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最終章 旅立ち
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次の日、東京支部の中にある一時待機所の、僕にあてがわれた部屋のベッドに寝転んで古いマンガを読んでいると、だれかがドアをノックした。
「どうぞ」
入って来たのは、コーディネーターだった。
僕はベッドの上に座り直し、コーディネーターは「これ、いいかい?」と椅子をベッドサイドに引き寄せ、腰をおろす。
「次の奉仕先について、話しておきたいことがある。何件か候補は上がってるんだが……」
「いずれにしても辛い選択になるんでしょう?」
僕は言い当てた。
「林田さんのところに行くときにも言われました」
「わかってるなら話は早いが……もしかすると、林田さんのところよりも辛いことになるかも知れない」
「ブライト・コーポレーションでは駄目なんですか?」
「きみは、あの業界を知らなすぎる。一度でもあの手のメーカーやプロダクションに奉仕して、エグい動画が出まわれば、もう個人の奉仕先は見つからなくなるぞ」
「もう五人と寝た、手垢のついた中古品ですよ。だから変態性欲者のところしか奉仕先がない。そうでしょう?」
「きみはまだ五人しか知らない」
コーディネーターはじれったそうに首を振った。
「メーカーやプロダクションになると桁が違う。またたく間に何十、何百人と寝ることになる。四P、五P、輪姦は当たり前、そうやって嬲られる様子を動画に撮られて世界中に晒される。そうなりたいのか?」
その口調は、センターのコーディネーターのものとしてはきつかった。
「私はきみたちに、あたえられた環境の中で可能なかぎり幸せになってほしいと願ってる。幸せになるのは無理だとしても、少しでも苦痛の少ない道を歩んでもらいたい。そう思って、この仕事をしている」
彼の表情は硬いままだ。
「個人ユーザーとマッチングする者は恵まれている。ポルノメーカーや性風俗しか奉仕先が見つからず、泣いて嫌がる者を送り届けるときは、われわれだって胸が痛む。ブライト・コーポレーションに行きたいなんて言うもんじゃないぞ」
「タケルに会うには、それしか方法がないんです!」
僕はつい声を荒らげてしまったが、すぐに後悔した。
「どうぞ」
入って来たのは、コーディネーターだった。
僕はベッドの上に座り直し、コーディネーターは「これ、いいかい?」と椅子をベッドサイドに引き寄せ、腰をおろす。
「次の奉仕先について、話しておきたいことがある。何件か候補は上がってるんだが……」
「いずれにしても辛い選択になるんでしょう?」
僕は言い当てた。
「林田さんのところに行くときにも言われました」
「わかってるなら話は早いが……もしかすると、林田さんのところよりも辛いことになるかも知れない」
「ブライト・コーポレーションでは駄目なんですか?」
「きみは、あの業界を知らなすぎる。一度でもあの手のメーカーやプロダクションに奉仕して、エグい動画が出まわれば、もう個人の奉仕先は見つからなくなるぞ」
「もう五人と寝た、手垢のついた中古品ですよ。だから変態性欲者のところしか奉仕先がない。そうでしょう?」
「きみはまだ五人しか知らない」
コーディネーターはじれったそうに首を振った。
「メーカーやプロダクションになると桁が違う。またたく間に何十、何百人と寝ることになる。四P、五P、輪姦は当たり前、そうやって嬲られる様子を動画に撮られて世界中に晒される。そうなりたいのか?」
その口調は、センターのコーディネーターのものとしてはきつかった。
「私はきみたちに、あたえられた環境の中で可能なかぎり幸せになってほしいと願ってる。幸せになるのは無理だとしても、少しでも苦痛の少ない道を歩んでもらいたい。そう思って、この仕事をしている」
彼の表情は硬いままだ。
「個人ユーザーとマッチングする者は恵まれている。ポルノメーカーや性風俗しか奉仕先が見つからず、泣いて嫌がる者を送り届けるときは、われわれだって胸が痛む。ブライト・コーポレーションに行きたいなんて言うもんじゃないぞ」
「タケルに会うには、それしか方法がないんです!」
僕はつい声を荒らげてしまったが、すぐに後悔した。
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