神様にいちばん遠い島 〜女人禁制の「神の島」で神子となった少年は、神職者らの性処理のための慰み者にされて〜 18禁 BL歴史小説 完結済み

丸井マロ

文字の大きさ
上 下
51 / 53
第11章 出発の朝

しおりを挟む
 翌朝、雪千代が目覚めると、枕元には堀がいた。

「目を覚まされましたか?」

「はい……」

「起き上がれますか?」

 雪千代は上体を起こした。

 頭から血が引いたのか、視界が暗くなって目眩がしたが、しばらくじっとしているとおさまった。

「水は?」
 堀は吸い飲みを手に尋ねた。

 雪千代はうなずいた。

 堀が手ずから雪千代に水を飲ませた。

「ご気分は?」

「生き返ったようです」

 雪千代は笑みを浮かべた。

「よかった」

 堀は盛大に安堵のため息をつくと、雪千代ににこやかな顔を向けた。

 そうしていると、昨夜とは別人のように穏やかな好青年だ。

「体力が回復するまでは横になって休んでいるほうが良いとは思うが、ここは伏魔殿だ。人間の皮をかぶった鬼どもがうろうろしておる」

 堀は顔を歪め、嫌悪を隠さなかった。

「町から人を呼んでおる。そなたには無理をさせて申し訳ないが、今日中に島を出よう」

「かたじけのうございます」

 雪千代は頭を下げた。
 この島を出られる。
 そう思うと、感極まって涙がこぼれた。

 堀は微笑を浮かべて、雪千代を見守っていた。

 やがて、長谷川が、下の集落から集めた四人の漁民を連れて、戻ってきた。

 板戸に褥を敷いて、そこに雪千代を寝かせると、男たちが板戸を持ち上げる。

 神職や出仕らがぞろぞろと、玄関の外まで見送りに出てきた。

「神子様、お達者で」

 高浜が神妙に述べた。
 雪千代は笑みを返した。

「出発だ」

 堀の号令に、一同は歩き出した。
 雪千代は、板戸に仰向けになって青い空を見上げながら、奥宮を後にした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

不良少年達は体育教師を無慈悲に弄ぶ

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...