神様にいちばん遠い島 〜女人禁制の「神の島」で神子となった少年は、神職者らの性処理のための慰み者にされて〜 18禁 BL歴史小説 完結済み

丸井マロ

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第5章 立浪

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 毎月十日と二十五日は、港の近くで楽市が開かれる。

 今日は十二月十日で、筵の上に干した魚やイカを並べて売る者、豆を売る者、味噌を売るもの、古着を売る者などなどが店を広げていた。

 小袖の裾を端折って下帯を見せた人足らが、船から大きな荷をおろす様子が、市場から見える。

 一見すると、何の変哲もない光景だが、この島が独特なのは、女子供がおらず、成人した男だらけであることだろう。

 この島に居を構える男どもは、もともとは本土で暮らしていたが、盗みなどの罪を犯したり、素行が悪くて村八分にされて、住んでいた村や町にいられなくなって流れてきたか、中には博打で作った借金を逃れて島に来た者もいた。

 海の男は享楽的で気性が荒いといわれるが、この島の漁師らは、戦になれば兵として水軍の船に乗る傭兵集団でもあることから、筋骨隆々とした者が多い。

 市場を物色する人々の群れの中に、立浪の姿があった。

 彼はなにかを買い求めるでもなく冷やかしながら通り過ぎると、市場の隅にある口入れ屋の中に入っていった。

 この時代、ある程度の大きさの町には、ほぼ必ず口入れ屋か、それにかわる生業を営む者がいた。

 仕事を求める者が口入れ屋に頼むと、働き手を求める者に紹介される。

 そしてめでたく雇用が決まれば、口入れ屋は双方から幾らかの紹介料を徴収する。

 いわば、人材斡旋所だ。

 口入れ屋が扱うのは労使関係だけではない。

 その幅広い人脈と情報網を活かして、年頃の娘のいる親に頼まれて相応しい嫁ぎ先を探して紹介することがあれば、困窮した親から子供を密かに買い取って欲しいと頼まれて、右から左へ売り飛ばすこともある。

 また、背後に浪人や無頼漢を抱え、彼らを使って私刑や復讐の依頼を引き受けるなど、公にはできない裏稼業をしている者も多くいた。
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