色地獄 〜会津藩士の美少年が男娼に身を落として〜 18禁 BL時代小説【完結】

丸井マロ

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第16章 鞭打ち

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「アア──ッ!」

 お雪は悲鳴を上げ、反射的に体が丸まって横に倒れる。

「ほら、踏ん張ってくださいって言ったでしょう」

 牛蔵が、お雪の腕をつかみ、引き起こそうとするが、お雪は激しい痛みにわななき、動くことができなかった。

「早く、元の姿勢に戻ってください」

 馬吉が、鞭の先で、お雪の背中を撫でると、

「あ、あぁ……!」

 お雪は恐怖に血走った目を見開いて、ぶるぶると震える体をさらにすくめる。

「元の姿勢に戻ってください」

 馬吉がふたたび鞭を振り下ろすと、鋭い音を立てて、お雪の脇腹に炸裂した。

「ギャァァ──ッ!」

 お雪のものとは思えない、すさまじい絶叫が響いた。

 さすがは金剛上がりだけあって、馬吉と牛蔵は鞭を使って折檻することに慣れていた。

 牛蔵がお雪の両手首をつかみ、うずくまれないように上半身を引き上げて、馬吉が背中に何回か続けざまに鞭を振り下ろした。

「イヤァァァァ──ッ!」

「お雪、体を逃がさないでください」

「アアアア──!」

「逃げると、打つ回数が増えますよ?」

「ギャアアァァ──!」

 半狂乱になって泣き叫び、激しく身をよじるお雪の背中を、馬吉は竹根鞭で打ち叩き、そのたびに、空気を切り裂くような悲鳴があがる。

 仙千代は、男のものを舐めながら青ざめていた。

 ──あんなに打たれたら、お雪さんが死んでしまう……。

 足抜けした蔭間でもあるまいに、お雪は何故、こんな折檻を受けなければならないのだろうか?

 お雪の身に起きていることが他人事とは思えず、無意識のうちに仙千代の目から涙がこぼれ落ちた。

 一度、色地獄に沈められた蔭間は、身請けされて蔭間茶屋からは出られても、もう二度と人として扱われることはないのか。

 なにも悪いことをしていないお雪が、どうして、かように理不尽な虐待に耐えねばならないのか。

 なによりも恐ろしいのは、裸の素肌を鞭打たれる激痛に絶叫するお雪を見て、男は股間のものをギンギンに勃起させていることだった。

 仙千代も少し前、この男に前後不覚になるほど痛めつけられたばかりである。

 これから、こういう男を接待せねばならないのかと考えると、今、ここで泣き喚くお雪の狂態は、明日の自分の姿かも知れなかった。

「よし、次は太ももを打て」

「へい」

 今度は牛蔵が鞭を手にし、馬吉がお雪の背後から両腕をつかみ、主賓のいるほうにお雪を向かせた。

 牛蔵は、お雪の斜め前に立ち位置を決めると、正座をする太ももを鞭で打った。

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