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優しくて、 頭が良くて、料理上手で、美人でスタイルも良くて、運動神経抜群で……とにかく!素敵な人じゃないと兄ちゃんは認めないからな!⑥
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よく眠れるようにとそのあと温かいハーブティーを淹れてくれた。それで、少しだけ落ち着いてから寝る準備をしたのち寝室に案内された。千聖といると、ドキドキして、何処もかしこも熱くなってどうしようもないときと、ゆっくり息を抜かせてもらって心地よくなるときが代わる代わる訪れて、離れられなくさせられそうだった。
「暑かったり寒かったりしたらエアコンで適当に調節してね」
そう言って 理央をベッド残して千聖は寝室から出ようとした。
「あの……千聖さんはどこで寝るんですか?」
見たところ、 寝室は他には無さそうだった。
「僕は今夜はソファで寝るよ。今日はいろいろ初めてのことが多くて疲れたよね。明日も練習だけど理央は知らない人ばかりでまた疲れちゃうかもしれないから遠慮せずにベッド使って?」
千聖はふんわり笑って言う。でも時計の針はもう深夜二時を回っていて、明日は午前中からテニスの練習がある。
「そんな……終電のことすっかり忘れてた俺がいけないんですから、俺がソファで寝ます」
理央が言うと
「実は僕、終電のこと、気付いてたんだよね」
千聖が突然ぽつりと言った。
「えっ……」
「もうすぐ終電だよって言わないといけないなって思ってたんだけど、理央ともうちょっと一緒にいたくて帰したくなかった。うちに泊まっていってくれたらいいなって思ったんだ。だから理央は僕に遠慮しないでベッド使って」
と言って悪い先輩だよねって続けた。
「あの……っじゃあ一緒にベッドで寝ませんか?」
理央が言うと、千聖はふぅぅっと長い溜め息を吐いた。
子供っぽいって呆れられただろうか。
理央がそう思った次の瞬間。大股でベッドまでやってきた千聖。ふわっと彼の香りがする風が起こったかと思うと、理央はベッドの上に押し倒されていた。
「ち……千聖さん?」
千聖の上に明かりがあるせいで彼の顔がよく見えない。
「帰したくなかったって言うたやろ? そんな男、ベッドに誘うなんて一体どういうつもり? わざとなん?」
美しい千聖の声が少し掠れていた。
「え……わざとってなにが……っひ……」
理央の耳の端っこをかぷりと千聖が甘く咬んだのだ。
「あぁ、ごめんな、理央。痛かった?」
「ひゃぁ……っ」
そう言って軽く歯形が付いた耳朶を、熱く濡れた舌がぬるりと舐めたのだ。
「口説いてるって、可愛いって自分に言ってる男、一緒にベッドで寝ようって誘うなんて、ホント悪い子やね……」
「あっ……」
千聖のサイズのスウェットは理央にはとても大きくて、熱くて大きな掌が簡単にするりと潜り込んできて理央の下腹を優しく撫でた。
「すごい……めっちゃすべすべや……たまんない……理央……」
囁きながら、ぬる……と舌が耳の中に入ってきた。
触れられたところとか、舐められたところが熱くて、熱くて、それだけじゃなく、じんじんと甘く疼いておかしくなりそうだった。
「んっ……そんなつもりじゃ……」
「うん。わかってる。理央はそんなつもりじゃなかったよね? でももう大学生なんだから、そんなつもりじゃなかった、なんて通用せぇへんよ?」
柔らかいのに熱が籠った狂おしい声で囁いて、掌がいろんなところを撫でる。お腹はもう全部触れられて、少しずつ掌が上に上がってきて。
「ひゃぁ……っああっ……なにっこれ……っ」
千聖の長い指先が理央の胸の先に触れて軽くはじかれたのだ。
「可愛い……りお……こんなん襲われても仕方ないやろ……っ」
千聖の声に雄の色が混じって、理央は本能的な恐怖に背を震わせた。
「やっ……怖いっ……」
