神様にいちばん遠い島 〜女人禁制の「神の島」で神子となった少年は、神職者らの性処理のための慰み者にされて〜 18禁 BL歴史小説 完結済み

丸井マロ

文字の大きさ
上 下
7 / 53
第2章 神子

しおりを挟む
「宮司様、神子様をお連れしました」

 立浪と雪千代は障子の前に膝をついた。

「入れ」

「はっ、失礼いたします」

 立浪は障子を開け、雪千代に中に入るように促した。

 雪千代は一礼し、敷居の内側ににじり入ると、再びこうべを垂れた。

 宮司の四淵は、紫色に白紋の袴に、狩衣を身に着けている。

 部屋は畳が敷かれているが、柱は丸く、書院造りと寝殿造りの混合様式で、それほど古い時代に建てられたものではないようだ。

「神子様、ゆうべはよく寝られましたかな?」

「はい」

 体は疲れていて、よく眠った気はしなかったが、そう答えた。

「昨夜、あやうな儀式があったばかりで、お疲れであろう」

 宮司はにやついた目で雪千代を見た。
 昨夜の痴態を思い出しているのだろう。

「かように麗しい神子様がきてくださり、これで玉宮神社は安泰じゃ。海の民も安心しよう」

 宮司の目線は、雪千代の衣服の下の素肌を舐めまわすようだった。

「今日は天気がよい。立浪、神子様に島を案内してあげなさい」

「はっ、かしこまりました」

 立浪と雪千代は、宮司の部屋を後にした。

「一度、お部屋に戻り、お食事をお召し上がりくださいませ。その後、島を案内します」

 雪千代は居室に戻ると、遅い朝餉をとった。

 白い粥と、小魚を煮たものと、香の物。

 この時代、白米は贅沢品だった。

 武家育ちの雪千代も、実家にいた頃は玄米を食べており、白い米は特別な日に食べるものだった。

 食べ終わるのを見計らっていたように、立浪が戻ってきた。

「お茶をどうぞ」

「かたじけない」

 雪千代が煎茶を飲んでいる間に、立浪はお膳を下げて、また戻ってきた。

 昨夜の儀式は驚いたが、食事のような日常生活の部分は、それなりに大事に扱ってくれるらしいとわかって、雪千代の胸を覆う不安は、少しだけ和らいだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

不良少年達は体育教師を無慈悲に弄ぶ

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...