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2章
9話
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反射的に声がする二階の方に顔を向けたが、 アパートの廊下の電灯が逆光になり沢村の表情はよく見えなかった。
タン、タン、タン、とアパートの安っぽい階段を沢村が降りてくる音が辺りに響いた。
ポケットに手を突っ込んだままゆったりと降りてくる姿はいつものいい加減な男そのものなのに。
どくん、どくん……
一歩、また一歩近づいてくるだけで、心臓が狂おしく脈打つ。
いつもと沢村の纏う空気が違う気がした。脚がガクガクと震えるほどに禍々しいものを撒き散らかしながらこっちに足を進めてくる。
高弥を抱き締めていた北岡の腕からずるり、と力が抜けたのがわかった。ごくり、と北岡の喉が鳴った。沢村は一見飄々として見せているが、北岡を威嚇する圧力が凄まじい。
「でも。コレ俺の、なんだけど」
北岡の腕の中にいた高弥の腕をぐっと引いた沢村の目がぞっとするほど恐ろしくて、高弥の背筋に汗がつ……、と伝った。
自分の獲物に手を出されそうになった獣の目で、一瞬の隙を見せたらあっという間に喉笛を切り裂かれてしまいそうな鋭利な視線。
北岡の体が恐ろしいほどに緊張したのが伝わってきた。
「高弥、行くぞ」
掴まれた腕から伝わる温度が燃えそうなほどに熱い。
「あ………」
高弥は呼吸がどんどん苦しくなってきて、吐き出す息も燃えそうなくらい甘く感じられた。強引に一番激しいときの発情期を引き出されているような感覚。
心臓もますます激しく高鳴った。
北岡は沢村が発する上位のアルファ特有の獣じみたオーラに戦意喪失したかのように力を失っていた。
引き寄せられた力は然程ではなかったのに、高弥の躯も何か強力な引力に引き寄せられるように沢村の方へ傾いた。
そのまま部屋の方へ踵を返した沢村に引かれるように歩いた。
腕の中から高弥を奪われた北岡はため息を吐くと
「沢村先生と高弥さんがもう長いんだなってのはわかってます。だからいきなり割って入れないのも覚悟してんですよ。でも俺、沢村先生が高弥さんのこと大切にしないなら絶対諦めませんから」
いつもの温和な北岡からは想像ができないほど鋭い視線を沢村に投げ掛けたが、沢村はそれを冷たい視線で一瞥するとそのまま階段を登り高弥を北岡から隠すように部屋に入った。
「沢村先生っ……」
部屋に入ると漸く声が出た。
だが、軽々と高弥を担ぎ上げたかと思うとそのままバスルームの扉を開けてバスタブの中に下ろされた。
「痛っ……っわ……」
空っぽのバスタブに転がされたかと思うとシャワーを頭からかけられた。
「ちょ……っ何して……っ」
頭からシャワーから降り注ぐ水に濡らされた。
「におい……」
「え……?」
「他の男の匂いさせてんじゃねぇよ」
低い声で言った沢村の目はギラギラしていると言っていいほど獣じみていた。
そう言った男に噛み付くように口付けられた。
入り込んできた舌も躯に触れてきた手も熱くて、高弥は驚いて思わず身を引いたが力強い腕は少しも躯を離すことを許さなかった。
狂おしい男の熱に触れて、 全身の肌が粟立った。
「は……っ……は………」
くちびるを離したあと沢村から漏れた苦しそうな吐息に思わず見上げると、頬は紅潮してギラついた瞳は潤んでいて……
「っくそ……っ」
はぁ、はぁと呼吸を乱す男のただならぬ気配と濃厚な雄の香りに高弥の腹の奥が熱くなった。この感覚は発情期のときに起こるもので。
(な、んで……発情期はまだなのに……っ)
冷たいシャワーで濡れた高弥の服を呼吸を乱した男が剥ぎ取るように脱がす。太ももに押し当てられた沢村のものが恐ろしいほど熱くなっていた。
(も……もしかして、これって……)
高弥はある一つの考えに至って沢村の顔を見ると、やや瞳孔が開いていて呼吸も荒い。
