神様にいちばん遠い島 〜女人禁制の「神の島」で神子となった少年は、神職者らの性処理のための慰み者にされて〜 18禁 BL歴史小説 完結済み

丸井マロ

文字の大きさ
上 下
36 / 53
第8章 魔王の使者

しおりを挟む
 雪千代は着ているものを脱ぎ、湯帷子ゆかたびら──風呂に入るときに身につける、裾の短い薄手の肌着を着た。

 その姿で、客人のために用意した湯帷子や着替えを乗せた衣装盆を持って、堀のいる部屋へ向かった。

「堀さま、お風呂の支度ができました」

 敷居の手前に指先をついて、深々とこうべを垂れる。

「風呂か。今日は冷える故、ありがたい」

 堀はくつろいだ着流しの小袖姿で、にっこり笑って立ち上がった。

「こちらでございます」

 雪千代は堀を風呂場に案内した。

「ほう、これは見事だ」

 この時代、風呂といえば蒸し風呂をさした。

 総檜造りの風呂場は広々として、蒸気の立ち上るところに敷いた石菖が蒸され、清涼な香りを放っている。

 雪千代は堀の前にひざまずき、背後に腕をまわして帯を解こうとした。

 しかし、

「いや、よい、自分でやる」

 堀は穏やかに雪千代の手をのけて、手早く小袖と肌着を脱ぎはじめた。

 むき出しになった背中に、雪千代は湯帷子を羽織らせる。

「かたじけない、あとは一人でできる。そなたはここで待っておるがよい」

 堀は告げると、雪千代を脱衣所に残し、ひとりで風呂場に入っていくと引き戸を閉めた。

 雪千代は、拍子抜けした。

 この時代、寺社や武家社会では男色は当たり前に行われており、武士のたしなみとさえ言われている。

 こうして透けるような湯帷子を一枚まとっただけの美少年が風呂場にいれば、やることは決まっていた。

 この社に連れて来られて以来、性の対象として見られて扱われることに慣れていた雪千代は、堀のふるまいに呆然とした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

不良少年達は体育教師を無慈悲に弄ぶ

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...