神様にいちばん遠い島 〜女人禁制の「神の島」で神子となった少年は、神職者らの性処理のための慰み者にされて〜 18禁 BL歴史小説 完結済み

丸井マロ

文字の大きさ
上 下
35 / 53
第8章 魔王の使者

しおりを挟む
 さて、玉宮神社に対する信長公の要求は、織田家に恭順し、九鬼水軍の配下に入れば、社領や社が有する様々な特権は安堵するというものだった。

「織田ごときが、われらに指図するとは図々しい!」

 宮司は、使者の前ではお追従を言ってへりくだっていたが、会談が終わって部屋に戻ってくると、織田家への敵意をあらわに地団駄を踏んだ。

「成り上がりの、尾張の田舎大名の分際で!」

 権宮司も怒りに顔を紅潮させて、手にした笏をへしおりそうになっている。

 彼らが、信長公をよく思っていないのは、雪千代にも大変よく理解できた。

 今の紅葉殿の宮司は、足利将軍家の縁戚にある幕臣の家の出身である。

 松葉殿の権宮司は、公家の出であると聞いている。

 この社の主祭神である玉依姫命は、神武天皇の母親であると言い伝えられており、かつては朝廷より遣わされた皇族の男性が御杖代みつえしろとして社の頂点に君臨した時代もあるという。

 時代の流れと共に、権力の在り処は大きく変わり、それに伴って朝廷と寺社、そのほかの勢力との関係は忙しく移り変わってきた。

 室町幕府が成立して以降は、公家の者と武家の者が交互に宮司を務めることで、政治的な均衡を保っている。

「しかし、いまや織田家は破竹の勢い。使いの者にむやみに悪感情を抱かれるのは悪手かと思われまする」

 最年長の禰宜が、現実的な進言をした。

「そうじゃのう」

 どれほど蔑み、忌み嫌っていても、織田家の権力に逆らうことはできぬと認めざるを得ず、宮司も権宮司もしょんぼりとうなだれた。

「致し方ない、使者は手厚くもてなし、銀子を握らせて穏便に帰っていただこう」

 宮司は、じろりと雪千代を見やった。

「神子様、客人らのお世話をしていただいてよろしいですかな?」

「はい、かしこまりました」

「夜のほうも……わかっておられますのう?」

「はい、承知いたしましてございます」

 雪千代は神妙にうなずいた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

不良少年達は体育教師を無慈悲に弄ぶ

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...