定期的にやってくるオメガの発情期はよく知られたものであるが、ラットと呼ばれるアルファの発情は稀なものであり、オメガの発情期に誘発されるという説やアルファの感情によって突発的に起こるものだという説があり、真実は未だ解明されていない。
沢村はどうやらラットを起こしているようだった。
「…… ぐ……っ」
「っ……沢村せんせ……っ」
喉の奥で低く唸りながら、シャワーでぐっしょりと濡れた高弥の衣服を剥ぐように脱がされる。何度か衣類の繊維が引き千切れる音がした。もうこの服は着れないかもしれない、などと頭の何処かで考えることができたのは、このときが最後だった。
「痛……っ」
剥き出しになった高弥の肩にガリ、と沢村の犬歯が食い込んだのだ。
獰猛な瞳、荒い呼吸と乱暴な指先。本能的に恐怖を感じた高弥が反射的に逃げようとして、 沢村の躯を押し退けると身を起こし、バスタブの縁を掴んで立ち上がりかけたときだった。
むき出しの白い背中と双丘にかけてのラインを晒け出して逃げようとした高弥に、沢村が息を乱しながらごくり、と喉を震わせた。
「うぁ……っ」
後ろから簡単に捕らえられ、きつく抱き付かれた。
自身の前を寛げた沢村は高弥の太ももや双丘の柔らかいところに燃えそうに熱いものをめちゃくちゃに擦り付ける。
「高弥………っ」
喉の奥から絞り出された苦しそうな声に、 思わず高弥が動きを止めたそのとき。
「ひ……っ」
後ろから躯を押さえつけられて、沢村のぺニスが奥まで一気に挿入された。衝撃に高弥の瞼の裏に火花のような光がチカチカと舞ったようだった。
「あ……っ待っ………も、とゆっくり……っ」
いつもは沢村のものが馴染むようにゆっくりと挿入されるのに、一気に奥まで拡げられた。
沢村から発せられるオメガの情欲を掻き立てる香。それにより潤っていた高弥の後孔は、強引な挿入に入り口は引き攣っていたものの、全てが埋められてしまう。
「ぅ……あ」
「……くそ……っ」
儘ならない熱情に悪態を吐いた沢村からぽたり、ぽたりと汗が高弥の背中に落ちてくる。
「や……苦し………っ」
これ以上入らないという奥まで捩じ込まれ、また肩の辺りに噛みつかれた。瞳からは生理的な涙が溢れた。
そして、苦しいのに沢村のラットにより強制的に高弥の発情期も引き起こされているようで、腹の奥が急激な速度で熱くなっていく。
熱くて、苦しくてたまらないのに、沢村が我慢できないというように深いところを何かに取り憑かれたように何度も打ち付けてくる。
「ああっ……」
苦痛と紙一重のところにあるような強烈な快感に、思わず大きな声が漏れて咄嗟に高弥は自らの指をきつく噛んで声を抑えた。
沢村は背後から貫きながら狂ったように高弥の背にくちびるを落とし歯を立てる。
背骨を辿って頚椎のあたりにくちびるが落ちて、軽く歯が立てられる。
その少し上、うなじのあたりにもくちびるが降ってきた。
「あ……… 」
うなじに触れられてとろけるようにあまい多幸感にも似たような痺れが高弥の全身を覆った。ぎちぎちと目一杯に締め付けていたそこが、花が綻びるように柔らかくなり、 それでいて絡み付くように沢村を締め付けた。
あまい蜜は溢れだし、沢村が激しく腰を打ち付けるたびにぐちゃぐちゃと濡れた音を響かせる。
「ひ……あっ……んんっ」
音が響くバスルームで大きな声を上げてしまうため、自らの指を噛んでいた高弥だが、指先を外され、代わりに沢村の指が射し込まれた。
咥内をかきまぜるように動かされると高弥は心から尊敬していて、愛してやまないその指先に濡れた舌を絡ませた。
「んん……っ」
高弥が、きゅうっと、ナカの沢村を締め付けながら絶頂に達したときだった。 ぽたぽたと沢村の汗が背に垂れてきたかと思うと次の瞬間、滅茶苦茶に動かれた。
「あっ ……待っ ……今……っ んん」
イったばかりで敏感な粘膜を興奮しきったペニスで滅茶苦茶に擦られて、高弥の頭の中が真っ白になった。
「……っく……出る……っ」
情欲に掠れた沢村の声が高弥の耳に届いたと思うと、ぴしゃり、と熱い体液が躯の奥に放たれて、腹の奥がそのまま溶かされてしまうかと思った。
「ぁ……んっ」
