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第2章 神子
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「神子様、お食事をお持ちしました」
夕食は、白米、味噌汁、鯛の蒸し焼き、根菜を炊いたもの、菜っ葉の漬物だった。
「すごいごちそうだな」
「神子様ですので当然です」
雪千代は食べながら、鶴千代は約束どおりきちんと食事をとっているのか気になった。
食後、房楊枝と丁子油で歯を磨き、また湯浴みをして、柘榴の皮の粉で肌を磨き、寝衣に着替える。
「神子様、宮司様がお呼びです」
障子の外から、出仕に声をかけられた。
立浪が静かに障子を開けて、雪千代は廊下に出た。
中庭に面する板戸が閉められた廊下は暗いが、立浪ともう一人の出仕が足元が見えるように燭台で照らしてくれるので、自分がどこを歩いているのかわかった。
「宮司様、神子様がお見えになられました」
障子の前で膝を付き、出仕は述べた。
「入れ」
「はっ」
立浪と出仕は障子を開けて、雪千代に中に入るように促す。
「失礼いたします」
雪千代はお辞儀をして、室内ににじり入ると、背後で静かに障子が閉められた。
「おもてを上げなさい」
雪千代は顔を上げた。
寝所にはすでに床が整えられていた。
「神子様、島はご覧になりましたか?」
「はい」
「どう思いましたかな?」
「おだやかな島に見えました」
「おだやか、か」
宮司はふっと笑った。
「神は荒御魂の和御魂を両方をお持ちになられる。そなたは荒ぶる神を鎮める神子様のようですのう」
そう言いながら、宮司は雪千代の肩を抱き寄せ、口を吸った。
「む……んんっ」
なまあたたかい舌が口腔をまさぐる気色悪さに、雪千代は全身を固くして耐える。
宮司は舌で相手の舌先をおびきだすと、雪千代の舌を吸い込んだ。
舌を飲まれるような口吸いに、雪千代は目を白黒させて困惑するが、宮司は手をゆるめなかった。
「昨夜、そなたの快楽の門が開かれるのを、しかと見ておりましたぞ」
宮司は雪千代を褥の上に押し倒すと、腰紐を解いて寝衣の前を開き、下帯を脱がせた。
夕食は、白米、味噌汁、鯛の蒸し焼き、根菜を炊いたもの、菜っ葉の漬物だった。
「すごいごちそうだな」
「神子様ですので当然です」
雪千代は食べながら、鶴千代は約束どおりきちんと食事をとっているのか気になった。
食後、房楊枝と丁子油で歯を磨き、また湯浴みをして、柘榴の皮の粉で肌を磨き、寝衣に着替える。
「神子様、宮司様がお呼びです」
障子の外から、出仕に声をかけられた。
立浪が静かに障子を開けて、雪千代は廊下に出た。
中庭に面する板戸が閉められた廊下は暗いが、立浪ともう一人の出仕が足元が見えるように燭台で照らしてくれるので、自分がどこを歩いているのかわかった。
「宮司様、神子様がお見えになられました」
障子の前で膝を付き、出仕は述べた。
「入れ」
「はっ」
立浪と出仕は障子を開けて、雪千代に中に入るように促す。
「失礼いたします」
雪千代はお辞儀をして、室内ににじり入ると、背後で静かに障子が閉められた。
「おもてを上げなさい」
雪千代は顔を上げた。
寝所にはすでに床が整えられていた。
「神子様、島はご覧になりましたか?」
「はい」
「どう思いましたかな?」
「おだやかな島に見えました」
「おだやか、か」
宮司はふっと笑った。
「神は荒御魂の和御魂を両方をお持ちになられる。そなたは荒ぶる神を鎮める神子様のようですのう」
そう言いながら、宮司は雪千代の肩を抱き寄せ、口を吸った。
「む……んんっ」
なまあたたかい舌が口腔をまさぐる気色悪さに、雪千代は全身を固くして耐える。
宮司は舌で相手の舌先をおびきだすと、雪千代の舌を吸い込んだ。
舌を飲まれるような口吸いに、雪千代は目を白黒させて困惑するが、宮司は手をゆるめなかった。
「昨夜、そなたの快楽の門が開かれるのを、しかと見ておりましたぞ」
宮司は雪千代を褥の上に押し倒すと、腰紐を解いて寝衣の前を開き、下帯を脱がせた。
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