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大好きだよ、だからさよならと言ったんだ
28話
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結人の意識が白んだところから、彩のある世界に戻ってくると、柔らかく唇を吸われていて、躯の奥で達したはずなのに、熱量を失わないものがまだ結人のナカで蠢いていた。
唇を離した征弥と目が合う。泣きそうな顔をした男は汗で濡れた額をぴたり、と合わせる。
「結人……っ好きだ、愛してる……っ」
また、狂おしく囁く。酷く懐かしいその響き。そうだった。素直に愛してると言えない結人にいつも必死にこうやって愛の言葉を告げてくれていた。
繋がったものが、またずくり、と動き出す。
「あっ……ああっ……」
征弥の声が結人の耳の奥も脳髄の奥も、躯の奥も蕩かしてしまうのだ。もう、無理だと思っていたのに、薄く透明に近いような体液が結人の屹立からとぷり、と溢れて絶頂に押し上げられる。
「っ……すげ……きゅってした……結人……愛してる……愛してるよ、結人……っ」
「あ……っだめ……も、それ言うなぁ……」
「やだ、止めない。ずっと我慢してた……結人……愛してる……愛してる……っお前が居てくれたら、俺は他には何もいらないんだ……」
大きな掌が耳のところから潜って、愛しそうに結人の頭を撫でる。
何度も何度も……ぼぅっと熱を持つほどに口付けられた結人の唇に、また征弥の唇が触れる……口付けながら「結人……結人……っ」何度も囁かれて、ぐっ……と腰を深く押し付けられる。至近距離で撮影すればするほどにカメラマンを唸らせるほどの男の顔はとんでもなく美しくて、色っぽくて……そんな男に狂おしく愛を囁かれて、結人はおかしくなってしまいそうだった。
そして、これ以上奥に入れないというところまで、押し込まれているのに
「っ……征弥っ……も、入んない……って……ああっ……」
更に、奥。
「もっと入れてよ、結人……っ俺以外誰も入ったこと、ないとこまで入れて………」
ぐり……と、これ以上奥は入らないと思うところの入り口を刺激される。
まるで、結人が征弥以外の誰かを離れている間に受け入れたことがあるかのような言い方に
「馬鹿……っお前以外、誰のも入れたこと、ねぇよ……っぅあぁっ……やめ……っ……壊れ……るっ」
結人が返事を返すと征弥は大きく瞳を見開いて、これ以上は無理だと結人が訴える更に奥へと征弥は入ってくる。
「嘘、だろ……東城さんとも?」
「やぁぁ……っ」
結人の眦から伝う涙をべろり、と征弥は舐める。
「答えろよ、結人……っ」
結人は目の裏側がチカチカと瞬くほどの衝撃に耐えながら
「こんなこと……っお前以外に許すかよ……っ……あっ……も、そこ、やめ……っ」
嘘だろ……と征弥は天を仰ぐ。
「じゃあ、結人の、ここ知ってるのって俺だけ……?」
「そう……だっつってんだろ……っあ……っそこ、ヤだってば……っうああ」
「……っくそ……そんなこと言われて止まるかよ……っ」
征弥が狭い隘路に、我慢出来ないとでも言うように、敏感な奥の奥に征弥の膨れ上がった先端をぐっと押し付ける。
いや、いや……というくせに、濃い桃色に膨れ上がった結人の屹立からはとろとろと透明な雫が溢れて、後孔の回りをぐずぐずに濡らしている。
「……っあの日……っ」
結人には訳がわからなくなる前に告げなくてはならないことがあった。征弥の瞳を見ると吸い込まれそうに綺麗な彩。それに向き合って言わなければならなかった。
「お前に別れるって言った日………っ」
綺麗な瞳に薄く張った透明な膜。愛おしすぎるその彩に、捕まってしまったら逸らせるわけなんかない。逃げられない。