どくどく、と注がれている感覚に気を失ってしまいそうになりながらも、一度出せば沢村も少し冷静なるだろうと、頭の片隅で安堵を感じていた高弥だったが……
「…… んんっ」
口の中に含まされている指先のせいで大きい声は出ずにすんだが、射精している沢村のものが、更にぐっと入り込み、よりいっそう熱く熱を持ち、いつもよりも多い量の精液をたっぷりと注ぎ込まれる。
ラットを起こしたアルファの射精は恐ろしいほど長い。そして。
「うぐ……ぅ」
一際奥まで捩じ込まれ、高弥の躯は衝撃に震えた。普段は一応あれでも随分手加減されていたのだと痛感する。
「くっ……ぁ……う……」
あまりの快楽に、沢村も低い呻き声を漏らしてしまう。
「ひ……っぅ」
奥の奥まで挿入しているのに、もっと奥に入りたいと、沢村が高弥に腰を押し付ける。その度に苦しそうな呻き声が漏れる。そして二人が繋がったところがぷしゅ、と音を立てた。高弥から透明な体液吹き出して高弥の躯がひくひくと痙攣する。
沢村は密着した躯から、高弥が限界なのはわかっていたが、おびただしい量の精液の全てを注ぎこみたくて仕方がなかった。
「や………抜いてぇ……」
「悪ぃ……っ止まんね……っ」
止めてやらなくては、と思うのに沢村はどうしても腰が動くのを止められないし、いつも勢いよく出る精液がゆっくりと、でもずっと出続けるのが止められない。高弥の濡れた隘路の奥。いつもはこれ以上は入らないといつも閉じている奥のところが今日は蜜を垂らしながら綻んで、沢村の膨らみきったペニスの先端を柔らかく包み込んで、精液を搾り取ろうとしているみたいだった。
「……っ マジこんなん、頭おかしくなるっつーの……っく……」
はぁはぁと呼吸を乱しながら熱に侵されたように言った沢村がペニスを奥に擦り付けると互いの体液がかきまぜられて混じってぱちゅぱちゅと音を立てる。混じった体液が繋がったところから溢れた分は高弥の太ももを伝う。
「ひ……っ、 も、ゆるして……」
本能的に逃げようとすると、更にぐっ……と引き寄せられる。
圧倒的な快感から、熱から逃れられない。
うなじに何度もくちびるが狂ったように降ってきて、熱い体液が気が遠くなるほどい時間をかけて胎内に注ぎ込まれた。
タン、タン、タン、とアパートの安っぽい階段を沢村が降りてくる音が辺りに響いた。
ポケットに手を突っ込んだままゆったりと降りてくる姿はいつものいい加減な男そのものなのに。
どくん、どくん……
一歩、また一歩近づいてくるだけで、心臓が狂おしく脈打つ。
いつもと沢村の纏う空気が違う気がした。脚がガクガクと震えるほどに禍々しいものを撒き散らかしながらこっちに足を進めてくる。
高弥を抱き締めていた北岡の腕からずるり、と力が抜けたのがわかった。ごくり、と北岡の喉が鳴った。沢村は一見飄々として見せているが、北岡を威嚇する圧力が凄まじい。
「でも。コレ俺の、なんだけど」
北岡の腕の中にいた高弥の腕をぐっと引いた沢村の目がぞっとするほど恐ろしくて、高弥の背筋に汗がつ……、と伝った。
自分の獲物に手を出されそうになった獣の目で、一瞬の隙を見せたらあっという間に喉笛を切り裂かれてしまいそうな鋭利な視線。
北岡の体が恐ろしいほどに緊張したのが伝わってきた。
「高弥、行くぞ」
掴まれた腕から伝わる温度が燃えそうなほどに熱い。
「あ………」
高弥は呼吸がどんどん苦しくなってきて、吐き出す息も燃えそうなくらい甘く感じられた。強引に一番激しいときの発情期を引き出されているような感覚。
心臓もますます激しく高鳴った。
北岡は沢村が発する上位のアルファ特有の獣じみたオーラに戦意喪失したかのように力を失っていた。
引き寄せられた力は然程ではなかったのに、高弥の躯も何か強力な引力に引き寄せられるように沢村の方へ傾いた。
そのまま部屋の方へ踵を返した沢村に引かれるように歩いた。
腕の中から高弥を奪われた北岡はため息を吐くと
「沢村先生と高弥さんがもう長いんだなってのはわかってます。だからいきなり割って入れないのも覚悟してんですよ。でも俺、沢村先生が高弥さんのこと大切にしないなら絶対諦めませんから」
