神様にいちばん遠い島 〜女人禁制の「神の島」で神子となった少年は、神職者らの性処理のための慰み者にされて〜 18禁 BL歴史小説 完結済み

丸井マロ

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第2章 神子

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「神子様、おはようございます」

 立浪は声をかけると、障子を開けた。

 雪千代はハッと飛び起きる。
 立浪を見る目は、泣き腫らしたように重たげだ。

「もうお昼でございます」

 昨夜の儀式は、日の出まで続いた。

 終了後、立浪は、ぐったりした雪千代を抱きかかえて、この部屋に連れて帰り、褥に寝かせて介抱した。

「鶴は?」

鶴神子つるみこさまは松葉殿しょうようでんにおられます」

「しょうようでん?」

「ここは紅葉殿こうようでんといい、宮司の四淵さまがお住まいの館です。松葉殿は、権宮司ごんぐうじ力臣りきおみさまがお住まいになられています」

 神職の階級は高い順に、宮司、権宮司、禰宜ねぎ、そして最下位の権禰宜ごんねぎからなっている。

 この社には、宮司と権宮司は一人ずつ、禰宜は八名、権禰宜は四十名以上いた。

「紫色の袴を着けているのは宮司と権宮司、浅葱色に白紋の袴は禰宜、浅葱色に無紋の袴は権禰宜です」

 立浪は簡単な見分け方を教えた。

「私は神職としてのくらいを持たぬ出仕です。本日より正式に神子様のお世話を務めさせていただきます」

「……よろしゅうお願いします」

 雪千代は礼儀正しく挨拶をした。

「さあ、神子様、湯浴みをなされませ」

 立浪に手伝われて、雪千代は湯殿で体を洗い、柘榴の皮を粉にしたもので肌を磨いた。

「こうすると肌のきめがこまかくなり、肌触りがよくなるといわれております」

 雪千代の背中を、柘榴の皮を詰めた小袋で撫でながら、立浪は説明した。

 体を清めると、赤い袴に白い狩衣を着けて、髪を稚児髷に結い、目尻とくちびるに紅をさした。

「神子様、お支度が終わりました」

 雪千代は色が白く、目鼻立ちが整っているせいで、こんなふうに髪を結って化粧をすると、美少女と見まごうばかりだった。

 これからは神子として、女人禁制の島の神職らの欲望のはけ口として、かような身なりをして生きていかねばならない。

「宮司様にご挨拶を」

 立浪に促され、雪千代は宮司の居室に向かった。
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