「本当は、あのとき……別れたくなんか、なかった……っ」
深く、深く繋がって、離れていた分を埋めるようにきつく抱き合って、逃げられない。逃げたくない。
「……っ征弥を……愛してたよ………っ」
ずっとずっとこころの奥にあった結人の言葉が、とろり、と流れ出す。あのとき言いたかった。いつも強くて輝いていたお前をめちゃくちゃに傷付けた。
「ごめん、ずっと嘘ついてごめんな……っ」
別れたくないと言うお前に何度も愛してるって言って抱き締めたくて仕方なかった。
そして今も
愛してる
愛してる
愛してる
お前が愛しくて狂ってる。
「あっ…………ぅ」
意識も感覚も圧倒的な熱に流されそうだ。
それでも熱い躯に必死にしがみついて、あの日言えなかった言葉を結人は必死に紡ぐ。
「ずっと、お前の全てを愛してるんだよっ……だから、お前の邪魔をするやつはそれが俺自身でも許したくない……っ今だって……俺は……お前の邪魔にしかならない…っこんなに、愛してるのに………」
結人が絞り出すように、言った。血が滲むような告白。
「っ………く………っ」
ぽたり、と結人の躯に熱い雫が降ってきて、それが征弥の瞳から溢れたものだと思ったときには、結人の瞳からも熱いものが蕩けて溢れた。
「なんで、なんで、お前が俺の邪魔になるんだよっ………お前はこんなにも……こんなにも……俺に力を与えてくれるって言うのに……っ」
「あっ………ん……ぅあ」
「結人……っ」
ずくり、と一番深い処を穿たれて、全てを剥き出しにしたところを触れ合わせて、二人で息を震わせた。
少しの間、意識を飛ばしてしまっていたが、八年ぶりに共に過ごす夜に眠るのが酷く惜しかった。
腕の中に収まっていると、恥ずかしくなるくらい甘ったるい征弥の瞳と出会う。指先が汗で湿った結人の前髪をそっとよけて、現れた額にキスを落とす。こんな恥ずかしいほどに気持ちを隠さない瞳で見られていたのだろうか。
頬に唇に唇が降りてきて、愛しくて恋しくてたまらないと切なく訴えてくる。
「離れたくない……一緒に連れて行きたい……」
甘く掠れた声も、言葉も耳に心地よいけれど。
「……一緒に行けるわけ、ないだろ。いくら何でも二人一度に抜けるわけにいくか。俺にはやらなきゃいけないことが山ほどあるんだよ。あいつらを置いてはいけない、いきたくない……」
裸の征弥の胸に額をくっ付けて言う。
「じゃあ、やっぱり俺があっちには行かない……」
征弥の言葉に、ひゅっ……と結人が息を飲んだ。
「なんて言ったら、結人はまた自分を責めるんだろ……だから、行かないなんてもう言わないよ、安心しろ」
そう言って微笑んで見せた征弥の顔を見上げると寂しそうだったが、結人が知っているものよりひどく大人びていた。
「うん、頑張って欲しい。お前ならやれると思うから」
そう言って、精一杯結人は笑って見せた。
「そうだな……お前にいいとこ見せようと思うと、俺って持ってる力以上に頑張れるんだよ」
そう言う征弥に
「馬鹿、そんなわけあるか。それがお前の実力なだけだ。俺はお前の邪魔ばっかりしてる……今だって……邪魔だってわかってる……だから一緒に居ない方がいいんだ」
なんて結人が言うから今度は征弥が息を飲んだ。それから苦しいものを吐き出すような声で。
「別れても、傍にいたから……お前に見てもらいたくて………っ今日まで頑張れた……今の俺があるのは、お前の……結人のお陰なのに……っどうして、一緒にいられないって言うんだよ……距離が離れてても、心は一緒に居たい。それすらだめなのか?」
あまりに辛そうな声を出すので、結人は思わず征弥の背に腕を回してぎゅっと抱き締めた。
うん、お前がそう言ってくれて本当に嬉しい。でも、やっぱり一緒にいるのは怖いよ。また別れが来るのは辛くて堪えられないかもしれないんだ────
だから、今夜のことを大事な思い出にして生きていきたい。
