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第14章 性接待
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夜の帳が下りた頃、
「これはこれは、お代官様、お待ちしておりました」
屋敷の玄関で、大黒屋は媚びるような微笑を浮かべて、駕籠から降りた中年の武士と、その供回りの若侍を出迎えた。
中年の武士は、大黒屋より幾つか歳下に見えるが、羽織袴姿で、険のある顔をしている。
「お代官様が仰っていた若衆、川上屋と話がついて、手に入れることができました。一等最初にお代官様に御楽しみいただきたく、急ぎ使いの者を走らた次第でございます」
「さすがは大黒屋、良い心がけをしておる」
「さあ、奥の座敷へどうぞ」
大黒屋は客人を案内して、ある部屋の前まで来た。
「こちらでございます」
襖を開けると、室内はいくつもの行灯や蝋燭に火が入れられて明るく、すでに床が整えられている。
褥の手前で、畳に三つ指をつけて頭を垂れているのは、白い寝衣を着けた仙千代だった。
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました。わたくしは仙と申します。今宵はたっぷりと可愛がってくださいませ」
顔を伏せたまま、仙千代は挨拶をした。
この手の口上は、川上屋で仕込まれたせいで慣れており、まったく屈辱を覚えないと言えば嘘になるが、心を無にして口にすることが出来た。
「おもてを上げよ」
男の声に、仙千代は顔を上げた。
お代官様と呼ばれる武士に見覚えはなかったが、供の若侍の顔は知っていた。
初めて揚げ屋に呼ばれたとき、座敷にいた客だった。
「おお、これはまことに、あのときの若衆だ」
中年の武士はニヤリとすると、大黒屋を振り向いた。
「大黒屋、そちはもう味見をしたのか?」
「それはもう。お代官様の仰るとおり、大変な名器でございました」
大黒屋もニヤニヤした。
「あの若衆は、あような可愛い顔をしていながら、そちの大物を咥えた込んだのか。まこと見事な穴じゃ」
お代官様と呼ばれる男と大黒屋は、声をあげてげらげらと笑った。
「仙、失礼のないようにな」
そう言い残して、大黒屋はその場を後にした。
座敷には、中年男と若侍、そして仙千代の三人が残された。
「これはこれは、お代官様、お待ちしておりました」
屋敷の玄関で、大黒屋は媚びるような微笑を浮かべて、駕籠から降りた中年の武士と、その供回りの若侍を出迎えた。
中年の武士は、大黒屋より幾つか歳下に見えるが、羽織袴姿で、険のある顔をしている。
「お代官様が仰っていた若衆、川上屋と話がついて、手に入れることができました。一等最初にお代官様に御楽しみいただきたく、急ぎ使いの者を走らた次第でございます」
「さすがは大黒屋、良い心がけをしておる」
「さあ、奥の座敷へどうぞ」
大黒屋は客人を案内して、ある部屋の前まで来た。
「こちらでございます」
襖を開けると、室内はいくつもの行灯や蝋燭に火が入れられて明るく、すでに床が整えられている。
褥の手前で、畳に三つ指をつけて頭を垂れているのは、白い寝衣を着けた仙千代だった。
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました。わたくしは仙と申します。今宵はたっぷりと可愛がってくださいませ」
顔を伏せたまま、仙千代は挨拶をした。
この手の口上は、川上屋で仕込まれたせいで慣れており、まったく屈辱を覚えないと言えば嘘になるが、心を無にして口にすることが出来た。
「おもてを上げよ」
男の声に、仙千代は顔を上げた。
お代官様と呼ばれる武士に見覚えはなかったが、供の若侍の顔は知っていた。
初めて揚げ屋に呼ばれたとき、座敷にいた客だった。
「おお、これはまことに、あのときの若衆だ」
中年の武士はニヤリとすると、大黒屋を振り向いた。
「大黒屋、そちはもう味見をしたのか?」
「それはもう。お代官様の仰るとおり、大変な名器でございました」
大黒屋もニヤニヤした。
「あの若衆は、あような可愛い顔をしていながら、そちの大物を咥えた込んだのか。まこと見事な穴じゃ」
お代官様と呼ばれる男と大黒屋は、声をあげてげらげらと笑った。
「仙、失礼のないようにな」
そう言い残して、大黒屋はその場を後にした。
座敷には、中年男と若侍、そして仙千代の三人が残された。
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