俺の生まれ故郷は国の最北部なんで、火の精無くては生きていけません。最初は普通に人間の言葉で感謝の言葉を伝えていたのですが、そのうちに火の精が何かしらお言葉を返してくれるようになったので、そこから簡単ですが火の精の言葉を学びました」
「驚いた……火の精は独自の言語を持っているということは本で読んだことがあったけれど、謎が多いと言われているよね。ちょっと信じられないけれど、アンドレアのフレイムを止められるなんて、確かに火の精とコミュニケーションが取れるから、ということしか考えられない……」
「……それだけじゃない。そのあと、俺のところに飛んできて停止の魔法を掛けるのも、ただならないスピードだった……」
驚いた声を上げるイヴァンに続いて、ぼそりとアンドレアが言った。
襟首を掴んでいたアンドレアの手が緩み、ほっとするが、一気に疲れも押し寄せて、ユノの足元がふらついた。
「……っと」
「危ないっ」
倒れかけたユノをイヴァンが慌てて支えた。
「……すみません……俺も魔力がもう限界なので、そろそろ帰りますね」
ユノが言うと、アンドレアもイヴァンも心配そうな表情を浮かべた。
「ありがとう、ユノ。休んで元気になったらまた火の精のことは改めて教えて」
そう言って、イヴァンはユノをエスコートするように扉に向かった。
「はい」
「キリヤ達はあんな言い方しているけど、僕は君と仕事が出来て嬉しいよ。早速だけど、招待客のリストの見直しから始めたいから次の予定だけ決めてもいいかな? 明日の放課後時間ある?」
「明日大丈夫です。ここに来るので大丈夫ですか?」
「うん。招待状は早目に準備を始めた方がいいからね。でも今日は本当にすごかった。ゆっくり休んで」
イヴァンはすみれ色の瞳を柔らかく和ませてユノの頭をぽんぽん、と優しく撫でた。
「あ……ありがとうございます」
ユノも笑い返した。
「……おい。もし疲れているなら送って行く」
ぼそりと小さい声がして、振り返るとアンドレアだった。
ユノは驚いて目を丸くした。
「へぇ。驚いた。でもレース後で疲れてふらふらのアンドレアより、今日レースに参加していない僕に送ってもらう方が心配ないよ。僕が送るよ」
菫色の瞳を瞬かせながら言う。
「いえ……大丈夫ですっ……自分で帰れますっじゃ、また明日っ」
逃げるように、ユノは生徒会室から飛び出た。
イヴァンはキリヤを見遣る。
「そんな暇もなかっただろ。僕はそろそろ帰るよ」
キリヤは肩を竦めると、会長室から黒と青の競技用のローブを取ってくるとフライングレースのローブを取りまとめる係のイヴァンに放った。
「なになに? ユノの分もキリヤが持っているとか意味深じゃない?」
レースのローブの管理を担当しているイヴァンはそれを受け取りながら訊ねる。
「単に怪我してないか確認しただけだ。怪我があったら僕の勝ちになる」
キリヤは短く言ってイヴァンを一瞥すると、生徒会室から出て行った。
イヴァンが苦笑を浮かべるながら肩を竦めると、アンドレアもユノの方を向いた。
「……おい」
アンドレアが地の底から響いてくるような声でユノに尋ねた。
「え……と、俺、ですか?」
火傷しそうなほど熱い視線を向けられて恐る恐るユノは応える。
「……俺のフレイムはお前の位置に真っ直ぐ飛んで行ったはずだ。それなのに、どうしてお前はあの後すぐに動けたんだ。俺のフレイムを正面から食らったら、キリヤ様だって多少のダメージはあるはずなのに」
あのフレイムをもし正面からまともに食らっていたら、ユノも確かに怪我は免れなかっただろう。
そんな攻撃をしてきた人物に応える義理はないかもしれない。
しかし、燃えるような瞳と向き合うと、それは怒りというより、戦士として真剣に訊ねているのだと伝わってきた。
「真正面からぶつかっていません。ぶつかったらフレイムに宿っている火の精が消えてしまうので、俺にぶつかる前にお願いして止まってもらいました……わっ」