征弥は結人の言葉には決して首を縦に振らなくて、代わりに大好きと愛してるの言葉を愛に飢えていた結人に朝が来るまで与えながら抱いていた。
唇を離した征弥と目が合う。泣きそうな顔をした男は汗で濡れた額をぴたり、と合わせる。
「結人……っ好きだ、愛してる……っ」
また、狂おしく囁く。酷く懐かしいその響き。そうだった。素直に愛してると言えない結人にいつも必死にこうやって愛の言葉を告げてくれていた。
繋がったものが、またずくり、と動き出す。
「あっ……ああっ……」
征弥の声が結人の耳の奥も脳髄の奥も、躯の奥も蕩かしてしまうのだ。もう、無理だと思っていたのに、薄く透明に近いような体液が結人の屹立からとぷり、と溢れて絶頂に押し上げられる。
「っ……すげ……きゅってした……結人……愛してる……愛してるよ、結人……っ」
「あ……っだめ……も、それ言うなぁ……」
「やだ、止めない。ずっと我慢してた……結人……愛してる……愛してる……っお前が居てくれたら、俺は他には何もいらないんだ……」
大きな掌が耳のところから潜って、愛しそうに結人の頭を撫でる。
何度も何度も……ぼぅっと熱を持つほどに口付けられた結人の唇に、また征弥の唇が触れる……口付けながら「結人……結人……っ」何度も囁かれて、ぐっ……と腰を深く押し付けられる。至近距離で撮影すればするほどにカメラマンを唸らせるほどの男の顔はとんでもなく美しくて、色っぽくて……そんな男に狂おしく愛を囁かれて、結人はおかしくなってしまいそうだった。
そして、これ以上奥に入れないというところまで、押し込まれているのに
「っ……征弥っ……も、入んない……って……ああっ……」
更に、奥。
「もっと入れてよ、結人……っ俺以外誰も入ったこと、ないとこまで入れて………」
ぐり……と、これ以上奥は入らないと思うところの入り口を刺激される。
まるで、結人が征弥以外の誰かを離れている間に受け入れたことがあるかのような言い方に
「馬鹿……っお前以外、誰のも入れたこと、ねぇよ……っぅあぁっ……やめ……っ……壊れ……るっ」
結人が返事を返すと征弥は大きく瞳を見開いて、これ以上は無理だと結人が訴える更に奥へと征弥は入ってくる。
「嘘、だろ……東城さんとも?」
「やぁぁ……っ」
結人の眦から伝う涙をべろり、と征弥は舐める。
「答えろよ、結人……っ」
結人は目の裏側がチカチカと瞬くほどの衝撃に耐えながら
「こんなこと……っお前以外に許すかよ……っ……あっ……も、そこ、やめ……っ」
嘘だろ……と征弥は天を仰ぐ。
「じゃあ、結人の、ここ知ってるのって俺だけ……?」
「そう……だっつってんだろ……っあ……っそこ、ヤだってば……っうああ」
「……っくそ……そんなこと言われて止まるかよ……っ」
征弥が狭い隘路に、我慢出来ないとでも言うように、敏感な奥の奥に征弥の膨れ上がった先端をぐっと押し付ける。
いや、いや……というくせに、濃い桃色に膨れ上がった結人の屹立からはとろとろと透明な雫が溢れて、後孔の回りをぐずぐずに濡らしている。
「……っあの日……っ」
結人には訳がわからなくなる前に告げなくてはならないことがあった。征弥の瞳を見ると吸い込まれそうに綺麗な彩。それに向き合って言わなければならなかった。
「お前に別れるって言った日………っ」
綺麗な瞳に薄く張った透明な膜。愛おしすぎるその彩に、捕まってしまったら逸らせるわけなんかない。逃げられない。
「本当は、あのとき……別れたくなんか、なかった……っ」
深く、深く繋がって、離れていた分を埋めるようにきつく抱き合って、逃げられない。逃げたくない。
「……っ征弥を……愛してたよ………っ」
ずっとずっとこころの奥にあった結人の言葉が、とろり、と流れ出す。あのとき言いたかった。いつも強くて輝いていたお前をめちゃくちゃに傷付けた。