いつもの温和な北岡からは想像ができないほど鋭い視線を沢村に投げ掛けたが、沢村はそれを冷たい視線で一瞥するとそのまま階段を登り高弥を北岡から隠すように部屋に入った。
「沢村先生っ……」
部屋に入ると漸く声が出た。
だが、軽々と高弥を担ぎ上げたかと思うとそのままバスルームの扉を開けてバスタブの中に下ろされた。
「痛っ……っわ……」
空っぽのバスタブに転がされたかと思うとシャワーを頭からかけられた。
「ちょ……っ何して……っ」
頭からシャワーから降り注ぐ水に濡らされた。
「におい……」
「え……?」
「他の男の匂いさせてんじゃねぇよ」
低い声で言った沢村の目はギラギラしていると言っていいほど獣じみていた。
そう言った男に噛み付くように口付けられた。
入り込んできた舌も躯に触れてきた手も熱くて、高弥は驚いて思わず身を引いたが力強い腕は少しも躯を離すことを許さなかった。
狂おしい男の熱に触れて、 全身の肌が粟立った。
「は……っ……は………」
くちびるを離したあと沢村から漏れた苦しそうな吐息に思わず見上げると、頬は紅潮してギラついた瞳は潤んでいて……
「っくそ……っ」
はぁ、はぁと呼吸を乱す男のただならぬ気配と濃厚な雄の香りに高弥の腹の奥が熱くなった。この感覚は発情期のときに起こるもので。
(な、んで……発情期はまだなのに……っ)
冷たいシャワーで濡れた高弥の服を呼吸を乱した男が剥ぎ取るように脱がす。太ももに押し当てられた沢村のものが恐ろしいほど熱くなっていた。
(も……もしかして、これって……)
高弥はある一つの考えに至って沢村の顔を見ると、やや瞳孔が開いていて呼吸も荒い。
定期的にやってくるオメガの発情期はよく知られたものであるが、ラットと呼ばれるアルファの発情は稀なものであり、オメガの発情期に誘発されるという説やアルファの感情によって突発的に起こるものだという説があり、真実は未だ解明されていない。
沢村はどうやらラットを起こしているようだった。
「…… ぐ……っ」
「っ……沢村せんせ……っ」
喉の奥で低く唸りながら、シャワーでぐっしょりと濡れた高弥の衣服を剥ぐように脱がされる。何度か衣類の繊維が引き千切れる音がした。もうこの服は着れないかもしれない、などと頭の何処かで考えることができたのは、このときが最後だった。
「痛……っ」
剥き出しになった高弥の肩にガリ、と沢村の犬歯が食い込んだのだ。
獰猛な瞳、荒い呼吸と乱暴な指先。本能的に恐怖を感じた高弥が反射的に逃げようとして、 沢村の躯を押し退けると身を起こし、バスタブの縁を掴んで立ち上がりかけたときだった。
むき出しの白い背中と双丘にかけてのラインを晒け出して逃げようとした高弥に、沢村が息を乱しながらごくり、と喉を震わせた。
「うぁ……っ」
後ろから簡単に捕らえられ、きつく抱き付かれた。
自身の前を寛げた沢村は高弥の太ももや双丘の柔らかいところに燃えそうに熱いものをめちゃくちゃに擦り付ける。
「高弥………っ」
喉の奥から絞り出された苦しそうな声に、 思わず高弥が動きを止めたそのとき。
「ひ……っ」
後ろから躯を押さえつけられて、沢村のぺニスが奥まで一気に挿入された。衝撃に高弥の瞼の裏に火花のような光がチカチカと舞ったようだった。
「あ……っ待っ………も、とゆっくり……っ」
いつもは沢村のものが馴染むようにゆっくりと挿入されるのに、一気に奥まで拡げられた。
沢村から発せられるオメガの情欲を掻き立てる香。それにより潤っていた高弥の後孔は、強引な挿入に入り口は引き攣っていたものの、全てが埋められてしまう。
「ぅ……あ」
「……くそ……っ」
儘ならない熱情に悪態を吐いた沢村からぽたり、ぽたりと汗が高弥の背中に落ちてくる。
「や……苦し………っ」
これ以上入らないという奥まで捩じ込まれ、また肩の辺りに噛みつかれた。瞳からは生理的な涙が溢れた。
そして、苦しいのに沢村のラットにより強制的に高弥の発情期も引き起こされているようで、腹の奥が急激な速度で熱くなっていく。
