かきまぜないで

ゆなな

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3章

12話

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 二人して散々笑い合ってベッドで転がった。
 ちゅ、ちゅとくちびるだけを触れ合わせてみたり、柔らかな布団の上で互いの躯のあちこちに触れたり。 次第に口付けは深くなって互いの舌を絡めて。もっと沢山触れたくて、気付いたら、衣服は全て床の上に落ちていた。
 高弥の躯が冷えないように潜った布団の中で、沢村のくちびるが躯中に降ってくる。
「ふっ……くすぐった……んっ……」
 鼻先を柔らかい皮膚に埋めて肌の匂いを味わいながら熱い舌先で舐められる。
「やべぇ、ココに俺とお前のコドモがいると思うと……慎重になるな」
 神妙な顔をしてお腹の辺りにそっとくちびるを寄せた。
 まるで宝物に触れるように触れてくるのが、高弥をとてもくすぐったい気持ちにさせる。
「ボストン行く前には普通にシたじゃないですか。あんときも腹のナカにいましたよ?まだ悪阻もなかったから俺は全然気づかなかったけど」
 気恥ずかしい気持ちを誤魔化すように高弥が言うと
「俺もボストン行く前は少しおかしいな?ってくらいだったんだよ……帰ってきた日の夜はさすがに明らかに何か違うのわかったけど。出発前に気付いてたらあんなにガンガン奥突けるかよ……」
 何ともなくて、マジでよかった……
と、高弥のお腹に頬を寄せる。
 そのまま暫く動かない沢村に
「シないんですか?」
 お腹に顔を当てている沢村の綺麗な茶色の髪を指に絡めながら高弥が問うと。
「さすがにちょっと迷う」
 少し固いトーンの声。
 沢村に心配してもらうのはどこかくすぐったくて嬉しい。
 でも。
 高弥は熱をまとった指先で沢村の頬を撫でた。
 そして情欲でたっぷりと濡れた瞳で
「俺は、したい、です。今日はすごく、沢村先生としたい……」
 ねぇ、俺のナカ、かきまぜてよ………
 そう言って熱くなった腰をねだるように沢村に押し当てる。
 ごくり、と沢村が喉を嚥下させたのがわかった。
「あのなぁ、こっちはすげぇ我慢してんだっつーの。煽んじゃねぇよ……っ」
 柔らかなシーツの上に高弥を押し倒すと、箍が外れたように大きなてのひらが全身に触れ、くちびるが狂おしく躯を辿る。
「あっ……」
 ぷっくり膨れた乳首にもくちびるは降ってくる。でもいつもみたいにいっぱい弄ったりはしないで軽くちゅ、と吸っただけ。
「乳首あんまし弄ると早産につながるから、しばらくは我慢、な?」
「う……」
 ちょっと不満そうに腰を揺らした高弥を沢村は笑って、 
「今日は代わりにココ舐めてやる」
「え?」
 そう言うと、高弥の脚の間でふるりと震えて勃っている高弥のペニスを沢村は咥えた。
「あぁっ……」
 小ぶりなペニスは簡単に根本までずっぽりと咥えられてしまう。
 じゅるじゅると如何にも美味しそうに吸い上げられて、あっという間に射精感が高められる。
 脚の間で高弥のものを口に含んでいた沢村は高弥の顔を欲情に濡れた目でじっと見詰めていて、 視線でも狂わせられてしまう。
「沢村せんせ……っも、離してっ……も、出ちゃうっ……」
 高弥はそう言ってるのに、沢村は離すどころか、いつの間にかコンドームを纏わせた指先が濡れた孔のふちからゆっくりと潜ってきた。
「あっあっ……やだやだ、離してってばぁ……あっ」
 孔の方も滴るほどに濡れていて、浅いところをゆっくり弄ってるだけなのに、くちゅくちゅと大きな音がする。
 沢村が高弥のペニスの先端の小さな孔に、ぐり、と舌を入れたところで
「んんっ……それだめっ……やぁ……」
 高弥の躯は痙攣して、絶頂に達した。
 高弥ははぁはぁ、と呼吸を乱しながら、咥内のものを躊躇いなく嚥下した沢村を見る。
「の……のんじゃうの、やだって言ったのに……」
 そうは言うものの気持ちよかったのか、目には気持ちいいときに出てしまう涙が溜まっている。
