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第4章 ホーム
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「私も考えてみたの」
マリエは、僕の返事を待たずに口を開いた。
「ホームって、すごく管理されたところだと思う。外から完全に隔離されて、入ってくる情報は徹底的に管理されて」
そう言われて僕が思い浮かべたのは、ホームの図書館や娯楽室の光景だった。
図書館には棚にいっぱいの本や雑誌、漫画がならべられ、僕たちは自由に手にとって見ることができたし、規則で決められた時間内であれば、娯楽室でテレビを見ることも、ネットに接続された端末を使うこともできた。
しかし、今になって思えば、僕たちが受け取る情報は巧妙に管理されていた。
自由だと思わせておいて、自由ではなかった。
「私たちは、ホームが選んだ情報を、ホームが選んだタイミングで知らされて育った。なにもかもが管理された中で育ったのよ」
僕は初めてポルノに触れたときのことを思い出した。
十一歳のとき、男子寮で同室だったマモルが、いわゆる「エロ本」を部屋に持ってきて、ひそかに大騒ぎになった。
マモルは寮の裏庭の茂みの中に落ちていたと言い、僕たちは一冊のエロ本を皆で囲み、固唾を飲んでページをめくった。
それはソフトポルノに分類されるものだったが、当時の僕たちには充分すぎるほど刺激的だった。
そうやって僕たちのあいだでは「おっちょこちょいの誰かさんによって、うっかり外から持ち込まれたポルノ」が、ときおり回覧されるようになるのだが、今になって思えば、あれも計算尽くだったのだろう。
マリエは、僕の返事を待たずに口を開いた。
「ホームって、すごく管理されたところだと思う。外から完全に隔離されて、入ってくる情報は徹底的に管理されて」
そう言われて僕が思い浮かべたのは、ホームの図書館や娯楽室の光景だった。
図書館には棚にいっぱいの本や雑誌、漫画がならべられ、僕たちは自由に手にとって見ることができたし、規則で決められた時間内であれば、娯楽室でテレビを見ることも、ネットに接続された端末を使うこともできた。
しかし、今になって思えば、僕たちが受け取る情報は巧妙に管理されていた。
自由だと思わせておいて、自由ではなかった。
「私たちは、ホームが選んだ情報を、ホームが選んだタイミングで知らされて育った。なにもかもが管理された中で育ったのよ」
僕は初めてポルノに触れたときのことを思い出した。
十一歳のとき、男子寮で同室だったマモルが、いわゆる「エロ本」を部屋に持ってきて、ひそかに大騒ぎになった。
マモルは寮の裏庭の茂みの中に落ちていたと言い、僕たちは一冊のエロ本を皆で囲み、固唾を飲んでページをめくった。
それはソフトポルノに分類されるものだったが、当時の僕たちには充分すぎるほど刺激的だった。
そうやって僕たちのあいだでは「おっちょこちょいの誰かさんによって、うっかり外から持ち込まれたポルノ」が、ときおり回覧されるようになるのだが、今になって思えば、あれも計算尽くだったのだろう。
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