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第2章 タケル
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ホームにいた頃、タケルと僕は一度だけセックスを──あれをセックスと呼べるなら──したことがある。
あれは僕が十三歳の誕生日を迎えて、数日後のことだった。
男子寮は六人部屋で、ほかの五人はサッカーをしにグラウンドに行き、部屋に残ったのは僕ひとりだった。
僕は皆の足音がじゅうぶんに遠ざかったのを確認すると、学習用の端末を手にベッドに上がった。
その前の夜、宿題を終えてから、なにかおもしろそうなことを捜して端末をいじっていると、システムのバグかなにかの不具合で、刺激的なコンテンツに出くわした。
当時、僕の一番の暇つぶしは、文字を読むことだった。
教科書や副教材は無論、おやつに出されたお菓子のパッケージに印刷された成分表示まで、そこに文字があれば読まずにはいられない癖があった。
その夜も、適当な語句を検索をして出てきた記事を読んでいただけで、べつにアダルトコンテンツを捜していたわけではない。
そもそもこの端末は子供の学習用に設定されており、深刻な不具合がなければアダルトコンテンツを閲覧できるわけがないのだ。
そのときは純粋に驚き、僕のうしろを誰かの足音が横切ったので、僕は慌てて画面を切り替えた。
次の日の放課後、寮の部屋でひとりになるのを待ち構えていた僕は、さっそく昨日発見したコンテンツを開いた。
それは、逃げも隠れもせず、そこにあった。
美しい二人の青年が、ベッドの上で抱き合い、性行為をしている。
その動画を見ていると、僕は下腹部の疼きを覚え、自分のものを触り始めた。
突然、音を立ててドアが開いた。
僕は急いで毛布を引き上げて下半身を隠す。
部屋に入ってきたのは、タケルだった。
「なにをしてるの?」
彼は真顔で僕のほうに歩み寄って来る。
「なんでもないよ、タケルこそなんで急に戻って来るんだよ!」
僕は怒鳴った。
「怒らないで。オナニーしてたんだろ?」
そう言ったタケルは、冷やかすでも馬鹿にするでもなく、いたって真面目な表情をしていた。
「僕もするよ。校長先生も言ってたじゃん、自慰は悪いことじゃない、健康の証だって」
彼は僕のベッドの端に腰をかけた。
僕は毛布を握るこぶしに力を入れ、首の下まで引き上げる。
「タケル?」
彼は腕を伸ばし、僕の首を抱き寄せ、くちびるにくちびるを重ねた。
突然のことに僕が驚いてると、彼は顔を離し、至近距離から僕を見つめて言った。
「オナニーは時々するけど、キスはこれが初めてだ」
そして、もう一度。
タケルの舌が僕の前歯を割って入ってきたので、僕はその先を舐めた。
僕たちはフランス風のキスをしながら、手で互いのあれを擦り合った。
これをセックスといえるなら、これが僕の初体験だった。
あれは僕が十三歳の誕生日を迎えて、数日後のことだった。
男子寮は六人部屋で、ほかの五人はサッカーをしにグラウンドに行き、部屋に残ったのは僕ひとりだった。
僕は皆の足音がじゅうぶんに遠ざかったのを確認すると、学習用の端末を手にベッドに上がった。
その前の夜、宿題を終えてから、なにかおもしろそうなことを捜して端末をいじっていると、システムのバグかなにかの不具合で、刺激的なコンテンツに出くわした。
当時、僕の一番の暇つぶしは、文字を読むことだった。
教科書や副教材は無論、おやつに出されたお菓子のパッケージに印刷された成分表示まで、そこに文字があれば読まずにはいられない癖があった。
その夜も、適当な語句を検索をして出てきた記事を読んでいただけで、べつにアダルトコンテンツを捜していたわけではない。
そもそもこの端末は子供の学習用に設定されており、深刻な不具合がなければアダルトコンテンツを閲覧できるわけがないのだ。
そのときは純粋に驚き、僕のうしろを誰かの足音が横切ったので、僕は慌てて画面を切り替えた。
次の日の放課後、寮の部屋でひとりになるのを待ち構えていた僕は、さっそく昨日発見したコンテンツを開いた。
それは、逃げも隠れもせず、そこにあった。
美しい二人の青年が、ベッドの上で抱き合い、性行為をしている。
その動画を見ていると、僕は下腹部の疼きを覚え、自分のものを触り始めた。
突然、音を立ててドアが開いた。
僕は急いで毛布を引き上げて下半身を隠す。
部屋に入ってきたのは、タケルだった。
「なにをしてるの?」
彼は真顔で僕のほうに歩み寄って来る。
「なんでもないよ、タケルこそなんで急に戻って来るんだよ!」
僕は怒鳴った。
「怒らないで。オナニーしてたんだろ?」
そう言ったタケルは、冷やかすでも馬鹿にするでもなく、いたって真面目な表情をしていた。
「僕もするよ。校長先生も言ってたじゃん、自慰は悪いことじゃない、健康の証だって」
彼は僕のベッドの端に腰をかけた。
僕は毛布を握るこぶしに力を入れ、首の下まで引き上げる。
「タケル?」
彼は腕を伸ばし、僕の首を抱き寄せ、くちびるにくちびるを重ねた。
突然のことに僕が驚いてると、彼は顔を離し、至近距離から僕を見つめて言った。
「オナニーは時々するけど、キスはこれが初めてだ」
そして、もう一度。
タケルの舌が僕の前歯を割って入ってきたので、僕はその先を舐めた。
僕たちはフランス風のキスをしながら、手で互いのあれを擦り合った。
これをセックスといえるなら、これが僕の初体験だった。
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