 それを長い人差し指で掬ってやって、頭をぽんぽんと撫でる。
「でも高弥コレ、好きだろ?チビんときもそういや、口でしてやったら目うるうるしてたな」
「その話はもう言わないで……」
  中学生の頃の恥ずかしい話を持ち出されて羞恥で神経が焼き切れそうだ。
「いい思い出じゃん」
 笑いながら、沢村の手はもう一度脚の間に伸びる。 
 コンドームを付けた指先がもう一度孔に潜る。
「ぅ……あっ……」
「おー、すげぇ濡れてんな。ぬっるぬる」
 いっぱい濡れてることをからかいながらも、指先は何かを確かめるように慎重に動く。
「んー………大丈夫、そうだな」
 ナカの状態を確かめる沢村は、病院で患者を診察するときの姿みたいでドキリとする。
 ずるり、と指を抜くと、今度はもう一枚取り出したコンドームのパッケージを咥えて、片手で器用に封を破るとするすると自身の陰茎に着けた。
「ほんっと……沢村先生の仕事モードとエロモードのギャップずるい……」
 思わずちいさな声で呟くと
「あ?何か言ったか?」
と聞き返される。
「べつにー ……っうわ、な……何?」
 ちょっと拗ねて返事をすると、仰向けで寝ていた体勢を横向きに倒された。
「これ、深くまで入んねぇ体位だけど、今は深くまで入れない方がいいからこれで我慢しろよ」
 そう言うと、横になって寝た状態のところを背中からぎゅっと抱き締められた。
「ナカに挿れるから、少しでも痛かったり、なんかおかしかったらすぐ言えよ?」
 俗に言う後側位という体勢で、沢村の熱く猛ったものがひたり、と濡れた孔に押し当てられた。
「んっ……」
 沢山濡れていたので、太い先端も吸い込まれて行くように入っていった。 
「あー、高弥んナカあったけぇ……」
 恍惚とした声で沢村は言う。
「あっ……んんっ」
 高弥は思わず漏れた大きな声をアパートでしているときの癖で思わず指を噛んで耐えると、
「もうボロアパートじゃねぇから、声出しても大丈夫だろ」
と、噛んでいた指をそっと外される。
「……でも、恥ずかし……」
「いいじゃん、聞かせろよ。高弥のきもちいー声、俺すげぇ好き。可愛い……」
 そう言うと、ゆっくりだが、ずるずると沢村のペニスが挿入されていく。 ナカに沢村のものを入れた状態で、甘い言葉を言われると、含んだところが、じわりと熱くなって泣きそうになる。
「ああっ……ぅ」
 一番奥までは入ったりしないが、高弥のナカのすごく感じるふっくらとしたしこりを、先端のつるりとして膨らんだ部分がとびきり優しく擦りあげる。
「ひっ…… あぁ……」
 腕の中で快感に震える躯が愛しくて沢村はぎゅっと抱き締めて
「高弥……すげぇ可愛い……っ……」
切羽詰まった声で告げると、 
「……っぅ…… 」
 高弥の瞳から大粒の涙がぽろぽろと落ちた。
「あぁ、もうそんな風に泣くなって……たまんなくなる……」
 そう言って、またどうにかなりそうなほど優しくナカを擦る。
「や……それ、おかしくなる……」
いやいやと頭を振ると
「おかしくなっちまえ……どんな高弥も……」
 すげぇ、好き。めちゃめちゃ好き。 
 とろとろのあまいあまい蜜を溶かしたみたいな声が耳の奥に流れ込んで、高弥の鼓膜に響く。
 それから軽く顎を掴まれて唇が重なった。柔らかく舌を絡めて、そっとくちびるを離すと
「俺もっ……すき……すき……沢村せんせぇ、すき…… 」
今まで我慢していた言葉が堪えられなくて溢れおちてしまう。
 すき、すき……とひくひくと涙を溢しながら止められない高弥。
「あぁ、くそ。 可愛すぎんだろ、お前。あんまりイくと腹張るからだめだっつってんのに」
 深くは入らないように、浅いところでゆっくりと動かしているだけなのに。二人とも気持ちよくて気持ちよくてたまらなかった。
 触れ合った肌が、繋がったところが、 通じた心が気持ちよくてたまらない。
「沢村せんせ………だいすき……っあ……きもちい…………とけちゃう」
 にゅる、とぬめったナカで柔らかく沢村を締め付けられる。
「俺も好きだっつーの……っぅ」
 横向きに寝る高弥を後ろからぎゅっと抱き締めるとなめらかな背の肌がたまらなく沢村は心地よかった。
