かきまぜないで

ゆなな

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番外編SS

Honey Life with babies 1

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「あ……っそこ、くすぐたっ……」
「くすぐったいだけじゃないくせに……」
「や………っあ………」 
 休みの前日。柔らかな布団の中で、吐息だけで重ねられる会話。
 沢村のくちびるが忙しなくあちこちに落ちてくるのは、もう高弥の中に挿りたくてたまらないという彼の合図。沢村が高弥だけに見せる可愛い一面に気付いてしまってからは、高弥の中でますます愛しさが募ってしまった気がする。
 高弥が、沢村の茶色の髪をそっと撫でると、すっかり濡れた孔の入り口にひた……と張り詰めた丸い切っ先が当てられる。
「ぅ……」
 どちらともなく、甘い吐息が溢れる。早く熱く濡れた粘膜を擦り合わせたくて、堪らない。
 声を堪えるために、くちびるが、重なる。沢村の舌が高弥の舌をくすぐるように辿って、舐めて、それから吸われて……
 にゅる、と太くて丸い陰茎の先も胎内に入り込む。
「んんっ……」
 拡げられる心地よさに塞がれたくちびるからくぐもった声が溢れる。
 にゅるにゅるとナカを進んでもうちょっとで一番奥まで、というそのとき。

「ふぇ………っ」

 ともすれば聞き逃してしまうほどの小さな泣き声が寝室に置かれたベビーベッドから聞こえて、二人の動きはちいさく固まった。
「起きたかな……?」
 高弥がまだ甘く掠れたままの声で言う。
「……気のせいだって」
 沢村はそう言って、奥に躯を進めようとすると
「ふぇぇぇ……」
 さっきよりも、もう少し大きな声にもう一度高弥の動きは止まる。そんな高弥に沢村は
「気のせい、気のせい……ヒナのこと気にしすぎるから聞こえてるだけ……」
と言うと
「ふぇっふえっ……うぇぇぇんうぇぇぇん」
沢村の声に被せるように本格的な陽向の泣き声が寝室に響いた。
「……だめですね。ヒナ起きちゃった……」
「……一回だけ……一回だけ出すだけ……な?」
「な?じゃないですよ。……っバカなこと言ってないで、抜いてください」
「ちょっとくらい待てんだろぉ、すぐ済ます……10分…… いや5分!」

「うわぁぁぁん、うわぁぁぁん」

 沢村の発言に抗議するように陽向の声が響いた。
「沢村先生」
 それまでどんなに甘い雰囲気でも陽向の泣き声を聞くと、冷水を浴びさせられたくらい冷静になってしまうらしい高弥の声がぴしりと響いた。
「へーへー、…… わぁったよ、抜けばいんだろ、抜けば」
 二人に急かされてちぇっ、と行儀悪く小さく舌を鳴らすと、沢村は未練たらたらだが、ずるり、と高弥のナカから己を引き抜いた。
「あ……ん」
 さすがに抜いた瞬間に声が漏れてしまったが、高弥はさっとティッシュを取り下肢を拭う。きょろきょろと自分のパジャマを探したがすぐに見当たらなかったので沢村のTシャツを被るとそのままベビーベッドに行ってしまった。
「ごめんね、お待たせヒナ」
 高弥が腕に抱くと、陽向はすんすんと甘えた声を出して高弥の胸元に顔を寄せて大きな泣き声は止んだ。
「よしよし、いいこだねー」
 そう言いながら抱き上げてお尻のあたりをポンポンとしてやると陽向はすうすうと可愛らしい寝息を立て始めた。
「お。ヒナ、すぐ寝たじゃーん」
 一糸纏わぬ姿で傍らにやってきた沢村が陽向の寝顔を覗き見ながら高弥の腰に腕を回す。
「……何か着て下さいよ」
「……お前が俺のTシャツ着てるせいだろーが……つーか、また脱ぐんだから別にいいだろ……んー、いい匂い……」
「くすぐったいですってば……ちょっと……沢村先生っ……ヒナ、ベッドに置くから離れて……」
 首筋に鼻筋を潜らせて躯のあちこちに触れてくる沢村。
「こうしてたって置けんだろ」
「だめです。ベッドに置くのは非常に難しいミッションです。知ってるでしょ」
ジロと高弥が睨むと
「はいはい、離れりゃいいんだろー」
 降参と言うように両手を挙げて高弥の躯から沢村が離れると、高弥は細心の注意を払ってベビーベッドに寝かせる。
「やたっ!大成功!……っうわ」
 上手にベッドに置けて思わず満面の笑みを浮かべて沢村を振り返ると、ふわりとその場で抱き上げられた。
「んじゃ、戻んぞ」
 沢村の長い脚だと数歩で二人のベッドに辿り着き、ベッドの上にふわりと下ろされる。
 下ろした次の瞬間にはぶかぶかのTシャツの中に大きな沢村のてのひらが滑る。
「ヒナの泣き声聞くと、おっぱい張るのな」
 ふに、と長い指先が乳首を押すと、 じわりと乳汁が滲む。
「あっ……ちょっ……それ、やだってば……あっ……ま……待って…」
 「だーめ、待たない……」
 そう言ってくちびるが重なって、指先はぬるぬると濡れた胸を滑って、熱いものが押し付けられた……そのとき。

「ふぇ………っ」

 再び聞こえた陽向の声。
「まじかよ……嘘だって言ってくれ……」
 絶望と言ってもいいほどの声色で沢村が呟く。
「んー、どうしたんだろ……」
 そう言って再びベビーベッドの方に高弥は向かう。
 ベッドから抱き上げるとまた泣き声は止んで静かになった。
「もしかしてヒナ、一人で寝るの嫌?」
 そう言って沢村と高弥が寝るベッドに陽向を連れて戻る。
「いや、3人でココに寝るのは異論はねぇけどさぁ……続きは?」
 沢村かくちびるを尖らせているのが何だか可愛くて高弥は思わず笑ってしまう。
「眠ってから30分くらい経つと、ヒナぐっすり深く眠るから、そ
れまで、ね?」
 そう言ってからベッドに陽向を置いて、抱き締めるように添い寝してやると、小さな口からまたすやすやと可愛い寝息が漏れた。
「30分…… 長ぇな……」
 文句を言いながらも仕方ないと思うのか、沢村も陽向の横にごろりと転がった。
 眠った目元は高弥にそっくりで、沢村と同じ色の髪の毛の陽向のぷくぷくした頬を指でつんつんと突っつく。
 高弥がふわりと毛布を掛けて、3人同じ毛布にくるまれると、暖かくてぽわぽわしてくる。
「おい、高弥寝んなよ…… 寝てても襲うからな。絶対襲う……」
 とろりとした声のくせに、とんでもないことを言う。
「……寝ないように気を付けます」


 そうして、30分後。

 暖かな毛布にくるまれて、すやすや眠る陽向と沢村を見て高弥は思わずちいさく笑ってしまった。 
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