躯の中から溶かされそうな甘い疼きなんて初めてで自分がどうなってしまうかわからないことも怖かった。
すると理央の声にぴたり、と千聖の手が止まった。
それから千聖は、はぁぁぁと長く息を吐き出した。
「うそ。今日はそんなことしない……怖がらせてごめんね」
そう言って、するりと千聖はスウェットから手を抜いて乱れた裾を手早く直した。
「ち……千聖さん……?」
ひくっ、と喉を震わせた理央の頭をごめん、ごめんと千聖は優しく撫でた。それから目の端に少しだけ滲んでしまった涙に千聖はそっと唇を落とした。
「今日抱いても、うんと気持ちよくしてあげられるけど、理央に体が目的だったんじゃないかと疑われるのも、僕が手の早い軽いヤツだって思われるのも嫌だから、我慢する……でも……」
そう言って千聖は理央の手をそっと取ると千聖の心臓の飢えの辺りに置いた。
「僕、理央のことかなり気になって意識してる……もう好きになっちゃったかもしれない。ほら今も心臓がすごくドキドキしてる……」
千聖の言うとおり、彼の心臓は理央のものと一緒で飛び出てきそうなほどドクドクと脈打っていた。
「ほんとだ……」
と、理央が呟くと
「僕もうちょっとしたら、理央のこと絶対めちゃめちゃ好きになって、たまらなくなって、我慢できなくなって付き合ってって告白すると思う。そのときに理央からいい返事もらえるように、いっぱい理央にアピールして口説きまくるから理央も僕のこといっぱい意識して、僕のこと考えて? お願い……」
そう言って切な気に千聖は理央の頬をそっと撫でた。
「はい……俺も……千聖さん見るとすごくドキドキしておかしくなりそうです……」
千聖の真剣な瞳の色を見て、理央も答えた。
すると
「あぁ、もう……決意揺らぎそうや……あかん……襲っちゃいそうやから、もう行くね」
おやすみ、と理央の頬にキスを落として千聖は寝室から出ていった。
千聖に触れられたところが全部ぽわぽわと熱を持って温かくなるのを千聖の匂いがするベッドの中で感じながら目を閉じた。
翌朝、
「おはよう。昨日のお詫びも込めて」
と、千聖が腕を振るってくれた朝食を食べた。その後テニスコートでスマッシュをバンバン決める彼を見て、理央は兄が繰り返し言っていた台詞を思わず口のなかでちいさく呟いたのであった。
end
お付き合い下さりありがとうございました!
「暑かったり寒かったりしたらエアコンで適当に調節してね」
そう言って 理央をベッド残して千聖は寝室から出ようとした。
「あの……千聖さんはどこで寝るんですか?」
見たところ、 寝室は他には無さそうだった。
「僕は今夜はソファで寝るよ。今日はいろいろ初めてのことが多くて疲れたよね。明日も練習だけど理央は知らない人ばかりでまた疲れちゃうかもしれないから遠慮せずにベッド使って?」
千聖はふんわり笑って言う。でも時計の針はもう深夜二時を回っていて、明日は午前中からテニスの練習がある。
「そんな……終電のことすっかり忘れてた俺がいけないんですから、俺がソファで寝ます」
理央が言うと
「実は僕、終電のこと、気付いてたんだよね」
千聖が突然ぽつりと言った。
「えっ……」
「もうすぐ終電だよって言わないといけないなって思ってたんだけど、理央ともうちょっと一緒にいたくて帰したくなかった。うちに泊まっていってくれたらいいなって思ったんだ。だから理央は僕に遠慮しないでベッド使って」
と言って悪い先輩だよねって続けた。
「あの……っじゃあ一緒にベッドで寝ませんか?」
理央が言うと、千聖はふぅぅっと長い溜め息を吐いた。
子供っぽいって呆れられただろうか。
理央がそう思った次の瞬間。大股でベッドまでやってきた千聖。ふわっと彼の香りがする風が起こったかと思うと、理央はベッドの上に押し倒されていた。
「ち……千聖さん?」
千聖の上に明かりがあるせいで彼の顔がよく見えない。
「帰したくなかったって言うたやろ? そんな男、ベッドに誘うなんて一体どういうつもり? わざとなん?」
美しい千聖の声が少し掠れていた。
