セクサロイドは幼なじみに恋をする 〜近未来、人権のない「セックス人形」として生きる少年の初恋と青春〜 18禁SF要素ありBL小説 完結済

丸井マロ

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第3章 奉仕者

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 外の人が奉仕者をどんなふうに思っているかを知るのは、はからずもショックを受けることだった。

 僕は知らないことが多かった。
 自分がなにを知っていて、なにを知らないのかもわからないほど、ものごとを知らなかった。

 ホームの先生たちが教えてくれたことは嘘でなかった。

 外の人々は、セックスを非常に重要で、特別なことと考えている。

 重要で特別なことであるからこそ、「愛情に基づく同意」のない性交や買春は、人間の尊厳に対する徹底的な侵害であり、おぞましい犯罪だと認識されて、厳しい罰則が定められている──そのことは、教えてくれなかった。

 その夜は、高島さんがいて、テレビがついていた。

 僕がテレビをつけるのは見たい番組があるときで、終わったら消すが、高島さんはとくに見たい番組がなくても音楽を流すようにテレビをつけていることがあった。

 ニュース番組で、ある事件について報じられていた。
 テレビの中の人々は口を揃えて、この国では十八歳未満との性行為は同意の有無にかかわらず強姦罪であり、許されざる児童虐待であり人権侵害であると言っていた。
 皆、犯人を憎悪していた。

 人々の激しい怒りに、僕は動揺した。

 高島さんがテレビを消して、寝ようかと言ったとき、僕は自然に対応できたかどうか自信がない。
 
 その行為に慣れてきたとは言っても、まったく痛みを感じないで受け入れることは出来なかった。
 高島さんのものが出し入れされると、下腹を圧迫されるような重苦しさは増していく。

 ひとつひとつは、耐えられないほどの苦痛ではないのだろう。
 奉仕、性交痛、ニュースの中で人々が表明する怒り。

 でも、痛みを我慢するときに出る心のゴミのようなものは少しずつ溜まり、やがては堤防を超えて流れ出す。

 不意に涙がこぼれた。
 一度あふれ出すと、次から次に込み上げてきて、意思の力で止めることはできなかった。

 シーツに顔を埋めてさめざめと泣く僕の背中で、高島さんが「困ったな」と呟くのが聞こえた。
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