熱くて、苦しくてたまらないのに、沢村が我慢できないというように深いところを何かに取り憑かれたように何度も打ち付けてくる。
「ああっ……」
苦痛と紙一重のところにあるような強烈な快感に、思わず大きな声が漏れて咄嗟に高弥は自らの指をきつく噛んで声を抑えた。
沢村は背後から貫きながら狂ったように高弥の背にくちびるを落とし歯を立てる。
背骨を辿って頚椎のあたりにくちびるが落ちて、軽く歯が立てられる。
その少し上、うなじのあたりにもくちびるが降ってきた。
「あ……… 」
うなじに触れられてとろけるようにあまい多幸感にも似たような痺れが高弥の全身を覆った。ぎちぎちと目一杯に締め付けていたそこが、花が綻びるように柔らかくなり、 それでいて絡み付くように沢村を締め付けた。
あまい蜜は溢れだし、沢村が激しく腰を打ち付けるたびにぐちゃぐちゃと濡れた音を響かせる。
「ひ……あっ……んんっ」
音が響くバスルームで大きな声を上げてしまうため、自らの指を噛んでいた高弥だが、指先を外され、代わりに沢村の指が射し込まれた。
咥内をかきまぜるように動かされると高弥は心から尊敬していて、愛してやまないその指先に濡れた舌を絡ませた。
「んん……っ」
高弥が、きゅうっと、ナカの沢村を締め付けながら絶頂に達したときだった。 ぽたぽたと沢村の汗が背に垂れてきたかと思うと次の瞬間、滅茶苦茶に動かれた。
「あっ ……待っ ……今……っ んん」
イったばかりで敏感な粘膜を興奮しきったペニスで滅茶苦茶に擦られて、高弥の頭の中が真っ白になった。
「……っく……出る……っ」
情欲に掠れた沢村の声が高弥の耳に届いたと思うと、ぴしゃり、と熱い体液が躯の奥に放たれて、腹の奥がそのまま溶かされてしまうかと思った。
「ぁ……んっ」
どくどく、と注がれている感覚に気を失ってしまいそうになりながらも、一度出せば沢村も少し冷静なるだろうと、頭の片隅で安堵を感じていた高弥だったが……
「…… んんっ」
口の中に含まされている指先のせいで大きい声は出ずにすんだが、射精している沢村のものが、更にぐっと入り込み、よりいっそう熱く熱を持ち、いつもよりも多い量の精液をたっぷりと注ぎ込まれる。
ラットを起こしたアルファの射精は恐ろしいほど長い。そして。
「うぐ……ぅ」
一際奥まで捩じ込まれ、高弥の躯は衝撃に震えた。普段は一応あれでも随分手加減されていたのだと痛感する。
「くっ……ぁ……う……」
あまりの快楽に、沢村も低い呻き声を漏らしてしまう。
「ひ……っぅ」
奥の奥まで挿入しているのに、もっと奥に入りたいと、沢村が高弥に腰を押し付ける。その度に苦しそうな呻き声が漏れる。そして二人が繋がったところがぷしゅ、と音を立てた。高弥から透明な体液吹き出して高弥の躯がひくひくと痙攣する。
沢村は密着した躯から、高弥が限界なのはわかっていたが、おびただしい量の精液の全てを注ぎこみたくて仕方がなかった。
「や………抜いてぇ……」
「悪ぃ……っ止まんね……っ」
止めてやらなくては、と思うのに沢村はどうしても腰が動くのを止められないし、いつも勢いよく出る精液がゆっくりと、でもずっと出続けるのが止められない。高弥の濡れた隘路の奥。いつもはこれ以上は入らないといつも閉じている奥のところが今日は蜜を垂らしながら綻んで、沢村の膨らみきったペニスの先端を柔らかく包み込んで、精液を搾り取ろうとしているみたいだった。
「……っ マジこんなん、頭おかしくなるっつーの……っく……」
はぁはぁと呼吸を乱しながら熱に侵されたように言った沢村がペニスを奥に擦り付けると互いの体液がかきまぜられて混じってぱちゅぱちゅと音を立てる。混じった体液が繋がったところから溢れた分は高弥の太ももを伝う。
「ひ……っ、 も、ゆるして……」
本能的に逃げようとすると、更にぐっ……と引き寄せられる。
圧倒的な快感から、熱から逃れられない。
うなじに何度もくちびるが狂ったように降ってきて、熱い体液が気が遠くなるほどい時間をかけて胎内に注ぎ込まれた。
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