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俺が無言で頷いたのを確認すると、北村はサイドテーブルに用意してあったローションを取り、もったいないぐらいの量を出した。
ローションはいつも北村が用意してくれる。全然知らないメーカーで、こっそり検索してみたら一本5000円ぐらいする肌に優しい高級ローションだった。
それをいつも、躊躇いなくたっぷりと手のひらに出し、しばらく体温で温めてから俺の後ろに丁寧に塗り付ける。
「痛くないですか?」
毎週していてこれだけローションを塗りたくられて指一本ぐらいで痛い訳ないが、北村は必ず確認する。
前立腺をマッサージするように優しく指の腹で摩りながら、少しずつ解していく。
「あっ、あっ、だめっ、ま、た、イッちゃ、う……から……っ」
挿入前に何度もイくと疲れてしまう。それを察してか、北村は俺が射精しない程度ギリギリにその場所を弄る。
ただ拡張されるだけだと、不快感を感じてしまうが、その場所を緩く弄りながらされることで、ひたすら気持ちいい。
慎重に慎重に解すと、北村はようやく下着から自分の怒張した性器を解放し、片手で器用にゴムを装着してからローションで濡れそぼるその場所にあてがった。
ゆっくりゆっくり、北村のモノが入ってくる。
(もっかい、キス、したいな……)
そう思っていると、まるで心を読んだかのように北村が唇を寄せて優しくキスをした。
そのまま、最奥まで突き立てられる。
激しいが、決して乱暴ではなく、抱き方はひどく優しい。絶対に痛く苦しくないように気を遣って抱いてくれる。
温かい腕の感触と柔らかいキスの雨の感触。
多幸感に酔いしれるように、ひっきりなしに甘い喘ぎ声を上げながらふと思った。
(セフレと恋人の違いってなんなんだろ……)
元恋人とも、思えばセックスぐらいしか恋人らしいことをしていなかった。
一緒には住んでいたが、相手はしょっちゅう出かけていたし、話しかけると面倒くさそうにされていた。優しかったのは本当に最初のうちだけだ。
同じくセックスだけの関係なら、北村とのセックスの方がずっと愛情を感じる。
──声出せよ。つまんねーなぁ
──きっつ、ちゃんと慣らしとけって言っただろ? お前身体ぐらいしか取り柄ないんだからさ。
北村に抱かれる度に思い知る。俺は全然、最初からあいつには愛されていなかったのだということ。
セフレですらなく、ただの性欲処理と金ヅルに過ぎなかった。
「……っ」
不意に思い出して涙が零れそうになり、慌てて片腕で顔を覆うと、北村が驚いたように顔を上げた。
「篠崎さん……? どうしました? 痛かったですか?」
慌てた様子で身体を離されそうになって、慌てて腕を回して引き止めた。
「いたく、ないから、やめ、ないで」
絶対に離さないというようにしがみつくと、北村は少し驚いた顔をした後、荒い息を吐きながら俺の最奥を何度も突いた。
「んっ、あっ、ああっ、ふっ…、ああ、きたむら、きた、むら……っ」
だらしなく開いた唇が、北村の名前を呼び続ける。しがみついたまま快楽に身を任せていたが、やがて北村が低く呻いた。
ゴム一枚を隔て、熱を感じ、しばらくしてずるりとそれが引き抜かれる。
日によっては3回以上することもあるが、今日は1回だけと約束している。
眠気に負けて先ほど居眠りなどしてしまった自分が憎い。
(もっとしたいのに……)
物欲しく思いながら背中に手を回したままでいたが、北村は身体を起こした。
行為が終わった後北村はすぐにはベッドを離れず、いつも俺の身体を綺麗にしてくれる。
タオルで拭われているうちに、その心地良さにウトウトと眠りについてしまうと、いつも朝には北村はいなくなっている。
目を閉じたくなくて眠気に抗っていたけれど、今日は本当に疲れてしまってすぐに眠ってしまった。
ローションはいつも北村が用意してくれる。全然知らないメーカーで、こっそり検索してみたら一本5000円ぐらいする肌に優しい高級ローションだった。
それをいつも、躊躇いなくたっぷりと手のひらに出し、しばらく体温で温めてから俺の後ろに丁寧に塗り付ける。
「痛くないですか?」
毎週していてこれだけローションを塗りたくられて指一本ぐらいで痛い訳ないが、北村は必ず確認する。
前立腺をマッサージするように優しく指の腹で摩りながら、少しずつ解していく。
「あっ、あっ、だめっ、ま、た、イッちゃ、う……から……っ」
挿入前に何度もイくと疲れてしまう。それを察してか、北村は俺が射精しない程度ギリギリにその場所を弄る。
ただ拡張されるだけだと、不快感を感じてしまうが、その場所を緩く弄りながらされることで、ひたすら気持ちいい。
慎重に慎重に解すと、北村はようやく下着から自分の怒張した性器を解放し、片手で器用にゴムを装着してからローションで濡れそぼるその場所にあてがった。
ゆっくりゆっくり、北村のモノが入ってくる。
(もっかい、キス、したいな……)
そう思っていると、まるで心を読んだかのように北村が唇を寄せて優しくキスをした。
そのまま、最奥まで突き立てられる。
激しいが、決して乱暴ではなく、抱き方はひどく優しい。絶対に痛く苦しくないように気を遣って抱いてくれる。
温かい腕の感触と柔らかいキスの雨の感触。
多幸感に酔いしれるように、ひっきりなしに甘い喘ぎ声を上げながらふと思った。
(セフレと恋人の違いってなんなんだろ……)
元恋人とも、思えばセックスぐらいしか恋人らしいことをしていなかった。
一緒には住んでいたが、相手はしょっちゅう出かけていたし、話しかけると面倒くさそうにされていた。優しかったのは本当に最初のうちだけだ。
同じくセックスだけの関係なら、北村とのセックスの方がずっと愛情を感じる。
──声出せよ。つまんねーなぁ
──きっつ、ちゃんと慣らしとけって言っただろ? お前身体ぐらいしか取り柄ないんだからさ。
北村に抱かれる度に思い知る。俺は全然、最初からあいつには愛されていなかったのだということ。
セフレですらなく、ただの性欲処理と金ヅルに過ぎなかった。
「……っ」
不意に思い出して涙が零れそうになり、慌てて片腕で顔を覆うと、北村が驚いたように顔を上げた。
「篠崎さん……? どうしました? 痛かったですか?」
慌てた様子で身体を離されそうになって、慌てて腕を回して引き止めた。
「いたく、ないから、やめ、ないで」
絶対に離さないというようにしがみつくと、北村は少し驚いた顔をした後、荒い息を吐きながら俺の最奥を何度も突いた。
「んっ、あっ、ああっ、ふっ…、ああ、きたむら、きた、むら……っ」
だらしなく開いた唇が、北村の名前を呼び続ける。しがみついたまま快楽に身を任せていたが、やがて北村が低く呻いた。
ゴム一枚を隔て、熱を感じ、しばらくしてずるりとそれが引き抜かれる。
日によっては3回以上することもあるが、今日は1回だけと約束している。
眠気に負けて先ほど居眠りなどしてしまった自分が憎い。
(もっとしたいのに……)
物欲しく思いながら背中に手を回したままでいたが、北村は身体を起こした。
行為が終わった後北村はすぐにはベッドを離れず、いつも俺の身体を綺麗にしてくれる。
タオルで拭われているうちに、その心地良さにウトウトと眠りについてしまうと、いつも朝には北村はいなくなっている。
目を閉じたくなくて眠気に抗っていたけれど、今日は本当に疲れてしまってすぐに眠ってしまった。
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