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第16章 鞭打ち
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「アア──ッ!」
お雪は悲鳴を上げ、反射的に体が丸まって横に倒れる。
「ほら、踏ん張ってくださいって言ったでしょう」
牛蔵が、お雪の腕をつかみ、引き起こそうとするが、お雪は激しい痛みにわななき、動くことができなかった。
「早く、元の姿勢に戻ってください」
馬吉が、鞭の先で、お雪の背中を撫でると、
「あ、あぁ……!」
お雪は恐怖に血走った目を見開いて、ぶるぶると震える体をさらにすくめる。
「元の姿勢に戻ってください」
馬吉がふたたび鞭を振り下ろすと、鋭い音を立てて、お雪の脇腹に炸裂した。
「ギャァァ──ッ!」
お雪のものとは思えない、すさまじい絶叫が響いた。
さすがは金剛上がりだけあって、馬吉と牛蔵は鞭を使って折檻することに慣れていた。
牛蔵がお雪の両手首をつかみ、うずくまれないように上半身を引き上げて、馬吉が背中に何回か続けざまに鞭を振り下ろした。
「イヤァァァァ──ッ!」
「お雪、体を逃がさないでください」
「アアアア──!」
「逃げると、打つ回数が増えますよ?」
「ギャアアァァ──!」
半狂乱になって泣き叫び、激しく身をよじるお雪の背中を、馬吉は竹根鞭で打ち叩き、そのたびに、空気を切り裂くような悲鳴があがる。
仙千代は、男のものを舐めながら青ざめていた。
──あんなに打たれたら、お雪さんが死んでしまう……。
足抜けした蔭間でもあるまいに、お雪は何故、こんな折檻を受けなければならないのだろうか?
お雪の身に起きていることが他人事とは思えず、無意識のうちに仙千代の目から涙がこぼれ落ちた。
一度、色地獄に沈められた蔭間は、身請けされて蔭間茶屋からは出られても、もう二度と人として扱われることはないのか。
なにも悪いことをしていないお雪が、どうして、かように理不尽な虐待に耐えねばならないのか。
なによりも恐ろしいのは、裸の素肌を鞭打たれる激痛に絶叫するお雪を見て、男は股間のものをギンギンに勃起させていることだった。
仙千代も少し前、この男に前後不覚になるほど痛めつけられたばかりである。
これから、こういう男を接待せねばならないのかと考えると、今、ここで泣き喚くお雪の狂態は、明日の自分の姿かも知れなかった。
「よし、次は太ももを打て」
「へい」
今度は牛蔵が鞭を手にし、馬吉がお雪の背後から両腕をつかみ、主賓のいるほうにお雪を向かせた。
牛蔵は、お雪の斜め前に立ち位置を決めると、正座をする太ももを鞭で打った。
お雪は悲鳴を上げ、反射的に体が丸まって横に倒れる。
「ほら、踏ん張ってくださいって言ったでしょう」
牛蔵が、お雪の腕をつかみ、引き起こそうとするが、お雪は激しい痛みにわななき、動くことができなかった。
「早く、元の姿勢に戻ってください」
馬吉が、鞭の先で、お雪の背中を撫でると、
「あ、あぁ……!」
お雪は恐怖に血走った目を見開いて、ぶるぶると震える体をさらにすくめる。
「元の姿勢に戻ってください」
馬吉がふたたび鞭を振り下ろすと、鋭い音を立てて、お雪の脇腹に炸裂した。
「ギャァァ──ッ!」
お雪のものとは思えない、すさまじい絶叫が響いた。
さすがは金剛上がりだけあって、馬吉と牛蔵は鞭を使って折檻することに慣れていた。
牛蔵がお雪の両手首をつかみ、うずくまれないように上半身を引き上げて、馬吉が背中に何回か続けざまに鞭を振り下ろした。
「イヤァァァァ──ッ!」
「お雪、体を逃がさないでください」
「アアアア──!」
「逃げると、打つ回数が増えますよ?」
「ギャアアァァ──!」
半狂乱になって泣き叫び、激しく身をよじるお雪の背中を、馬吉は竹根鞭で打ち叩き、そのたびに、空気を切り裂くような悲鳴があがる。
仙千代は、男のものを舐めながら青ざめていた。
──あんなに打たれたら、お雪さんが死んでしまう……。
足抜けした蔭間でもあるまいに、お雪は何故、こんな折檻を受けなければならないのだろうか?
お雪の身に起きていることが他人事とは思えず、無意識のうちに仙千代の目から涙がこぼれ落ちた。
一度、色地獄に沈められた蔭間は、身請けされて蔭間茶屋からは出られても、もう二度と人として扱われることはないのか。
なにも悪いことをしていないお雪が、どうして、かように理不尽な虐待に耐えねばならないのか。
なによりも恐ろしいのは、裸の素肌を鞭打たれる激痛に絶叫するお雪を見て、男は股間のものをギンギンに勃起させていることだった。
仙千代も少し前、この男に前後不覚になるほど痛めつけられたばかりである。
これから、こういう男を接待せねばならないのかと考えると、今、ここで泣き喚くお雪の狂態は、明日の自分の姿かも知れなかった。
「よし、次は太ももを打て」
「へい」
今度は牛蔵が鞭を手にし、馬吉がお雪の背後から両腕をつかみ、主賓のいるほうにお雪を向かせた。
牛蔵は、お雪の斜め前に立ち位置を決めると、正座をする太ももを鞭で打った。
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