 夢見心地な快感の中、激しくしないように沢村は必死に気を付けながら、 ゆるゆるとかきまぜる。沢村のことが大好きだと内壁が吸い付いてくるのが愛しい。
 今日はコンドームをしているので沢村の体液はナカに漏れていないのに、にゅぷにゅぷ、ぐぷぐぷとたっぷりとぬめった音が沢山するのは、高弥がひどく濡れているからだった。
「すき……っああっ」
 高弥のぷっくり膨れている乳首もいかにもおいしそうで、沢村は吸い付いて舐め回したかったが、あまり刺激を与えると子宮が収縮して胎児に良なくないため、そっと触れるだけに耐えてるのに。
「や……もっと触って……」
 普段言わないようなセリフでねだられて、頭の線がねじ切れそうになる。
「こっちは必死で我慢してんだっつーの。俺だってそこ舐め回してぇよっ」
 そう言って乳首をほんの少しだけ強く摘まむと、細い躯は仰け反って震えた。
「あ……っきもちいい……沢村せんせぇ、すき……」
 濡れた舌がうまくしまえないほどに感じ入っいて舌足らずになってしまっているのが、可愛くてまたぎゅっと抱き締めると、ナカが柔らかくうねった。
「高弥……すげぇ気持ちいい……よすぎて高弥のナカで溶けそう……」
 はぁ、と高弥の首すじのところで、沢村も感じ入った甘い吐息を漏らす。
「せんせぇ、おれ、またイく……」
「俺もすぐ出そうだから、ちょっと待ってろ」
 そう言って沢村は高弥の腹部に手を回すとぷるぷると震える小ぶりな陰茎の根元を抑えた。
「あ……それやだぁ。 いじわるしないで……っ…」
「ごめんな、高弥。俺ももう出そうだけど、もうちょっとだけお前んナカ味わいたい……っぅ」
 ぬぷぬぷと甘い蜜壺のようなナカを極力ゆっくり擦る沢村もかなり我慢をしているようで、密着したところから彼のおびただしい汗が伝ってくる。
「い……いっしょにイくやつ、するの……?あっ」
「あぁ、一緒にイこう、な?それで、今日はイくとき、ココ咬むぞ……」
 そう言って、ナカでぐちゅぐちゅと動かしながら、高弥の甘いうなじをぺろり、と舐めた。
「ひ………ぁっ……ほんと?ほんとに」
 潤んだ瞳が沢村を振り返ったので、たまらなくなって沢村はくちびるに口付けた。
「んんっ……ふ、ぅ」
 くちびるを離すと
「……俺を高弥の番にしてくれるか?」
 いつだって偉そうな沢村が高弥に乞い願う。
 高弥の胸の中があまく締め付けられてどうにかなりそうだった。
「おれ、ずっとずっとせんせぇの……んっ……つがいに、なりたかった……んんっ」
 沢村の動きが少しだけ速まった。ぐちゅぐちゅと濡れた音が響いて。気持ちよくて熱くて、本当に混ざりあってしまいそうだった。
「……っ高弥……っ 愛してる」
と耳奥に声を注いだあと
「ぅあぁ……っ」
 高弥の陰茎を抑えていた手を離すと同時に、うんと優しくナカを擦りあげて、沢村は高弥のうなじを咬んだ。
 ぷつりと皮膚が破れて沢村の尖った犬歯が食い込んだのに、そこから生まれるのは痺れるほどの快感だった。
 あまりの快感に高弥は陰茎からも孔の奥からもとろとろと体液を溢して絶頂に達した。
 同時に高弥のナカで沢村も達した。薄い皮膜越しであったが、思わずきつく閉じた瞼の裏が白むほどの快感に包まれ、思わず腰がぶるぶると震えた。
 あまく、幸せで長い絶頂を終えると、沢村は高弥のうなじに付いた疵を愛しそうに舐めて、それからゆっくりと高弥のナカから自身を引き抜いた。
 後ろから横抱きにしていた体勢から、 高弥の顔がよく見えるようにそっと高弥の躯を沢村の方に向け、ぎゅっと前から抱き締めた。
 高弥のくちびるが沢村の胸にそっと押し当てられて
「これで、つがいに、なったのかなぁ」
 疲れて眠たいのか、ぽやんとした口調の高弥が尋ねる。
「あぁ、これでようやく番だな」
 沢村が答えると高弥からは安心したようにちいさな寝息が聞こえてきた。
「くそ……めちゃくちゃ可愛いな……」
 高弥の寝顔を沢村はいつまでも見つめていた。



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