「え……わざとってなにが……っひ……」
理央の耳の端っこをかぷりと千聖が甘く咬んだのだ。
「あぁ、ごめんな、理央。痛かった?」
「ひゃぁ……っ」
そう言って軽く歯形が付いた耳朶を、熱く濡れた舌がぬるりと舐めたのだ。
「口説いてるって、可愛いって自分に言ってる男、一緒にベッドで寝ようって誘うなんて、ホント悪い子やね……」
「あっ……」
千聖のサイズのスウェットは理央にはとても大きくて、熱くて大きな掌が簡単にするりと潜り込んできて理央の下腹を優しく撫でた。
「すごい……めっちゃすべすべや……たまんない……理央……」
囁きながら、ぬる……と舌が耳の中に入ってきた。
触れられたところとか、舐められたところが熱くて、熱くて、それだけじゃなく、じんじんと甘く疼いておかしくなりそうだった。
「んっ……そんなつもりじゃ……」
「うん。わかってる。理央はそんなつもりじゃなかったよね? でももう大学生なんだから、そんなつもりじゃなかった、なんて通用せぇへんよ?」
柔らかいのに熱が籠った狂おしい声で囁いて、掌がいろんなところを撫でる。お腹はもう全部触れられて、少しずつ掌が上に上がってきて。
「ひゃぁ……っああっ……なにっこれ……っ」
千聖の長い指先が理央の胸の先に触れて軽くはじかれたのだ。
「可愛い……りお……こんなん襲われても仕方ないやろ……っ」
千聖の声に雄の色が混じって、理央は本能的な恐怖に背を震わせた。
「やっ……怖いっ……」
躯の中から溶かされそうな甘い疼きなんて初めてで自分がどうなってしまうかわからないことも怖かった。
すると理央の声にぴたり、と千聖の手が止まった。
それから千聖は、はぁぁぁと長く息を吐き出した。
「うそ。今日はそんなことしない……怖がらせてごめんね」
そう言って、するりと千聖はスウェットから手を抜いて乱れた裾を手早く直した。
「ち……千聖さん……?」
ひくっ、と喉を震わせた理央の頭をごめん、ごめんと千聖は優しく撫でた。それから目の端に少しだけ滲んでしまった涙に千聖はそっと唇を落とした。
「今日抱いても、うんと気持ちよくしてあげられるけど、理央に体が目的だったんじゃないかと疑われるのも、僕が手の早い軽いヤツだって思われるのも嫌だから、我慢する……でも……」
そう言って千聖は理央の手をそっと取ると千聖の心臓の飢えの辺りに置いた。
「僕、理央のことかなり気になって意識してる……もう好きになっちゃったかもしれない。ほら今も心臓がすごくドキドキしてる……」
千聖の言うとおり、彼の心臓は理央のものと一緒で飛び出てきそうなほどドクドクと脈打っていた。
「ほんとだ……」
と、理央が呟くと
「僕もうちょっとしたら、理央のこと絶対めちゃめちゃ好きになって、たまらなくなって、我慢できなくなって付き合ってって告白すると思う。そのときに理央からいい返事もらえるように、いっぱい理央にアピールして口説きまくるから理央も僕のこといっぱい意識して、僕のこと考えて? お願い……」
そう言って切な気に千聖は理央の頬をそっと撫でた。
「はい……俺も……千聖さん見るとすごくドキドキしておかしくなりそうです……」
千聖の真剣な瞳の色を見て、理央も答えた。
すると
「あぁ、もう……決意揺らぎそうや……あかん……襲っちゃいそうやから、もう行くね」
おやすみ、と理央の頬にキスを落として千聖は寝室から出ていった。
千聖に触れられたところが全部ぽわぽわと熱を持って温かくなるのを千聖の匂いがするベッドの中で感じながら目を閉じた。
翌朝、
「おはよう。昨日のお詫びも込めて」
と、千聖が腕を振るってくれた朝食を食べた。その後テニスコートでスマッシュをバンバン決める彼を見て、理央は兄が繰り返し言っていた台詞を思わず口のなかでちいさく呟いたのであった。
end
お付き合い下さりありがとうございました!
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