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2章
5話
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夜半過ぎ、喉が乾いて高弥が目を覚ますと壁際に追いやられている上に、動けないくらいきつく抱きしめられていた。
一度裸のまま寝たせいで翌日風邪をひいたことがあり、それ以来セックスの後高弥が寝オチすると一応は何か着せておいてくれるようになった。今夜はどうやら沢村が着ていたTシャツを着せたらしい。
躯の上に乗った腕を退けて起き上がる。
沢村のTシャツは高弥には長いのでお尻の辺りまですっぽりと包まれている。
キッチンで麦茶を飲んでからベッドに戻ると、一糸纏わぬ姿のままで深く眠る沢村の顔を見る。
沢山高弥のナカに出して満足したのか、能天気にぐっすり眠っている。
完全に遮光ではない高弥の部屋のカーテンからは、僅かに外の灯りが零れてうっすらと沢村の寝姿が見える。
長い睫毛にすっと通った鼻梁。 美しいカタチのくちびる。
腹が立つほど整っている顔を指先で軽く突く。
「ばーか。ひとの気も知らないで」
沢村が発情期のときは毎日のように、そうでないときでも数日と置かずに手を伸ばしてくるのが、心の奥底で安堵している自分がいる。
どうしようもない男だと思うのに、どうしようもなく惹かれて、どうしようもなく愛してしまった。
いつか彼が離れて行くとき、それを何ともない顔で見送る自信がないけれど絶対に取り乱したくない。だからいつかはやってくる『その時』を何度も脳内でシュミレーションして、その度に傷付いている。
明日は早番だが時計を見るともう一眠りできそうだったので、ベッドに潜り込む。沢村には背を向けて縮こまるように目を瞑る。
「狭いんだよ……でかいくせに広々寝やがって」
愚痴を溢しながらも沢村の匂いに包まれて眠るのは、とても安心することを高弥は認めざるを得なかった。
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