ユノが答えると、アンドレアは拳で強くテーブルをドン、と打った。
「お願い? 火の精がお前の願いを聞いて止まったっていうのか? なんだそれ? そんなわけあるか。ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ」
ユノの問いにアンドレアが激昂した声を上げ、ユノの襟首を掴んだ。
体が大きいアンドレアに襟首を掴まれてユノの体は宙に浮いたが、ユノは怯まず続けた。
「ふざけていません」
激昂しているアンドレアの瞳から逃げずにユノは応えた。
「アンドレア、まずはユノの話を全部聞きなよ。自分から聞いておいて気に食わない答えを言ったからって暴力に訴えるのは良くないよ」
イヴァンが冷静な声で言ってアンドレアを止めた。
「でもユノがお願いすると火の妖精が止まったっていうのがどういうことか僕も分からないな。もう少し詳しく教えてくれる?」
イヴァンは続けてユノにも言った。
「はい。もちろん。ただ、お願いして止めたって言うのは比喩でも何でもないんです。火の精の言語を使って話しかけると、火の精はどんな話でも応じてくださいます」
「火の精の言語って……ユノ火の精の言葉が分かるの?」
イヴァンの目が驚きで見開かれる。隣のアンドレアの赤い瞳も同様に驚きで見開かれた。
「はい。俺の生まれ故郷は国の最北部なんで、火の精無くては生きていけません。最初は普通に人間の言葉で感謝の言葉を伝えていたのですが、そのうちに火の精が何かしらお言葉を返してくれるようになったので、そこから簡単ですが火の精の言葉を学びました」
「驚いた……火の精は独自の言語を持っているということは本で読んだことがあったけれど、謎が多いと言われているよね。ちょっと信じられないけれど、アンドレアのフレイムを止められるなんて、確かに火の精とコミュニケーションが取れるから、ということしか考えられない……」
「……それだけじゃない。そのあと、俺のところに飛んできて停止の魔法を掛けるのも、ただならないスピードだった……」
驚いた声を上げるイヴァンに続いて、ぼそりとアンドレアが言った。
襟首を掴んでいたアンドレアの手が緩み、ほっとするが、一気に疲れも押し寄せて、ユノの足元がふらついた。
「……っと」
「危ないっ」
倒れかけたユノをイヴァンが慌てて支えた。
「……すみません……俺も魔力がもう限界なので、そろそろ帰りますね」
ユノが言うと、アンドレアもイヴァンも心配そうな表情を浮かべた。
「ありがとう、ユノ。休んで元気になったらまた火の精のことは改めて教えて」
そう言って、イヴァンはユノをエスコートするように扉に向かった。
「はい」
「キリヤ達はあんな言い方しているけど、僕は君と仕事が出来て嬉しいよ。早速だけど、招待客のリストの見直しから始めたいから次の予定だけ決めてもいいかな? 明日の放課後時間ある?」
「明日大丈夫です。ここに来るので大丈夫ですか?」
「うん。招待状は早目に準備を始めた方がいいからね。でも今日は本当にすごかった。ゆっくり休んで」
イヴァンはすみれ色の瞳を柔らかく和ませてユノの頭をぽんぽん、と優しく撫でた。
「あ……ありがとうございます」
ユノも笑い返した。
「……おい。もし疲れているなら送って行く」
ぼそりと小さい声がして、振り返るとアンドレアだった。
ユノは驚いて目を丸くした。
「へぇ。驚いた。でもレース後で疲れてふらふらのアンドレアより、今日レースに参加していない僕に送ってもらう方が心配ないよ。僕が送るよ」
菫色の瞳を瞬かせながら言う。
「いえ……大丈夫ですっ……自分で帰れますっじゃ、また明日っ」
逃げるように、ユノは生徒会室から飛び出た。
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