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第17章 潜入

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 町方与力は中級武士で、町奉行の下に配置されているものの、町奉行でさえ彼らの意向に逆らうのは難しいほどの権勢を誇っていた。

 与力の役職は世襲のため、その知識や要領、仕事を円滑に進めるための手順やコツ、人脈ごと、父から子へと何代にも渡って受け継がれている。

 そのため、与力たちは奉行所の職務や内部事情を知り尽くしており、町奉行が多忙なせいもあって、奉行所の実権を握っているのは与力であり、ほとんどすべてを彼らが差配し、取り仕切っていた。

 実際、よほど世間を騒がせた大事件でもない限り、事件を吟味して沙汰を決定するのは与力である。

 白洲でのお裁きも、与力が用意した書状を、町奉行が読み上げるだけに過ぎない例がほとんどだった。

 江戸町奉行所には、二十名ほどの与力が在籍している。

 昼下がり、仙千代は振袖に小袴を着けた武家の小姓風の格好をして、見張りの男たちに連れられて、与力を接待する座敷に向かった。

 仙千代を囲む四人の男たちの中に、蔵人の姿もあった。

 二人は見ず知らずの他人を装っており、仙千代は蔵人を見ないように気をつけているものの、意識は蔵人に向かっていた。

 非番の与力が女中頭に案内されてやってくる声がすると、座敷に仙千代を残し、見張りの男たちは隣にある控えの間に移動した。

「いらっしゃいませ、お待ちしておりました。本日もたっぷりと可愛がってくださいませ」

 仙千代は、三つ指ついて与力を迎えた。

 与力は三十代と思しき男で、敷物の上に座ると、さっそく仙千代の肩を抱き寄せ、着物の上から股間に手を置いて揉みはじめる。

「なんだい、お仙、もう体が疼いておるのか?」

「は、はい、旦那様に抱いてもらいたくて疼いております……」

「お前は本当にいやらしい体をしておるなぁ」

「はい、いやらしい体が疼いて堪りません……どうか慰めてくださいませ……」

 媚びる声も、言葉も、蔵人に聞かれていると思うと、恥ずかしさのあまり消えてしまいたくなる。

 しかし、与力から苦情が出れば、手酷いお仕置きが待っている。

 ここに来てから仙千代は水責めの苦痛を味わい、つい先日は、お雪が鞭打たれ、失神しても許されず、主賓が飽きるまで折檻されるのを見せられた。

 その恐怖が、羞恥に勝った。

 仙千代は卑猥な言葉を口にして、与力の男根を欲しがる演技をした。

「上と下、どちらの口に欲しいんだい?」

「両方に欲しいです……が、まずは上の口で、旦那様のおちんぽうを味わわせてくださいませ」

「お前は本当に男の肉棒が好きな淫乱なんだなぁ」

「はい、私は男の肉棒が大好きな淫乱です……旦那様のおちんぽうをしゃぶらせてくださいませ……」

「そこまで言うなら仕方ない、儂の肉棒を味わわせてやろう」

「ありがとうございます、旦那様……」

 男は座したまま袴の紐を解き、緩めて前を開けた。

 仙千代は男の下帯をずらして男根を取り出すと、前かがみになって半勃ちになったそれを口に含み、じゃるりと唾液の音を立てて舐め、首を前後に動かして鎌首をくちびるで擦った。

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