「ごめん、ずっと嘘ついてごめんな……っ」
別れたくないと言うお前に何度も愛してるって言って抱き締めたくて仕方なかった。
そして今も
愛してる
愛してる
愛してる
お前が愛しくて狂ってる。
「あっ…………ぅ」
意識も感覚も圧倒的な熱に流されそうだ。
それでも熱い躯に必死にしがみついて、あの日言えなかった言葉を結人は必死に紡ぐ。
「ずっと、お前の全てを愛してるんだよっ……だから、お前の邪魔をするやつはそれが俺自身でも許したくない……っ今だって……俺は……お前の邪魔にしかならない…っこんなに、愛してるのに………」
結人が絞り出すように、言った。血が滲むような告白。
「っ………く………っ」
ぽたり、と結人の躯に熱い雫が降ってきて、それが征弥の瞳から溢れたものだと思ったときには、結人の瞳からも熱いものが蕩けて溢れた。
「なんで、なんで、お前が俺の邪魔になるんだよっ………お前はこんなにも……こんなにも……俺に力を与えてくれるって言うのに……っ」
「あっ………ん……ぅあ」
「結人……っ」
ずくり、と一番深い処を穿たれて、全てを剥き出しにしたところを触れ合わせて、二人で息を震わせた。
少しの間、意識を飛ばしてしまっていたが、八年ぶりに共に過ごす夜に眠るのが酷く惜しかった。
腕の中に収まっていると、恥ずかしくなるくらい甘ったるい征弥の瞳と出会う。指先が汗で湿った結人の前髪をそっとよけて、現れた額にキスを落とす。こんな恥ずかしいほどに気持ちを隠さない瞳で見られていたのだろうか。
頬に唇に唇が降りてきて、愛しくて恋しくてたまらないと切なく訴えてくる。
「離れたくない……一緒に連れて行きたい……」
甘く掠れた声も、言葉も耳に心地よいけれど。
「……一緒に行けるわけ、ないだろ。いくら何でも二人一度に抜けるわけにいくか。俺にはやらなきゃいけないことが山ほどあるんだよ。あいつらを置いてはいけない、いきたくない……」
裸の征弥の胸に額をくっ付けて言う。
「じゃあ、やっぱり俺があっちには行かない……」
征弥の言葉に、ひゅっ……と結人が息を飲んだ。
「なんて言ったら、結人はまた自分を責めるんだろ……だから、行かないなんてもう言わないよ、安心しろ」
そう言って微笑んで見せた征弥の顔を見上げると寂しそうだったが、結人が知っているものよりひどく大人びていた。
「うん、頑張って欲しい。お前ならやれると思うから」
そう言って、精一杯結人は笑って見せた。
「そうだな……お前にいいとこ見せようと思うと、俺って持ってる力以上に頑張れるんだよ」
そう言う征弥に
「馬鹿、そんなわけあるか。それがお前の実力なだけだ。俺はお前の邪魔ばっかりしてる……今だって……邪魔だってわかってる……だから一緒に居ない方がいいんだ」
なんて結人が言うから今度は征弥が息を飲んだ。それから苦しいものを吐き出すような声で。
「別れても、傍にいたから……お前に見てもらいたくて………っ今日まで頑張れた……今の俺があるのは、お前の……結人のお陰なのに……っどうして、一緒にいられないって言うんだよ……距離が離れてても、心は一緒に居たい。それすらだめなのか?」
あまりに辛そうな声を出すので、結人は思わず征弥の背に腕を回してぎゅっと抱き締めた。
うん、お前がそう言ってくれて本当に嬉しい。でも、やっぱり一緒にいるのは怖いよ。また別れが来るのは辛くて堪えられないかもしれないんだ────
だから、今夜のことを大事な思い出にして生きていきたい。
征弥は結人の言葉には決して首を縦に振らなくて、代わりに大好きと愛してるの言葉を愛に飢えていた結人に朝が来るまで与えながら抱いていた。
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