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第16章 鞭打ち
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「仙、今宵はお代官様が来られる。念入りに支度をしておきなさい」
そう大黒屋に命じられたのは、この屋敷に来て初めて迎える、新月の日の夕暮れだった。
仙千代は見張りの男たちに監視されながら、湯浴みをして体を浄め、髪結いに髪を結ってもらうと、大黒屋が用意した衣装の中で一番豪華な振袖と小袴を身に着けた。
厠へ行き、念入りに菊座を慣らしておく。
下男が来て、お代官様の到着を知らせると、仙千代は見張り役によって座敷牢から出され、接待用の座敷に連れて行かれた。
それほど待つことなく、大黒屋に案内されて、お代官様と呼ばれる男がやって来た。
いつものように、お供の若侍も一緒だ。
「お代官様に相談がございまして」
酒と料理をふるまっての宴の序盤が終わる頃、大黒屋はへらへらと両手を揉みながら切り出した。
「さようにあらたまって、なんだね?」
「本来ならば、お代官様のお耳に入れるも憚られる、卑しい雌犬のことで」
「卑しい雌犬とな」
その正体を男もわかっているようで、にんまりと下卑た笑みを浮かべた。
「最近、堪え性がなくなり、お漏らしをしてばかりでして。所かまわず、誰が見ている前でも垂れ流し、まさに犬畜生の如きふるまいの数々に、困り果てているのです」
「ほう?」
「もはや我々の手には負えぬゆえ、お代官様のような立派なお武家様に厳しく躾けていただければ、あれなりに少しは改心するのではないかと思っていたところでございます」
「よろしい。その雌犬を連れてまいれ」
「はい、ただちに」
大黒屋は一礼し、座敷を出て行った。
しばらくして、屈強な二人の青年──馬吉と牛蔵に両側を挟まれて、お雪が座敷にやって来た。
清潔な白い寝衣を着て、畳に額をこすりつけんばかりに頭を低くするお雪。
仙千代が以前に姿を見たときより、体の線は細くなっていた。
最後に入室した大黒屋は、音を立てずに襖を閉めた。
そう大黒屋に命じられたのは、この屋敷に来て初めて迎える、新月の日の夕暮れだった。
仙千代は見張りの男たちに監視されながら、湯浴みをして体を浄め、髪結いに髪を結ってもらうと、大黒屋が用意した衣装の中で一番豪華な振袖と小袴を身に着けた。
厠へ行き、念入りに菊座を慣らしておく。
下男が来て、お代官様の到着を知らせると、仙千代は見張り役によって座敷牢から出され、接待用の座敷に連れて行かれた。
それほど待つことなく、大黒屋に案内されて、お代官様と呼ばれる男がやって来た。
いつものように、お供の若侍も一緒だ。
「お代官様に相談がございまして」
酒と料理をふるまっての宴の序盤が終わる頃、大黒屋はへらへらと両手を揉みながら切り出した。
「さようにあらたまって、なんだね?」
「本来ならば、お代官様のお耳に入れるも憚られる、卑しい雌犬のことで」
「卑しい雌犬とな」
その正体を男もわかっているようで、にんまりと下卑た笑みを浮かべた。
「最近、堪え性がなくなり、お漏らしをしてばかりでして。所かまわず、誰が見ている前でも垂れ流し、まさに犬畜生の如きふるまいの数々に、困り果てているのです」
「ほう?」
「もはや我々の手には負えぬゆえ、お代官様のような立派なお武家様に厳しく躾けていただければ、あれなりに少しは改心するのではないかと思っていたところでございます」
「よろしい。その雌犬を連れてまいれ」
「はい、ただちに」
大黒屋は一礼し、座敷を出て行った。
しばらくして、屈強な二人の青年──馬吉と牛蔵に両側を挟まれて、お雪が座敷にやって来た。
清潔な白い寝衣を着て、畳に額をこすりつけんばかりに頭を低くするお雪。
仙千代が以前に姿を見たときより、体の線は細くなっていた。
最後に入室した大黒屋は、音を立てずに襖を閉めた。
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