神様にいちばん遠い島 〜女人禁制の「神の島」で神子となった少年は、神職者らの性処理のための慰み者にされて〜 18禁 BL歴史小説 完結済み

丸井マロ

文字の大きさ
上 下
39 / 53
第8章 魔王の使者

しおりを挟む
 翌朝、堀と矢部は社を後にした。

 彼らを見送るために、宮司以下、全員の神職が奥宮の外に出てきた。

「世話になった。預かった文は、わが主にお渡しいたす」

「文にも書きもじましたが、われらは決して織田さまに敵対するつもりはありませぬ。何卒、上さまによろしゅうお伝えくださいませ」

「相わかった。その旨、それがしからも必ず上さまに言い添えよう」

「お心遣い、痛み入りまする」

 宮司は深々と頭を下げた。

 陰で田舎大名、成り上がりと罵ったところで、権力には逆らえない。

 信長が神仏を恐れず、寺社勢力にも容赦ないのは、比叡山焼き討ちを見れば明らかである。

 たとえ宮司として玉宮神社の頂点に君臨しても、時の権力者の、その使いの若造に頭を下げて、こびへつらわねばならないのが現実だった。

 堀は威厳をもって一同を見まわした。

 宮司の背後にいた雪千代に目をとめると、にこりと笑った。

 雪千代はどぎまぎするが、堀は「では、失礼」と一礼すると、背を向けて歩きはじめた。

 堀と矢部、そして供回りの小者らが、鳥居の下を通り過ぎて、山に飲みこまれていく。

 彼らの姿が見えなくなると、神職らの間に張り詰めていた緊張がほぐれ、誰からともなく安堵の吐息がもれた。

「やれやれ、厄介払いできたわい」

 宮司はほっと息を吐いた。

「あの若侍、神子様をいやらしい目で見ておりましたぞ」

 権宮司は、ねっとりした目線を雪千代に向けた。

「神子様は文字どおり体を張って、あの侍を接待してくださったからのう」

 宮司はにんまりと目を細める。

「どれ、今宵はしっぽりと皆々で神子様をお慰めして、労って差し上げねばならぬのう」

 粘り気のある口調で言うと、まわりにいた神職らはニヤニヤと目を見合わせた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

処理中です...