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第11章 虐待
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「も、もう……堪忍してください……」
仙千代は泣いて許しを乞うた。
この手の客には、若衆の涙ながらの懇願は、なによりもの媚薬なのだが、仙千代はこれ以上、もう堪えられないと思った。
「お願いです……お許しください……お願いです……」
すすり泣きながら、仙千代は畳に額をこすりつけんばかりに頭を下げた。
「淫売の分際で、客を逝かせずに、銭だけもらおうって腹積もりか?」
「い、いいえ……」
「では、お前の尻を使うぞ」
「い、い、いや……」
仙千代は一瞬で青ざめ、後ずさる。
しかし、客は素早く仙千代の手首をつかみ、引き寄せた。
「お許しください、お許しを、お許しを──!」
「許さん」
客は腕を振り上げると、仙千代の横面を平手で叩いた。
「佐吉、助けて、佐吉!」
「この淫売が、おとなしくしろ」
助けを求める仙千代の衿元を強くつかんで引き寄せ、客は何度も平手で仙千代の顔を打った。
「佐吉──」
そして、仙千代のみぞおちに拳を叩き込むと、後ろに倒れようとする体を抱き寄せ、その場でうつぶせに組み敷いた。
みぞおちを殴られた時の腹圧で、仙千代の尻から抜け落ちた木製の張り型が、畳の上を転がる。
客は仙千代の両手首を、腰ひもでひとまとめにした。
着物の裾をまくり、背後から腰を抱えあげると、尻の中心に男根の先を押し当てる。
そこにきて、みぞおちを殴られた衝撃からようやく正体を取り戻した仙千代は、激しく身をよじらせて抵抗した。
「やめて──佐吉、助けて!」
「佐吉、この淫売をおとなしくさせろ」
仙千代が助けを求めた直後、客も佐吉に命じた。
佐吉は立ち上がると、近づいて来る。
「佐吉──」
仙千代は佐吉を凝視した。
佐吉の表情からは、敵なのか味方なのか判断がつかなかった。
それでも、仙千代が助かる道は、佐吉しか残されていなかった。
「佐吉、お願い、助けて……」
仙千代は佐吉を見上げ、哀願した。
「お願い、あんなものを入れられたら、お尻が壊れてしまう……筋が切れたりしたら、もうお客さんを取れなくなる。そうなっても良いのか、旦那様に確認して──」
「旦那は、こちらのお客様が、お仙ちゃんのお尻を使うことを、承知しています。お仙ちゃんなら堪えられるだろうと──」
「無理だ!」
仙千代は思わず声を荒らげる。
「あんな大きなもの……お尻が裂けてしまう……お願い、旦那様に無理だと伝えて、店に帰して……」
「万一、お尻が壊れて客を取れない体になったら、こちらのお客様がお仙ちゃんを身請けするということで、旦那と話はついてます」
「そんな……」
仙千代は絶望に目を見開いた。
「お前は会津藩の大目付の子だったそうじゃないか。武士の子なら、四の五の言ってないで腹を据えんかい」
背後から客の叱咤が飛んだ。
「お仙ちゃんが頑張れば、菊座の筋を切らずに受け入れることができる。あっしも協力するから、ここはひとつ、蔭間としての心意気を見せてください」
佐吉は諭すように言った。
仙千代は泣いて許しを乞うた。
この手の客には、若衆の涙ながらの懇願は、なによりもの媚薬なのだが、仙千代はこれ以上、もう堪えられないと思った。
「お願いです……お許しください……お願いです……」
すすり泣きながら、仙千代は畳に額をこすりつけんばかりに頭を下げた。
「淫売の分際で、客を逝かせずに、銭だけもらおうって腹積もりか?」
「い、いいえ……」
「では、お前の尻を使うぞ」
「い、い、いや……」
仙千代は一瞬で青ざめ、後ずさる。
しかし、客は素早く仙千代の手首をつかみ、引き寄せた。
「お許しください、お許しを、お許しを──!」
「許さん」
客は腕を振り上げると、仙千代の横面を平手で叩いた。
「佐吉、助けて、佐吉!」
「この淫売が、おとなしくしろ」
助けを求める仙千代の衿元を強くつかんで引き寄せ、客は何度も平手で仙千代の顔を打った。
「佐吉──」
そして、仙千代のみぞおちに拳を叩き込むと、後ろに倒れようとする体を抱き寄せ、その場でうつぶせに組み敷いた。
みぞおちを殴られた時の腹圧で、仙千代の尻から抜け落ちた木製の張り型が、畳の上を転がる。
客は仙千代の両手首を、腰ひもでひとまとめにした。
着物の裾をまくり、背後から腰を抱えあげると、尻の中心に男根の先を押し当てる。
そこにきて、みぞおちを殴られた衝撃からようやく正体を取り戻した仙千代は、激しく身をよじらせて抵抗した。
「やめて──佐吉、助けて!」
「佐吉、この淫売をおとなしくさせろ」
仙千代が助けを求めた直後、客も佐吉に命じた。
佐吉は立ち上がると、近づいて来る。
「佐吉──」
仙千代は佐吉を凝視した。
佐吉の表情からは、敵なのか味方なのか判断がつかなかった。
それでも、仙千代が助かる道は、佐吉しか残されていなかった。
「佐吉、お願い、助けて……」
仙千代は佐吉を見上げ、哀願した。
「お願い、あんなものを入れられたら、お尻が壊れてしまう……筋が切れたりしたら、もうお客さんを取れなくなる。そうなっても良いのか、旦那様に確認して──」
「旦那は、こちらのお客様が、お仙ちゃんのお尻を使うことを、承知しています。お仙ちゃんなら堪えられるだろうと──」
「無理だ!」
仙千代は思わず声を荒らげる。
「あんな大きなもの……お尻が裂けてしまう……お願い、旦那様に無理だと伝えて、店に帰して……」
「万一、お尻が壊れて客を取れない体になったら、こちらのお客様がお仙ちゃんを身請けするということで、旦那と話はついてます」
「そんな……」
仙千代は絶望に目を見開いた。
「お前は会津藩の大目付の子だったそうじゃないか。武士の子なら、四の五の言ってないで腹を据えんかい」
背後から客の叱咤が飛んだ。
「お仙ちゃんが頑張れば、菊座の筋を切らずに受け入れることができる。あっしも協力するから、ここはひとつ、蔭間としての心意気を見せてください」
佐吉は諭すように言った。
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